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えーと、日産GT-RとレクサスLFAは、まさに日本を代表するプレミアム・スポーツカーです。この両者が、やや大変なことになっている!どうむパワーウォーズを繰り広げるようです・・・ まあ、そのことは少し置いといて・・・ MSN自動車の連載「マイスターの逸品」から、まずGT-Rをご紹介します。
モノづくりの本質は人を感動させることにある、とGT-Rのチーフエンジニアは説く。感動は造り手がカスタマーを「思いやり」、「もてなす」気持ちから生まれると考えているからだ。そして、そこにはオリジナリティあふれる主張がなければならない。 ドライバーと向き合うステアリングホイールの中央には、漆で加飾された輪島蒔絵(まきえ)のGT-Rエンブレムが装着される。英語で漆器をジャパンと呼ぶように、漆は日本を代表する伝統工芸。木地を整え、漆を塗っては乾かし、研いで磨きあげ、また重ね塗りする、という作業を幾重にも繰り返し、手間と時間をかけて造り上げる。輪島塗の伝統工芸士・久保田栄氏が一つ一つ丹精を込めて仕上げたエンブレムは、漆ならではの深い色合いと艶、時を重ねるごとに変化する美しい輝きを放つ。 一方で、自動車発祥の地として100年を超える歴史と文化を持つ欧州は、馬具や家具づくりの流れをくむ革製品の伝統が息づく。GT-R開発チームが選んだメーカーは、ドイツ北西部の工業都市、ミュルハイム・アン・デア・ルールにあるシートン社だ。日本で製造された内装のベース部品はシートン社に送られ、ここで一品一品、職人の手作業によって張り込まれる。こうして完成した内装部品は再び日本に送り返され、日産栃木工場のEGOIST専用工房で、匠(たくみ)の技を持つ職人の手によって最終組み立てが行われるのだ。 外来のモノを受け入れ、取り込み、日本古来のモノと融合させて新しい価値を創造する。日本が得意としてきたモノづくりの世界が、GT-Rのコクピットの中に凝縮して再現されている。妥協することなく「造り」にこだわったEGOISTは、日本発のスーパーカー、日産 GT-Rのブランド価値を世界に問うバージョンなのだ。
クルマは、閉ざされたプライベート空間として自由に音楽を楽しめる場所だと思われがちだが、走行時の騒音や音の反響・残響などにより、オーディオの視聴において理想的な環境とはいえない。そこで、開発の初期段階からボディ開発の一部として、クルマの音響特性に合わせてスピーカーの配置などを最適化し、音響品質を高めるプレミアムオーディオが注目を集めている。 GT-Rは、もともとBOSEサウンドシステムを搭載しているが、EGOISTにはさらに特別なコンポーネントが用意されている。トランクとの仕切りとなるアルミダイキャストパネルに、カーボンコンポジットのマウントベースで支えられた新開発の専用ウーファーを装着。雑振動のない迫力あるサウンドは、かつてない研ぎ澄まされた透明感を融合した仕上がりになっている。 このBOSEプレシジョン・サウンドシステムを注文すると、オーナーは店頭で計測用シートに座り、耳の位置を確認。そのデータをもとにBOSE社が顧客のシートポジションに合わせた音場セッティングを行い、世界唯一のオーディオ空間を仕立てあげる。特殊な製造方法のため、月に7~8台程度しか生産対応できないという。まさにプレミアムな「おもてなし」といえよう。
GT-Rは日本車では珍しいイヤーモデル制を採用する。新車発表後も研究・試作・テストを重ね、その成果を一年ごとにクルマに反映させ、着実に進化・改良のステップを踏んでいく。VR38型ツインターボエンジンは、発表から3年を経て大きく進化した。最高出力、最大トルクとも従来モデルから増強されたにもかかわらず、燃費と環境性能は向上している。 GT-Rのエンジンは、ちりやほこりのない日産横浜工場のクリーンルームで、優れたエンジニアの手によって一機一機組み立てられる。生産台数の多くないスーパーカーには、エンジンを手組みにする例はあるが、専用のクリーンルームで組み立てるのはF1並みのクオリティコントロールといえる。組み上げられたエンジンは、一機一機、性能検査を実施する。人間の技術は熟練を増すほどに精度が上がり、性能までも進化させる。GT-Rのエンジンが基本構造を大きく変えることなくパフォーマンスを向上させたのは、培ってきた職人の技が生み出したものと言い切れる。3年の歳月を経て鍛え抜かれた人間の進化の証しといっても過言ではない。
一般的に、空気抵抗を減らそうとすればダウンフォースが犠牲になり、ダウンフォースを優先すれば空気抵抗は大きくなる。空気抵抗とダウンフォースはトレードオフの関係にあるとされてきたが、GT-Rの開発チームはその定説を覆し、独自の車両空気流制御によって空気抵抗を減らしつつも、ダウンフォースを増加させることに成功したのだ。 2011年型GT-Rは、冷却性能を高めるためにフロントバンパー開口部とグリル開口部を拡大。フロントバンパーの二段フィンによって整流された空気が乱れることなくサイドに導かれることで、バンパーとグリルから入った空気が左右のホイールハウスから勢いよく吸い出される。この結果、エンジンルーム内に負圧が生じ、空気抵抗を増大させずに大きなダウンフォースを得ることができる。また、新造形のリアディフューザーは、車体後部で発生する乱流(渦)をより後方へと離すことによって、空気抵抗のもととなる負圧エリアをボディから遠ざけた。これによって空気抵抗を低減すると同時に、床下を流れる空気量を増加させて、トランスミッションやマフラーの冷却性能を高めつつ、リアのダウンフォースも高めている。
塗装においてもGT-Rならではの高付加価値を提供する。特別塗装色に関しては、一台一台、職人の手で徹底的に磨きこむ仕上げ工程を経て、色の変化や奥行きが再現されているのだ。GT-Rは、本来なら専用の組み立てラインを新設して生産すべきクルマだったかもしれない。しかし既存の生産ラインに含めたことで、同時に組み立てられている他の車種の完成度も高まっているという。GT-Rというフラッグシップスーパーカーがポジティブな連鎖反応を生んでいるのだ。 生産工程の最後に待ち構える、通称「シェイクダウン」走行検査がGT-Rを送り出す職人技の真骨頂といえる。全車両に実施される出荷時のなじみ走行で、品質管理部門の特別技能ドライバーによって「商品性評価路」と呼ばれるワインディン路を模したサーキットを周回しながら、数々のセッティングメニューが施される。ここまでやるのは、世界でもほんの一握りのスポーツカー専業メーカーだけだ。


あたかもレーシングカーのシェイクダウンのような作業が、GT-Rがラインオフするたびに繰り返されるのは、性能保証のためである以上に、オーナーの元へ車両が届いた瞬間から、新次元のマルチパフォーマンスを存分に味わってもらいたいからに他ならない。GT-Rには、職人の志やプライドがぎっしりと詰め込まれているのだ。
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