関本洋司のblog

2004年10月18日
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テーマ: 戦争反対(1190)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 欧州(EU)では正式に、「100%再生可能エネルギーで100%自給する100のコミュニティー」をつくるというプログラム(CTO:Campagn for Taking Off)があるそうだ。

 また具体的には風力発電の試みが挙げられ、スウェーデン全体の風力発電の約3分の1がこの島で発電されているそうだ(同書、2000年までのデータより)。
 しかし、本当に画期的なのはアイルネットという、バルト海の島々同志でのネットワークを彼らが自主的に作り、情報を公開し知恵を出し合おうとしている姿勢だ。僕はその姿勢が素晴らしいと思います。

 ところで、このゴットランド島は、アンドレイ・タルコフスキー監督の『サクリファイス』という映画の舞台となった場所なのです。
 この映画は核戦争が起こったと思い込んだ男が、自分の家を燃やすという話です。まさに世界平和が試されるミクロコスモスとしてこの島が設定されるのです。その冒頭は、主人公が自分の息子に海岸で木を植えながらこんなエピソードを語るシーンから始まります。

「ずっと昔のある時
年とった修道士が僧院に住んでいた
パムベといった

こんな木だ
そして若い門弟に言った
ヨアンという修道僧だ
“木が生き返るまで毎日必ず水をやりなさい”
毎朝早くヨアンはおけに水を満たして出かけた
木を植えた山に登り
枯れかかった木に水をやって
辺りが暗くなった夕暮れ
僧院に戻ってきた
これを3年続けた
そしてある晴れた日


サクリファイス白黒

 タルコフスキーがこの映画を撮ったときは、循環型、持続可能エネルギーへの摸索がその島で端緒についていたわけではないから(映画は1985年制作。ただしこの島に風力協同組合は存在しただろう)、タルコフスキーが撮影場所に(世界平和が試されるミクロコスモスとして)この島を選んだのは慧眼だったと思います。

 さて、ゴットランドの環境への試みに関して言えば、それはまだ始まったばかりです。
 そして、その動きを紹介した前出の本『北欧のエネルギーデモクラシー』(飯田哲也著)には、ゴットランドで開かれた「国際フォーラム」の模様が最後に紹介され、その光景に僕は感動を禁じ得ませんでした。

 「二日間にわたる各島・各国からの報告や熱心な討議を経て、島における統合的な自然エネルギー政策の必要性やこうした島のネットワーク活動の拡大などを含む提言が行なわれた。翌年の開催地としてアメリカン・サモアが名乗りを上げ、そこでの再開を期して、初めての自然エネルギーアイランド会議は閉幕した。最後の夕べの晩餐会は、心温まる交流会となった。南太平洋の島人たちによる合唱を皮切りにコーラス合戦が始まり、陽気なカリビアンの歌声、島国デンマークの合唱、ハワイアン、そして日本も...。新しいネットワークを確かめ深め合うかのように、歌い、踊り、飲み、そして語り明かし、終わりがないかのような夜も更けていった。」

 このフォーラムにも参加していたモルディブや大平洋の島々の人にとっては、今現在地球温暖化によって水没という国土消失の危機に立っているので、環境問題は生死を分ける問題であって、きれいごとではあり得ません。彼らの発言力は国連でも強くなっていると聞きますが、こうした小さな試みが実を結んでいけば(さらに他の島がつづいていけば)、その発言力は今後もっと大きくなっていくでしょう。






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最終更新日  2004年10月18日 01時42分30秒


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