三角猫の巣窟

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2013.12.29
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カテゴリ: 小説
僧侶の無状が二十一年ぶりに薬師如来像を御開帳しようとしていたら、像が本物ではないと言われて困る話。
三人称。仏像についてのマイナーな話題なのにもかかわらず、読者が興味を持つように書かれていないのはよくない。こういう小説では冒頭で読者を物語に引き込まなければいけないものの、僧侶が主人公でそこに男が訪ねて来てという展開でいきなり本題に入ってなんのひねりもない。像が本物だろうが偽物だろうがもうどっちでもいいよ、と思われてしまったら忙しい読者はオチまで読んでくれないのでそれでおしまい。
もうひとつの短編「ピュア・スキャット」は一人称の「あたし」が「あんた」に語りかける形式なものの、意識を失いつつある人間が理路整然と一人称で自分のことを語るのはナラトロジー上は矛盾していてリアリティを損ねている。文体の工夫としてこういう一人称の形式にするのはエンタメ作家がよくやる安易なやり方で、純文学作家の表現手法としては落第点。陳腐な工夫は物語を面白くするどころか、読者の語り手への信頼を失わせて、根本的なリアリティを損ねて小説全体を台無しにしてしまう。僧侶が仏教以外の小説を書いてみたという域を出ていない。

★★★☆☆

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最終更新日  2013.12.30 00:39:42
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