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BLACKじゃない!黄色じゃん。なんて言わないで・・・これがメルセデスの高級やんちゃカーなのです。 記事はWeb CG西川淳レポートからです。
あの「C63 AMGクーペ」をさらに獰猛(どうもう)に仕立てた「ブラックシリーズ」。517psのモンスターを、「コークスクリュー」で有名なラグナセカレースウェイで試した。
メルセデスの乗用車のプレミアム ハイパフォーマンスラインナップであるAMGの、さらに「上」をいく存在。いささかの嫉妬をこめて、「屋上屋を架する」とついつい皮肉りたくなる。
ボディーをぐるりと取り巻くエアロデバイスは、すべてノーマル「C63クーペ」とは異なるデザインだ。穴や出っ張りやデカい羽根は、いずれも性能と空力によって導かれたものである。特にフェンダーの張り出しは、「ハコ」のスポーツカー好きにはたまらないのではないだろうか。トレッドを前40mm、後79mmワイドにしたため、フェンダーも前28mm、後42mm(いずれも片側)ずつノーマルモデルよりもフレアしている。
写真で見た時は「ちょっと子供っぽいかな」と思ったカーボンパーツ類も、実物を見てしまうとその仕上がり質感の良さに驚き、とりこになってしまった。ちなみに、フロントの両端に2本ずつ備わるカナードや、調整が可能なハイリアウイングは、本国仕様の場合、「AMGエアロダイナミクスパッケージ」というオプション品である。
SLS由来の巨大な軽量鍛造アロイホイールと、フロントコンポジット ディスクブレーキの組み合わせもまた、レーシーなスタイルに華を添えている。極めつけはエンブレムだ。トランクリッドのAMGロゴには、さりげなく「ブラックシリーズ」の文字が輝く。
一方、インテリアはエクステリアほどモディファイされていないように感じられるかもしれない。確かに、ダッシュボード周りのデザインはそうだ。けれども、よく目を凝らしてみれば、赤いシートベルトやステッチ、AMGパフォーマンス ステアリングホイールなど、細かく変更されているのが分かる。そして、ダッシュボードにもAMGブラックシリーズ専用のバッジが装着される。
インテリアにおけるノーマルモデルとの最大の違いは、2シーターであることだろう。フロントシートはフルバケットのスポーツタイプとし、リアシートは取り払って棚状になっている。とはいえ、そこは「おもてなし」のプレミアムブランド、4シーター仕様も選ぶことができる。
アルミニウムフードの下に収まるのは、AMGオリジナル開発ユニットの6.2リッターV8自然吸気エンジンだ。ドライサンプ式専用チューンのSLS AMG用M159エンジンと区別して、こちらはM156と呼ばれる。
そのパワースペックは517psに達した。M156ユニットはM159と同様の作法、すなわち鍛造のピストンやコネクティングロッド、軽量設計のクランクシャフトで仕立てられたハイスペック仕様のエンジンである。しかし、このエンジンは現行モデルのC63をもってお役御免となるから。
組み合わされるトランスミッションは、ご存じ「AMGスピードシフトMCT7段スポーツ」。7Gユニットにすっぽり収まる多板クラッチ式のセミMTシステムだ。そのほか、ワイドトレッド化された足まわりには、新開発の「AMGコイルオーバースポーツサスペンション」が装着される。好みに応じたさまざまなセッティングが可能だ。また3ステージESPや、リアデファレンシャルロックなども標準装備である。
試乗会はラグナセカで行われた。一行を先導するのは、ベルント・シュナイダーの駆るSLS AMGだ。
順番待ちをしている間、ストレートをカルガモ走行するSLSとC63ブラックシリーズのサウンドにじっくり耳を傾ける。基本的に、アメリカンマッスルを意識したSLSサウンドと同じ方向性の音である。盛大に空気を吸い込み、ためらうことなく後ろへ吐き出す音、といった感じである。
乗ってみても、SLSの車高(重心高)を上げてサルーンにすればきっとこんな感じだろう、というライドフィールだった。とにかくステアリングフィールがビビッドでカッチリしており、ノーズは気持ちよくコーナーの内を向く。ノーマルの「C63AMG クーペ」よりも明らかにフラットで安定しているのだ。
そして予想どおり、リアのスタビリティーが恐ろしく高い。C63クーペはどちらかというと楽しげにオシリを振るタイプのクルマだったが、ブラックシリーズはその領域が高く、しかも狭い。正直、マトモなテクニックがなければ、ノーマルのC63クーペのようには楽しめないだろう。
というわけで、マトモなテクニックに欠ける筆者はというと、「待ってろ、シュナイダー!」と意気込んで走りだしてはみたものの、1コーナーで早くも「待ってよ、シュナイダー……」と泣きが入った。ラグナセカ名物の「コークスクリュー」には、もうラインも何も分からない状態で突入して、あやうくコースアウトしそうになった。
結論。ブラックシリーズは、いまC63ではやっているらしい「サーキット遊び」を極めつつある人のための、ステップアップマシンである。なので、ぜひ2シーター仕様でお楽しみください。
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