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恐竜境に果てぬ第1章第2節その1


恐竜境に果てぬ第1章第2節その2


恐竜境に果てぬ第1章第2節その3


恐竜境に果てぬ第1章第3節その1


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2024.01.15
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カテゴリ: 怪談
講談「四谷怪談」『お岩様誕生』その  2023/03/07開始
☆前回あらすじ☆
年の瀬の寒い晩、ひょんなことから、おつなと伝助は結ばれます。それからちょうど二月(ふたつき)ばかりのちのこと。


人間国宝・一龍斎貞水師匠、在りし日のお元気な近影


その二 怪異の気配「金貸し夫婦の死」

お話の舞台は神田の松田町。時は如月(きさらぎ)の末のある夜更け。家主(いえぬし)・甚兵衛(じんべえ)の家の前に立った二人の男女、と言いますと、たいそう色っぽく聞こえますけれども、男はというと、紺の法被(はっぴ)を着た中間(ちゅうげん。註/侍と小者⦅こもの⦆との間に位する武家の召使、中間男)(註/こもの。武家のちには町家で雑役に使った下男)(註/げなん。雑用のため雇われている男)。

何んだか大きな風呂敷包みをしょいまして、そればかりじゃあない、手には何んとたくあんの2,3本、荒縄で結(ゆわ)えたやつをぶら下げており、こりゃあんまり二枚目の形じゃあございませんな。おこそ頭巾をま深(まぶか)にかぶった連れの女としばらく何かこう、ひそひそ話をしておりました。

やがて雨戸をトン、トン、トン ! 「今晩は ! 」トン、トン、
「今晩は、叔父さん、お休みでございますか、伝助でございますが・・」
トントントントン、「叔父さん ! 」
「あ、は、はい、どなた ? 何い、伝助え ! おお、今あけるから、ちょいと待ちねえな」ガタン、ガラガラ。


「おお、入んねえ、おい、何んだおい、たいそう大きな風呂敷(ふるしき)包みをしょって来たな。よ、横になって入(へえ)んなきゃダメだよ。ああ、よしよし、あとはな、おら、閉めとくから、ああ、さあさあさ、早く中へ入(へえ)ったら、包みおろしなよ」
「へえ、どうも夜分遅く上がりまして相すみません」
「何、叔父甥の仲じゃねえ、遠慮はいらねえやな。ばあさん ! 伝助が来たよ」
「おや、よくおいでだね、この二、三日ね、あたしゃ何んだか知らないけど、腰がいたんでしょうがなくてね、寝ていてごめんよ・・」

「そりゃ、いけません。どうぞあの、お休みなすってて。
実は叔父さん、少々わけがあって、今夜、田宮様んとこ、出て来ちゃったんで」
「そらおめえ、やなところに我慢しているには及ばねえけどさ、おらあな、おめえの親父とは兄弟(きょうでえ)だ。
若(わけ)え時から江戸へ出て苦労した甲斐があって、今じゃあこの辺一帯の家(いえ)主になったが、知ってのとおり、子供はねえ。おめえを養子にして、地所をゆずるつもりでいるんだ。

おお、帰(けえ)って来たのは幸いだ。ずっとな、この家(うち)にいねえな。
ああ、だが何んだぜ。金の間違(まちげ)えをして出て来たんじゃあるめえな」
「いえ、そんなことはしません」

お、お嬢さんと言(い)やあよ、田宮様にも娘がいるが、あれには俺も驚いたよ。去年、堀ノ内行った帰(けえ)りにちょいと寄ったよ。そん時、台所へ出て来た女見て、おら、ぶるぶるっとふるえちゃった。化け物(もん)かと思ったら、それがおめえ田宮のお嬢さんだってえじゃねえか。ええ ? あれがおめえ、御家人の娘だからいいがの、町人の娘だったらおめえ、へたするってえと、見せ物に引っ張り出されちまうって代物だ、
伝助、まさかあれじゃああるめえな」
「それがその、あの・・あんまり親切にしてくれるもんですから」
「何 ? 親切にしてくれるから・・・その親切がどうしたんだ」
「去年の暮れのことなんです。恐っそろしい寒い晩で、どうしても寝られねえんです。すると旦那様が娘の部屋はあったかいから行って寝ろと、こうおっしゃるんです」


「ところが、その部屋に寝て真夜中に目え覚ますと、行燈の灯りが消えてまして、で、あのう、つい、その、あの・・・今晩は」
「なあにが今晩はだよ。それでどうしたんだ」
「・・・・・」
「何い ! あの化け物・・・へえっ ! いい度胸だなおめえは。悪女の深情けってんだがな、ああいう女ってのは早く子供が出来るぞ。そうなっちゃあ大変だ。な、
で、そうならねえうちにってんで、今夜逃げ出して来たんだな」

「それがその、あのう、もうお腹、ふくれちゃ、ふくれちゃったんです。一緒に連れて逃げてくれって、こう言いまして」
「冗談じゃねえぞおい、あんな化けもんなんかと道行きが出来るもんかい。
いいか、何んと言われたって取り合うんじゃねえぞ」
「それが、そういうわけには行かねえんです。実はあの、一緒に連れて来ました」
「な、何んだ、連れて来た ! ? 表にいる。お、おい、なぜ早く言わねえんだよ、ホントにもう、出来ちまったことは仕方がねえやな、おら早く呼べ、早く呼べ」

まもなく伝助に連れられまして入って来たおつな。
「甚兵衛(じんべえ)や、どうぞお前のお骨折りで伝助と夫婦(めおと)にしておくれ」
言いながら、おこそ頭巾をサッととった。その顔を行燈(あんどん)の灯りで見た甚兵衛、思わずブルブルっとふるえた。おばあさんはというと、頭からふとんをかぶって、念仏を唱えだしたって、何もそんなに悪く言うことはないんですが。

「あ、いや今夜は遅うございますからな、万事はあすのことにしましょうな、あすのこと」
その晩は二人で二階へ寝ます。
翌日になりまして、四谷の田宮又左衛門のもとを訪れる。おつなの母親に会いまして、甚兵衛から委細を話した。母親の情の常として、二人の無事を聞いて涙を流して喜んで、
「主人は不義をした憎い奴と口では言っていなさりますが、それは表向き、心の中では二人を決して憎いとは思っちゃおりませぬ。
お前も迷惑ではあろうが、自分の子と思って世話を頼みます。
それからね、何かにつけてお金が要りましょうから、」これを娘に渡して下さるようにと、十両。

「へえ、確かにお届け申し上げます。あたしども年寄り夫婦がついておりますんでね、どうぞご安心下さいまして」
もらいました金をふところに。
松田町の家へ戻って来た甚兵衛、
「お嬢様、親御のご慈悲、決して忘れちゃいけませんよ。伝助もそうだぞ。お嬢様見捨てるようなことがあったら、俺が承知しねえから、そのつもりでいろよ」

こんこんと二人に言い聞かせ、ま、ほどなく甚兵衛が京橋五郎兵衛町(きょうばしごろべちょう)の裏長屋、借家をみつけまして、二人に所帯を持たせてやりました。
おつなは伝助の世話女房、ま、うれしいその日その日を送っておりました。
「なあ、おつな。おめえのお腹が大きくなったら、生れて来る子のためにもさ、親としてたくわえをしとかねえってえと、面目ねえや。どっか仕事があるかどうか、さがして来(く)らあ」

霞ヶ関の松平安芸守(あきのかみ)、ま、我々が十二月になりますと、必ずやるあの赤穂義士伝。あの赤穂義士伝の浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)の御本家が、この芸州広島の城主・松平安芸守でございます。

その安芸守様の足軽長屋で、飯炊きが一人欲しいという。これ幸いと、飯炊きに通うことになる。
そりゃ、ま、飯炊きですから、もらうお給金は少ないけれども、いろいろ魅力がある。

「伝助、お国から新しい米が届いたよ。前の米はまだ残ってら。虫がわくといけねえからさ、好きなだけ持ってけよ。余ったら長屋の連中に分けてやんなよ」
「伝助、味噌にカビが生えねえうちにな、味噌おめえ持ってけってさ。かみさんにどんどん食わしてやれ。腹の大きい女だ、滋養つけといたほうがいいぞ」。

ところがこの松平安芸守、俗に四月大名と申します。どういうわけかというと。
四月に芸州広島から江戸へ出府をする。で、参勤交代が済みまして国元へ帰る。これもまた四月。ですから四月大名。
四月大名、江戸表に入って来ると、連れて来る足軽、これはたくさんおります。男所帯ですから飯を炊くのが面倒。外で食うようなことをする。その費用がばく大、不経済というところから、町方から飯炊きを雇ったというのが、この家風なんでございます。

お殿様が四月、国元へ帰ります。
ところが足軽小頭(こがしら)・高田大八郎というのが一人だけ病気だといって江戸へ残った。
一人だって家来がいりゃあ、飯炊きが必要です。相変わらず伝助がかよっていた。
ちょうど五月の五日、端午(たんご)の節句の日暮れ時、あたふたと駆け込んで来たのが飯炊きの伝助。

「伝助 ! 今頃来やがって飯炊きがつとまるか、間抜けめ。何してやがった ! ? 」
「どうもすみません。実はこないだから申し上げていた通りで、今朝がたからおつなが産気づいたんです。お長屋の衆たのんで産湯沸かしてもらったり、お産婆さん呼びに行ってもらったり」
「うるせえ ! おめえにガキが出来るからといって、日干しにされてたまるか。それで伝助、生まれて来たのは男か」
「男じゃないんです」
「ふーん。一姫二太郎と言ってな、最初の子は女がいいとしてる。女か ? 」

「女でもないんです」
「何んだこりゃあ。男でなくて女でなくて、何が生まれた」
「生まれないんです、それが。騒ぎばっかりで。仕込んだときはあんなに楽だったんですけど、出て来る時は、あんなに骨が折れるって男だからわからないんです。それで心配して、お長屋の路地、行ったり来たり行ったり来たり、行った・・・」

「わかったよ。男のくせにつべこべと言い訳するねえ、みっともねえ。
伝助、怒鳴って悪かったよ。怒ったんじゃないんだ。立腹をしたんじゃないんだ。おまえが来るのが遅い空腹だ。腹が減っていらいらしてたんだ。
いいか伝助、ひもじさと寒さと恋と比ぶれば、恥ずかしながらひもじさが先ってな。人間腹が減った時によ、小野小町(おののこまち)みてえないい女がすっ裸で目の前通ったって何んとも思いやしねえ。ころがって来たにぎり飯にすっと手が出ちまうんだ。
おまえは来ない、空腹でいらいらしていて怒鳴ったんだ。怒鳴って悪かったよ。
伝助、ひとっ風呂浴びて来るからよ。その間に飯のしたくしといてくれ。いいな」

「へえ、かしこまりましてございます。あの、ちょっ、ちょっと」
「何んだ」
「旦那様、そのお召しものの、そこんところついてるの、ち、血じゃ、ありませんか ? 」   ―講談「四谷怪談」その二了―

付録
まこと勝手ながら「四谷怪談」に関連したお話を一つ。
和製ホラーとして大ヒットを記録した作品『リング』シリーズ・『呪怨』などが有名ですが、何年か前、You Tube番組の一つ「オカルトエンタメ大学」で、ゲストとして登場した映画監督、脚本家、映画批評家として活躍する高橋洋(たかはし・ひろし)氏が複数回に分けた講義をしていらっしゃいました。

私はこの監督さんなら、何か聞き甲斐のある話をしてくれそうだと思って、何回目かにホラー作品の作り方のコツを語ってくれたので、お気に入り登録しながらめぼしい箇所に絞ってじっくり聞きました。
さすがJホラーつまりJapanese Horrorのヒットメーカーだけあり、才能のみならず、親しみやすい語り方も巧みだと感激しました。

特に高橋監督が語った「四谷怪談」の話に驚きと喜びで聞き入ったのです。
髙橋氏は、黒板に次々書かれる講義テーマに言い及び、コツを教えてくれます。
そして『因縁話にはしない』というタイトルのところで、説得力ある講義をなさった。

ここに意表をつく話題が上がったのです。書いたように「四谷怪談」の話題に移ったのでした。私如きでも「四谷怪談」が因縁話の代表の一話ということは察しがつきます。その因縁話を巧みに避けて制作すべしという話の中で、「四谷怪談」を例示したので、「え ? 因縁話の四谷怪談を賞賛するって何 ? 」と俄然興味が増し、必ず聞き取って参考にしようと構えました。


髙橋洋(たかはし・ひろし)氏


以下に髙橋洋(たかはし・ひろし)氏の講義をまとめてみます。
★「四谷怪談」がいかに凄いかというと、因縁話をやっているからすごいんですよ。実はねほかの多くのものは形ばかりの因縁話になって古びちゃったんですけど、「四谷怪談」がキッチリ見せているのは、お岩(様)という存在が幽霊になる前をお話の半分くらいを使って見せるんですね。お岩(様)が恨みをのんで死んで化けるのは、真ん中ぐらいからですね。
一人の人間が幽霊になっていく過程を見せているのがこわいんです。

なぜこうなったかという因果が全部語られているんですけど、これは最強の表現ですね。
なかなか今やるの、むずかしい・・、やってみたいんですけど、「四谷怪談」って歌舞伎とか舞台で最もこわいのは、まだ人間のお岩(様)がだまされたと気づいて、伊右衛門に文句を言いに行こうと鏡に向かって髪をすいていたら、ぼろぼろってはがれ落ちていって、醜く崩れていくっていうあのシーンが、今、人間が幽霊になる瞬間を見ているっていう、そんなものをとらえようとした文化って余りないなって、やっぱり日本の怪談ってすごいなって思う・・そうすると古くさいものだって否定はできないのが怪談であり因縁話なんですね。★

以上抜粋。和製ホラーを次々ヒットさせた高橋洋氏をして、ここまで言わしむる「四谷怪談」は蓋(けだ)し名作であり、別格の凄さで時代を超越して、恐らく今後も語り継がれてゆくに違いないと思います。






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最終更新日  2024.01.15 09:37:06コメント(0) | コメントを書く


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