~さわやかに香る風~

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「ちょっと乱暴すぎだよ、ロッキー。彼女が可哀相じゃないか」
「ごっめーん!だってミックだけこっちに出てきちゃってたしさ、退屈だったんだもん」
 ミクタが頭を抱えている横で、鏡の中から現れたもう一人の希色は、下をペロッと出していたずらっぽい笑みを浮かべた。
「タク…俺、なんか吐きそうになってきた…」
 亮介は青ざめた顔で腹を押さえている。
「はは…無理もないや。俺だって何がなんだか…トイレ、行ってきていいよ」
 そう言って笑顔で返した巧も同様、つい今朝に自分の身に起きたことを思い出し、あまりいい気分ではなかった。

 一同は今、二階の巧の部屋にいた。
 ベッドの上には意識を失ったままの希色が横たわっている。
 そして巧の視線の先には自分と同じ姿のミクタと、希色と全く同じ姿の少女(ミクタにはロッキーと呼ばれているようだが名前はまだ明らかではない)の二人が、まだ目を覚まさぬ希色を見つめながら言葉を交わしていた。
 その様子を二人から少し離れた場所で眺めている巧と亮介。
「はぁ…」
 巧は思わずため息をついてしまう。
 どうしてこんなことになってしまったのだろう…。
 同じ人間が二人いる状況を他人の目から見るとこのように映っていたのかと変に納得しつつも、ただでさえ厄介な状況が悪化したことは言うまでもなかった。
 とにかくこの状況を何とかしなきゃ。
 希色が目を覚ました時に、この状況が目に映っては、彼女へ更なるショックを与えかねない。巧は希色にはできるだけ負担をかけたくなかった。
 そこで巧はあることを思いついて、ミクタ達には聞こえないよう、亮介にヒソヒソ声で提案した。

 しかし亮介は苦いものでも食べたような顔をした。
「はあ??」
 亮介の声が聞こえたのか、ミクタが反応して一瞬巧たちの方をチラッと見たが、またすぐにロッキーと呼ばれる少女との話をしだした。
 亮介もその視線を感じ、より声の音量を弱めて巧に反論する。
「マジで言ってんの?そんなの時間の問題だって。それに、どっちにしたって立花さんはもう一人のお前のことは受け入れちゃってるんだからさ、この際もう一人増えようがあんまり変わんなくない?」

「何言ってるんだよ、増えたのが他人の分身と自分のとじゃ、訳が違うよ!こんなことに希色ちゃんを巻き込ませるわけにはいかないよ。やっぱり何としても家に入れるんじゃなかった…」
「おいおい、十分巻き込んでるって。タクの気持ちもわかるけどさ、もうそんなこと言ってる段階じゃないやろ?それに立花さんは逃げるどころか、できる限りタクに協力しようとしてくれてたじゃん。それなのに後でこのことがバレたら、立花さん悲しむぞ~。俺が同じ立場だったら、んな中途半端なことされたらプチッとくるけどなぁ」
 亮介の言うことも最もである。ここまで巻き込んでおいて、今更新たな事態だけを希色に隠しておくのも彼女に失礼なような気がする。
 しかし、巧は何とも複雑な気持ちだった。
 このまま希色が事実を知ったとして、この先彼女に待ち受けている事を思うと…やはりできるだけその被害を喰わないで欲しいという気持ちも強くあった。
「でも…やっぱりさ、今日のうちだけでも対面させない方がいいと思うんだ…もう一人の自分だなんて、俺だって今日はみんながいたから考えずに済んでたんだ。正直まだ全然頭の整理がついてない状態だしさ、希色ちゃんもその事実に対面して、はいさようならまた明日、って家に帰すわけにはいかないでしょ?そのためには…」
 巧が自分の言っていることを確認しながら長々と説明していると。
 プルルル。プルルル。
 自宅の電話の呼び出し音が鳴り始めた。
「びっくりした…電話か」
「あ、もしかしたら巧のおばちゃんじゃない?」
 亮介がそう言いながら電話に出るように促す。
「あぁ、かもね」
 巧も亮介に言われる前に自室に置いてある子機に向かい、受話器を取ると、通話ボタンを押した。


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最終更新日  2006.06.16 02:58:58
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ロッキー♪  
こもも2055  さん
きいろ→ろいき→ロッキー!
(ロッキーと聞くと、往年の映画を思い出してしまうこもも)
(*^_^*)
それが返って、チャーミングで可愛いネーミングだなと思いました。思わずウケちゃった(笑)。
性格も希色ちゃんとは違うのでしょうね。この先が楽しみです!引き続き拝読します! (2006.06.16 05:18:25)

Re:ロッキー♪(06/15)  
サワデー☆  さん
確かに、最初は女の子にこんな呼び方しちゃっていいのかな~なんて思ってましたが。
でもかわいいって言ってくださって安心しました。
希色ちゃんとはその通り全くの別人ですから彼女も可愛がってあげてくださいね♪ (2006.06.16 08:38:04)

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