関本洋司のblog

2004年11月01日
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テーマ: 戦争反対(1190)
カテゴリ: コラム
 以下、以前コメント欄でも紹介した、ピースボートの共同代表である櫛渕万理さんの提案を再度紹介させていただきます。
9LOVEイベント報告

・有事はない、と言うが、本当にそうか?

   戦争の危機はある。ただし、北朝鮮ではなく、べつの場所に。
  アジアの中では90年代に終わったはずの冷戦が続いている。たとえ
  ば、1:中国と台湾の分断、2:南北朝鮮の分断、3:北方四島の問題、
  4:ほかにも尖閣諸島など領土のあいまいな島々がいくつも存在する。
  中国・台湾はつねに緊張関係が続いていて、アメリカは台湾に大量
  の武器を輸出しているし、朝鮮半島では今も38度線の両側に兵士が

  すべないままでいる。
   戦後、真実究明委員会を設置するような国もあるが、アジアでは
  歴史の清算もされないままの冷戦が続いていて、さらにそこに経済
  のグローバル化の問題が出てきた状態。もういちどアジアの中で戦
  争が起こる前に、手を打たなくてはならない。

・非武装にビジョンを

   ピースボートでは、北朝鮮とも顔の見える交流を続けてきて、今
  までに2000人と一緒に日本から北朝鮮を訪問した。人と人との関係
  を築き、現状を知ると、唯一の道が非武装、非暴力である。
    非武装、非暴力は「理念としてはいいけど」と言われるが、
  日本はそれを実際に憲法として持っている。だから、憲法をなんと

  して、実現していくことが必要だと思う。

   イラクへの派兵も、自衛隊を持つことも、あきらかに憲法違反で
  あるけれど、ただそれに反対するのではなく、自衛隊がなくなった
  ら、その予算をどう使うのか。日米安保がなくなったら、安全保障
  をどうするのか。攻められたらどうするのか、といったビジョンを

  るのではないか。

・非武装は最大の安全保障

   9条は、日本の安全保障である。軍事力=安全保障とは限らない。
  非武装であることがどれだけ強い安全保障になるのか、その可能性
  を追求していきたい。

   そのためにもう一度、なぜ9条ができたのか、背景を考え直す必
  要がある。アメリカに押し付けられた憲法だから、改正したほうが
  いいという議論があるが、「なぜ」アメリカに押し付けられたのか。
  第2次世界大戦の日本のアジア侵略で、アジアでは2千万人、日本
  では3百万人が死亡した。そんな大きな国家犯罪を犯した日本とい
  う軍事国家を解体するため、アジアへの安全保障として、憲法9条
  ができたのではなかったか。

   憲法前文には「For People(人々のための)」という記述がある。
  それを日本政府が「日本国民は」と訳してしまったが、そもそもは
  (外国人も含めた)すべての人々のための安全保障憲法だったはず。

・憲法とはそもそも何のために

   憲法とは、国家権力を制限するための決まりごと。市民と国家の
  契約のようなもの。法律には「人を殺してはいけません」と書いて
  あって、人を殺してしまったら重い罰則があり、場合によっては死
  刑になる。一方で、国に対して「国家も人を殺してはいけません」
  というのが9条ではないか。個人だったら死刑になるのに、国家な
  ら、戦争だったら、人を殺してもいいのか?
   国家は、もちろん規則にしばられたくないから「改憲」を言うだ
  ろう。でもそれを市民が許すのは、安易すぎはしないか?

・アジアの非武装の平和のために、具体策は?

   提案=東アジア非核地帯条約:6カ国協議を行っている国々で、
  アメリカも含めて、6カ国で東アジア平和条約を結ぶ。
  理想主義的と言われそうだが、実はこれはそう難しい話ではない。
  日本には非核3原則があるし、朝鮮半島でも92年に朝鮮半島非核
  宣言を出している。これをベースに、すでに東アジアのNGOが集
  まって討議を進めていて、国連につながる国際会議「武力紛争予防
  のための市民社会の役割 - 東北アジア地域協議会」で、モデル条約
  として採択されている。

   提案=地域の歴史記憶の共有化:日本の教科書で見る第2次世界
  大戦と、韓国の教科書のそれとは全然違うものになっている。歴史
  認識が共有できないうちは、共通の未来や地域全体の安全保障を作
  っていくのが難しい。東アジア各国からの代表で構成して真相究明
  委員会などを設置し、アジア共通の歴史教科書を作ってはどうか。
   提案=アジア地域全体の憲法9条を作る:地域全体の安全保障と
  して、9条のように条文化されたものを採択する。

 以上、上記の櫛淵さんの案は具体的ですし、彼女が日本国内で南北朝鮮の合同イベントを開くなど、一歩づつ上記の案を現実化している方であるということも付記しておきます。

 追記: 
 櫛淵さんの講演を採録していただいたピースボートの小野寺愛さんにも感謝いたします。





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最終更新日  2004年11月01日 01時32分12秒


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