蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

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2005/08/16
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カテゴリ: 韓流ドラマ&映画
その夜、ソンジェは夢を見た。

「僕、ソンジェといいます。チョン・ソンジェです」
ソンジェは彼女の名前が知りたかった。
「あなたの名前は?」
「私?私は・・・。」
彼女が口を開こうとした時、後ろから大声がした。
「ソンジェ!!」
振り向くと、ソウルにいるはずの兄ソンミンと父親、母親が立っている。

ソンジェは驚いて言った。
「違うんだ、彼女は悪い人じゃない。僕はだまされていない。僕のほうから彼女に近づいたんだ」
「何だって?ソンジェ」
ソンミンはますます声を荒げた。
「お前は忘れたのか?お祖父さんが日本人にどんな目に合わされたのか。日本人は決して許さない!」
「待って、話を聞いて、兄さん」
ソンジェの必死の釈明にも、ソンミンは耳を貸さず、両親と共にソンジェに背を向けて行ってしまった。
「待って!待って!話を聞いてくれ!彼女はそんな人じゃないんだ!」

自分の声に驚いて、ソンジェは目が覚めた。
びっしょりと汗をかいている。

隣を見ると、恭一が驚いた顔でソンジェを見ていた。

「いや、それはいいけどよ、どうしたんだ?なんかうなされていたぞ」
「いえ、何でもないです」
ソンジェがそういって背中を向けようとした時、恭一が言った。
「なあ、お前、ソンウが見つからなくて気が滅入っているんじゃないか?久し振りにぱぁ~とやろうか。今日臨時収入が入る予定なんだよ。それで新宿にでも繰り出そうぜ」
「臨時収入?どうしてですか?」

そういうと恭一は何か思い出したように、ニヤリと笑った。

次の日、恭一は再びつくし野駅前で店開きをしようと言った。ソンジェはあの女性と約束しているので好都合だったが、恭一の様子がどこかおかしい。
朝から落ち着きがなく、時計ばかり見ている。客が来てもソンジェにばかり応対をさせる。
「誰かと待ち合わせですか?」
「ああ、ちょっとな。しばらく出てくるから、店番していてくれ」
そういうと恭一は出かけていった。
ソンジェはぼんやりと昨夜の夢を思い出していた。
『兄さんや父さん、母さんもやっぱり僕が日本人の女性に恋をしたとわかったら、ソンウの時のように反対するだろうな。あぁでもソンウ。お前はこんな気持ちだったのか。どうして僕はあの時兄さんたちと一緒に、ソンウの恋に反対してしまったんだろう・・・』

「アニョンハセヨ!!」
元気な声がした。恭一がソンジェのファンクラブの奴らと言っている、いつもの女子中学生3人組だ。
「ねぇお兄さん、写真とらせて!」
一番髪の長い少女がケータイ電話を片手に言う。
彼女たちの明るさは嫌ではなく、むしろ微笑ましかった。しかしその気持ちは恋とは違う。正直なところ、ソンジェは戸惑っていた。
「ねぇ、いいでしょ?はい、チーズ!」
強引にカメラのシャッターを切る少女。ソンジェはその少女のなかに、あの女性の面影を見た。
『いったいどうしてしまったんだ?誰を見ても彼女に見えてしまうなんて』

あの女性との約束の時間が迫ってきていた。
ソンジェは恭一の帰りを今か今かと待っていた。

ようやく恭一が戻ってきた。
ソンジェは恭一に後を頼むと、あわてて店を飛び出る。
『急げばまだ間に合う』
はやる心を抑えながら、あの公園に急ぐ。
この陸橋を越えれば、目的地だ。

陸橋の陰に小学生の男児が数人、たむろしていた
ソンジェは何気なく、彼らを見る。まんなかにいる男の子が、周りの子に小突かれている。ランドセルが無造作に投げ出されていた。
「おい、何をやっているんだ?」
思わず韓国語で叫んだ。
ソンジェを見た男の子たちは、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。まんなかに立っていた男の子だけが、力なく立っている。
落ちていたランドセルを拾い上げ、ソンジェは土を払って男の子に渡した。
「だいじょうぶ?」
ソンジェの問いには答えず、男の子はランドセルをひったくって行ってしまった。

『あの子の口元、あの人に似ていたな・・・。どうしたんだ?皆あの人に見えてしまう・・・』
ソンジェはそう思いながら、公園への道を急いだ。

公園に駆け込んだ。
しかしベンチはもぬけの殻だ。公園に置いてある時計を見る。約束の時間はとうに過ぎていた。
『しまった!』
ソンジェはあわてて公園のまわりを走り、あの人を探した。
どこを探しても、あの人の姿はなかった。
彼女に会えるということがうれしくて、空に向かってでも駆け出していけそうだったソンジェの心は、急にしぼんでいった。
力が抜け、ソンジェはベンチに座り込んでしまった。








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最終更新日  2005/08/16 11:07:01 PM
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