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家庭の風景を書いた短編。三人称。「プールサイド小景」は会社の金を使い込んで首になった男とその妻の話。会社勤めをしたことがない専業主婦といやいや会社に行く夫とのすれ違いが描かれているものの、夫と妻のどちらの心理描写も突っ込み不足という印象。当時の会社勤めがどんなものか、時代背景が描写から省略されているので、書かれた当時に読んだ人しか共感できないだろう。「静物」は家庭の親子が遊んだり物語を聞かせたりする光景を描いているが、各場面が断片的でプロットとして繋がらず、物語として発展しない。登場人物を夫、妻、父親、母親、男の子、女の子と書いていて、また時代背景が作品内に反映されておらず、全体的に具体性がなく抽象的。他の短編も聞き語りを寄せ集めただけのものもあり、スケッチの粋を出ておらず、現代にあえて読むほどの魅力はない。★★★☆☆プールサイド小景/静物改版価格:500円(税込、送料別)
2010.10.14
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「緑の法王」と名乗るグリンゴの海賊がグアテマラの土地を住民から取り上げてバナナ農園の会社を作った話。三人称。序盤は「緑の法王」ゲオ・メイカー・トンプソンを中心に物語が展開するが、彼が主人公というわけではなく、バナナ農園を巡って起きた出来事を「緑の法王」や地主や住民など、それぞれの側からエピソードを描いている。「緑の法王」が必ずしも主人公というわけでもなく、別の登場人物が中心のエピソードへところころと場面が変わり、プロットがよくわからない。許婚が自殺したのに「緑の法王」の内奥を追求するでもなく、地元住民が「緑の法王」に反撃すると思ったらあっさりと十五年が過ぎたり、「緑の法王」の付き人が仲間を裏切ったことがわかってもそれきりで、これから面白くなりそうだというところでエピソードが収束してしまい、プロットとして発展しない。妖術師が出てきたり、テンジクネズミがしゃべったりする場面はラテン文学らしくて面白いものの、全体の物語展開はつまらなく感じる。★★★☆☆
2010.10.14
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『もの食う人びと』を別の視点から捉えたエッセイと、そのほかに観覧車のエッセイなど。『もの食う人びと』と二つ合わせて読むことで著者の考え方、感じ方がよりわかるようになる。海外ネタは前半だけで、後半部分の雑記は前半に比べて緊張感がなく、風景というテーマからもはずれていてつまらなく感じる。★★★☆☆反逆する風景価格:1,427円(税込、送料別)反逆する風景価格:490円(税込、送料別)
2010.10.07
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左腕に障害がある小学生の「愛」が父親を探す旅に出る話。主人公の一人称。銃を持った暴走族が金持ちを襲う荒廃した東京で、主人公がRPGのように次々に仲間を加えて旅を続けていて、序盤中盤は波乱万丈が面白い。主人公は犬と話をしたり母親の幽霊が出てきたりして特異な能力があるものの、仲間が金持ち老人、暴走族のリーダー、発明少年という具合に能力がチートすぎて割と簡単に困難を乗り越えてしまい、主人公の成長に焦点が当たりにくい。それはエンタメとしては面白いものの、終盤は仲間任せになってしまって父親探しというメインテーマのほうは尻すぼみになってしまった印象。この作者の割にはブラックジョークを抑えてまじめに長編エンタメを描いていて、エンタメとしては十分な出来栄え。帯のマジックリアリズムという宣伝はおおげさで、マジックというよりはふつうのファンタジーという感じ。★★★☆☆愛のひだりがわ価格:1,890円(税込、送料別)愛のひだりがわ価格:580円(税込、送料別)
2010.10.07
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ソクラテスと仲間たちが愛について討論する話。アンドロギュノスの話など、当時は同性愛に肯定的な見方をしているのは面白い。しかし愛の神がどうこうと抽象的なことを言っているだけで、皆たいしたことを論じているわけでもないという印象。★★★☆☆饗宴改版価格:630円(税込、送料別)
2010.10.07
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アメリカのユダヤ人作家と結婚した日本人妻が夫の親族のユダヤ教の儀式に呼ばれてこんなのやってらんねえやとなる話。日本人妻の一人称で関西弁の文体。宗教批判と夫と小姑に対する愚痴と障害児を世話する苦労話という内容で、小説というよりエッセイ的であまり芸術性は感じない。国際結婚が珍しかった時代の産物といった印象。★★★☆☆過越しの祭価格:840円(税込、送料別)
2010.10.07
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アメリカから逃げてきた黒人男のサンが白人のストリート夫妻の家に世話になっている黒人女のジャディーンに恋をする話。三人称。序盤は一つの家で暮らしている白人と黒人の人間関係や人種が複雑なうえに、ジャディーンのおばのオンディーンがナナディーンとも呼ばれているのではじめは誰が誰だかわかりにくい。霧を独身のおばに例える比喩は面白いものの、単発的で全体の文体にまでレトリックの面白さが及ばないのが残念なところで、半分まで読んでも侵入者が見つかったところまでしかストーリーが進まない物語展開の遅さに飽きてくる。その後クリスマスの晩餐を契機にようやく登場人物が各々の考えで動き始めるものの、黒人的な考え方と白人的な考え方は物別れに終わってジンテーゼには至らないのが物足りない。解説にかいてあったところによると原題のTar Babyは黒人の昔話らしいけれど、痴話げんかに黒人の伝統的寓意があてがわれたようで仰々しい印象。後半の登場人物がサンに忠告するようにサンはジャディーンをあきらめて別の女を探せばいいのに、ジャディーンの進歩的考え方を否定しておきながらなぜジャディーンに固執するのかよくわからない。★★★☆☆
2010.10.07
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子供をテーマにした短編集。三人称、一人称の両方があり、少年時代を大人の目線で回想したり、少年目線で書いたり、短編ごとに文体の特徴が微妙に変わっている。少年の性的な出来事などを丁寧に書いているものの、一つの短編に見せ場が一場面あるだけでプロットの展開は乏しい。作者の少年時代を基にしているようなので戦前が舞台らしいものの、描写が簡潔で時代感がないせいで抵抗なく読めるが、それが逆に物足りない原因にもなっている。★★★☆☆子供の領分価格:500円(税込、送料別)
2010.10.07
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