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あのフィンセント・ファン・ゴッホとその弟・テオ。 そして、実在の画商・林忠正と、その弟子である架空の人物・加納重吉。 この4人が、本作の中で重要な役割を果たす登場人物ですが、 中でも、重吉とテオの二人の関りが、物語を紡ぎだしていくことになります。 お話は、史実に基づく部分もあるのでしょうが、 その大部分は、著者であるマハさんによる想像の産物と思われます。 それでも、重吉の目を通して見たフィンセントとテオの生き様には、 強く強く引き付けられてしまいます。ゴッホが創作活動に励んでいた頃のパリの様子が生き生きと描かれ、『ジヴェルニーの食卓』等でも見られた『印象派』の活躍や浮世絵人気が創り出した『ジャポニズム』への熱狂ぶりも、しっかりと伝わってきます。安定の原田マハ作品です。
2020.11.28
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200年前に周防を出発した航路啓開船ノイエ・プラネットが、 敷島星系に向かう途上ガイナスと思われる船団に遭遇し、 敷島星系でも文明を発見したとの通信データが発見された。 その後、敷島星系へのAFD航法が啓開され、文明の存在が確認される。 バーキン大江主計少将は、敷島星系の異星人文明調査基地の司令官となって、 メリンダ山田経理部長と共に、機動要塞の建設を急ピッチで進める。 そして、そこにやって来た周防政府全権代表委員シーラッハの真の狙いが、 ノイエ・プラネットを探し出すことだと気付く。ノイエ・プラネットが数十年に渡って収集した異星人データを回収すべく、巡洋艦ヤクモと貨客船クラフトワークが惑星敷島に向かう。そして、ノイエ・プラネットを発見し、データを回収しようとしたところ、未確認飛行物体が襲来する。一方、ガイナスの拠点「蜘蛛の巣」を監視する奈落基地では、一木魅猫少将が、前任者のバーキンに代わって司令官となった。しかし、ガイナスとの意思疎通プロジェクト主務者には、烏丸三樹夫司令官が着任。一木は、その支援を行うものの、プロジェクトに関しては蚊帳の外に置かれていた。烏丸は、旗艦である巡洋艦ツシマで、三条新伍先任参謀と共に、ガイナスとの意思疎通を様々な方法で試みながら、成果を積み重ねていく。しかし、自らが危機管理委員会に出席せねばならなくなったため、三条にその職務代行を委ね、駆逐艦カゲロウで壱岐に向かう。そのタイミングで、一木は、要塞での造修能力を示そうと、ケルン、ファルケ、ヤコビの3隻を同時にドック入りさせてしまう。実質的な戦力が半分以下の4隻になったその時、6隻のガイナス戦艦が封鎖を破って出撃。圧倒的な劣勢の中、三条は一木の艦艇進出命令を拒み、ガイナスとの意思疎通を図るのだった。 ***その後、敷島星系、奈落基地共に、事態は収拾していきます。今巻のお話は、なかなか理屈っぽくて、ちゃんと理解するのは大変ですね。(まぁ、これがこの作品らしいところなんでしょうけれど)上記2つのメインのお話の他にも、シャロンやマイア、ラム浅井が登場したり、相賀、坂上、水上、火伏、タオらが登場したりして、次巻への布石が打たれています。
2020.11.28
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娘との関係に、何とも言えないもどかしさを感じている父親は多い。 そんな父親たちが、思わず手を伸ばしたくなるようなタイトルを冠したのが本著。 「娘との関係を、少しでも改善するための糸口を見つけることが出来れば……」 期待を込めて、父親たちはページを捲り始める。 しかし、第1章で展開されるのは、今や売れっ子となった著者の体験談。 それは、羨ましいばかりの父と娘の関係。 「残念ながら、そんなんじゃないんだよなぁ、ウチは……」 新しい展開を期待しつつ、父親たちは第2章のページを捲る。そこでみつけたのが『5W1Hは、脳を迎撃モードに入れる』(p.45)。男にとって当たり前の『問題解決の対話』が、女性のご機嫌を損ねるらしい。女性が求めているのは『心の対話』で、これは妻も娘も同じとのこと。「なるほど、これは思い当たる節がアリアリすぎる」目の前が少し開けてきたような気がしながらページを捲り続けると、『心の対話』をするための指南が次々になされていく。『相手の変化に気づいてことばをかけよう』『自分の話をプレゼントする』『頼りにする』『弱音を吐こう』『オタクになろう』等々。そして辿り着いたのが『生殖ホルモンのいたずら』。 まず、「思春期とは、そういうもの」とまるっきり呑み込もう。 尖った目で、うんざりした顔をされたら、「きたきたーっ」と思えばいい。 悲しむことはない。(p.83)娘とは、そういう風に出来ているものだと分かれば、いちいち気をもまずにすむ。そして、『「お父さんは臭い」は、後継者の証』には感動。『お父さんにとっても、娘にとってもツライこの時期は、いつか必ず終わる。』(p.87)目の前に、明るい未来が一気に広がった気がした。そして、第3章。世の父親たちよ、期待して読み進められよ。
2020.11.28
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流行に乗り遅れましたが、やっと読みました。 1926年に米国で出版された『The Richest Man In Babylon 』を 翻訳、脚本、漫画化したもので、内容的にはビジネスマン向けの自己啓発書。 なぜ、これほど売れたのでしょう? ***プロローグ 金に動かされる現代人 元大学教授で考古学者の大場拓也が、バビロニアの発展を支えた『黄金の法則』が書かれた粘土板を、友人の勧めで解読することになります。第1章 バビロン一の大金持ち -なぜ、同じように働いているのに、貧乏人と大金持ちがいるのか? 15歳の武器職人の息子・バンシルは、バビロンの大富豪・アルカドに金持ちになる方法を聞きに行きます。アルカドは「収入の十分の一を貯金することだ」と答えます。第2章 学びの殿堂 - 大富豪だけが知っている「黄金に愛される七つ道具」 半年後、バンシルは次の教えを請うためにアルカドが開催する「学びの殿堂」に出かけます。アルカドは、そこに集まった人々に「黄金を増やす七つの道具」の全てを授けます。第3章 試練 - 価値があるのは、金貨が入った袋か、知恵が詰まった袋か? 3日後、バンシルの前に現れたアルカドが「お前は、金と知恵、どちらか一方を手に入れられるとしたら、どちらを望む?」と尋ねます。「知恵」と答えたバンシルに、アルカドはそれを証明するための旅に出るよう告げますが、その旅でバンシルは無一文となってしまいます。その時、アルカドから手渡された知恵の袋を開けると、そこには「お金」と「幸せ」を生み出す5つの黄金法則が刻まれた粘土板が入っていました。第4章 帰還 - 賢者の助言によって、貯金が懸命に働きだす その後の努力で、旅の目的を達成したバンシルはバビロンに戻り、アルカドから同志としてバビロニアの発展に協力して欲しいと頼まれます。しかし、バビロニアには北方から夥しい数の騎兵が迫っていました。第5章 ザ・ウォール -「守るべきもの」があるから人は何度でも立ち上がれるアッシリアの攻撃を、バビロニア王国は高い城壁で防ぎきります。しかし戦の中、敵兵に攻撃されたバンシルを庇い、アルカドは絶命してしまいます。第6章 奴隷だった男 - 己の心は「奴隷」のものか、「自由民」のものか 戦で両親と一切の富を失くし、失意のどん底にいたバンシルに、金貸しのダバシアが自らの奴隷時代を語ります。ダバシアから「両親やアルカドに恩を返せたのか?」と尋ねられたバンシルは、再び立ち上がります。第7章 伝承 -はるか昔の借金返済記録が、現代人を救う 必死になって借金を全て返済し終えたバンシルが、王女と結婚することになります。一方現代では、大場拓也がバンシルの残した借金返済記録を懸命に解読していました。第8章 王子の商隊 -なぜ人は働くのか。それは金のためではなかった 数年後、バビロニア王子であるハダン・グラに「何故すでにお金があるのに働くのか」と問われた義兄・バンシルは、「お金なんておまけだ」と語ります。エピローグ 最後の黄金法則 大場拓也は『黄金の法則』の解読に成功し、失った職と妻娘を取り戻していきます。お話とは別に、章と章の間には次のようなコラムも掲載されています。コラム1 収入の十分の一を貯めるとどれくらい貯まるのかコラム2 収入の十分の一を貯金しても「生活水準が変わらない」は本当かコラム3 私たちは何に投資をするべきかコラム4 現代における「懸命な投資先」とは その1コラム5 現代における「懸命な投資先」とは その2 コラム6 お金があれば幸せか賢明な投資先として「外国株式のインデックスファンド」の長期運用を推奨した箇所は、「本題のお話の流れのなかで、これはどうなの?」と、唐突に感じてしまいました。
2020.11.22
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同調圧力に従いやすく、不安が高く、社会的排除を起こしやすい。 そんな日本人の特質を脳科学の視点から論じた一冊。 著者は脳科学者の中野信子さん。 その出版ペースは目を見張るもので、メディアへの露出も半端ない売れっ子さん。 *** ”カミカゼ遺伝子”は脳内に現代も息づいているか 日本人はなぜ「醜くても勝つ」より「美しく負ける」を好むのか 日本人は富裕層になれても大富豪にはなれない? 不倫もバッシングも脳や遺伝子に操られているのか目次で、第1章の見出しを見ているだけでも、興味深い内容のオンパレード。この後に続く第2章以降も同様で、カスタマーレビューの評価も上々。大いに期待しながら読み始めたのですが、読了した時点で、私が付箋を貼ったのは、次のたった1か所だけでした。 そして実は、日本人の脳にあるセロトニントランスポーターの量は、 世界でも一番少ない部類に入ります (量を決める遺伝子にバリエーションがあり、 量を少なく産出するSS型という遺伝子型を持つ人の割合が日本人に多いため)。 ようするに、世界でも、最も実直で真面目で自己犠牲をいとわない人々ではありますが、 いったん怒らせると何をするかわからなくなるということです。 この性質が、第二次世界大戦で恐れられた 「カミカゼ」を支えた心理の裏にはあったと考えられ、 その遺伝子はまだ脈々と私たちの中に受け継がれていると言えます。(p.21)「なるほど」と思わされる記述であり、この後の記述についても、やはり「なるほど」と思わされるものが続きました。でも、付箋を貼るまでには至らなかったんですね……なぜか?本著を読んでいると、なんだかエッセイを読んでいるような感じがしました。「なるほど」とは思わされるのですが、そこから先の深掘りへとは展開してくれない。それ故、心の奥底までグッとくるには至らず、付箋を貼るという行為が喚起されなかった……という感じでしょうか。どうしてこんなことになったのかなと、今一度ページを捲り直してみると、目次に続くページに、次のような記述があったことに気付きました。 本著はWebメディア「現代ビジネス」で、 2018年4月から約半年間にわたって連載した 「日本人の脳に迫る」に加筆修正したものです。紙媒体以外にも、こんな風に執筆活動をされていたんですね。本当に驚異的なペースで、圧倒されてしまいます。
2020.11.21
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副題は「大先輩たちが語る生き方のヒント」。 「不登校新聞」に掲載されたインタビュー記事をまとめた一冊ですが、 聞き手は、不登校・ひきこもりの当事者・経験者である子ども・若手編集部、 答えるのは、樹木希林さんをはじめとする様々な分野で活躍する20人です。 2002年6月15日に発行された100号に掲載された横尾忠則さんから、 2018年1月15日に発行された474号に掲載された安富歩さんまで、 インタビューが行われた時期にも幅があり、また、答えた方の属性も実に様々。 不登校についても、色んな捉え方、受け止め方、考え方があることに気付かされます。 *** この先、あなたはなぜ自分がこんな状況になってしまったのか、 考えるときがくるでしょう。 でも、その原因究明はするべきじゃありません。 原因を究明しても、誰かを悪者にして終わるだけ。 誰も助からない。 明日、どうやって飯を食うかのほうが、よっぽど大事です。(p.79)これは、本著の装画も描いている西原理恵子さんの言葉。この部分はもちろん、西原さんの言葉は全体を通じて共感できるところが多かったです。 難しいですが基本的には 「あなたが学校に行こうと行くまいと、私の人生に何の関係があるの」という、 ほとんど太陽のようなあり方をしていたほうがいいと思いますね。 不登校にしろ、病気にしろ、それはたんなる一つの現象にすぎません。 その現象や症状が、病気とか、健康とか呼ばれるだけのことです。 無難な症状だけを見せていれば健康と呼ぶわけです。 症状だけをどうにか押さえつけたところで大きくは変わらないでしょう。(p.109)これは「不登校の息子に親としてどう寄り添えばいいのでしょうか」という問いに、玄侑宗久さんが答えたもので、この後にも僧侶らしい深みのある言葉が続きます。 子どものときを思い出すと、信じて待ってほしかったなと。 10代だったころは気持ちと行動がなかなか伴わないし、 親としては子どもの今後を決めてあげないと責任を放棄している気にもなります。 でも、親が「子どものために」と動きまわっているときは、 「ああ、やっぱり信じてくれないんだな」と 子どもは思ってしまうこともある。(p.161)これは「学校に行かない子に対する大人の役割は何だと思いますか?」という問いに、辻村深月さんが答えたもので、『かがみの孤城』についての問答も興味深いものでした。
2020.11.15
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大学生という時期を過ごす若者たちを描いたお話。 主人公である田端楓も、 このお話の中で特に重要な役割を果たす秋好寿乃も、 まさに、青くて痛くて脆い。 この作品は、『君の膵臓をたべたい』とは違うし、 『また、同じ夢を見ていた』とも違うし、 『よるのばけもの』とも違います。 また、新たな住野さんの一面が見られる一冊になりました。私は『されどわれらが日々―』を思い出しながら読み進めていました。もちろん、時代背景も、社会情勢も、学生たちの置かれた状況も大きく異なります。それでも、大学生という時期に見られる感性には、共通するものがあるように思います。まぁ、エンディングについては、人によりその評価が分かれるかもしれませんね。
2020.11.15
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兎田孝則は誘拐グループの一員で、猪田勝とペアを組んでいる。 その誘拐グループで資金管理をしている経理の女が行方をくらました。 コンサルタントのオリオオリオに言い包められ、 グループの金に手を付け、それをどこかの口座に移してしまったらしい。 グループは、近々取引相手に送金せねばならないが、手元の資金は不足している。 経理が喋れない今、金を取り戻すには、オリオオリオを探し出すしかない。 そして、兎田の新妻・綿子ちゃんが誘拐されてしまう。黒ずくめの服にキャップをかぶった男が拳銃を向けて一戸建てに侵入してきた。その家に住む長男・勇介とその母親、そして2階にいた男は拘束されてしまう。 黒澤は、今村と共に詐欺師の家に空き巣に入る。しかし、黒澤が空き巣に入った家にいつも残していく「但し書き」を、今村が勝手にコピーし、別の家に落としてきてしまったことが判明する。宮城県警に、若い男から「立てこもり」の電話がかかってきた。時間を改め、特殊捜査班SITの夏之目課長は、犯人に電話をかける。犯人の要求は、オリオオリオを連れてこいというものだった。 ***これら4つの異なるエピソードが、時間と場所が行き来しつつ、一つに集約していきます。「なるほど、そういうことだったのか……」と唸らされることになりますが、用心深く読み進めていかないと、頭の中がこんがらがってしまうかもしれませんね。
2020.11.08
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深津は、職員室で競馬新聞を広げながらも、 昨日のJKFBインターリーグ決勝戦、対興蓮館高校戦を振り返り、 試合後に能見奈緒子から突きつけられた言葉を思い出していた。 あなたは以前 私に”女子サッカーに未来はあるのか” - と言ったわ 私は即答出来なかった - でも 彼女達をみてきたこの4か月 考えは変わった あのコたちこそ 日本女子サッカーの未来だ その未来をダメにするのは 無責任で無関心なあんた達だそして帰途、深津は制服姿のまま練習場でボールを蹴る田勢絵梨子の姿を目にする。田勢は、PKを蹴る怖さから自分が逃げたため、その責任を恩田望に押しつけることになってしまったと、後悔の言葉を口にする。そんな田勢に、あの試合の敗戦の全ての責任は、指導者たる自分にあると深津は言う。そして、田勢がサッカーをする理由を聞きながら、能見がプレイヤーとして活躍していた頃、勝利インタビューで語った言葉を思い出す。 とにかく勝ててよかったです ほっとしました 私達が負けてしまったら 日本女子サッカーは終わってしまいます 私たちは強くならなくてはいけません スポーツ競技だから当然ですが なんとか結果を出して関心を持って欲しい 認識して欲しい 女子サッカーが抱える課題と問題点を そして知って欲しいんです サッカーは女の子も出来るスポーツだということを あなた達の友達が世界中にたくさんいるということを 私は私を超えられない 私を超えるのはあなた達です 大変なことをお願いするけれど どうか続いて欲しい 強くなって 守って欲しい 女の子が当たり前の様に楽しく サッカーの出来る環境を守って欲しいそして、全日本高等学校女子サッカー選手権大会本選に向け、埼玉県予選上位2位通過を目標に、深津がトレーニングから指導を開始する。盆明けには、周防すみれの父・隆心が住職を務める周蒼寺で地獄の合宿。ゲーゲンプレッシングをチーム全体の基本戦術とし、練習を積み重ねる。しかし、埼玉県予選リーグ第1戦、蕨青南は桶川済生に1対2で敗れてしまう。それでも、深津はその試合内容に大きな手応えを感じていたが、能見からは、それを言葉にして選手たちに伝えなければならないと指摘される。深津は、他選手との間に情熱の温度差を感じて悩む宮坂真琴に言葉をかけた。そして第2戦、新座女子高戦では、3対0と見事に勝利を収めたのだった。 ***今巻の帯には「2021年4月 映画&TV Wアニメ化決定!!」とあります。2021年秋に開幕するWEリーグに向けてのPRに、最も相応しい作品ですからね。そして、今巻の中で能見が語った様々な言葉は、女子サッカーの現状を物語っています。アニメのオープニングは、能見のインタビューシーンからでも良いのでは?
2020.11.08
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環との話を終えた愛怜は、崇に曹国良からのアドバイスを伝える それは、祖父・秋光正がやろうとしていた元来の計画に舵を切れということ 臓器移植ネットワークの最終構想、パーフェクトドナーのクローンの臓器牧場。 臓器のローリングストック。 クローンを複数体造り、臓器提供する側と解体する側に分ける そして一定数解体を繰り返したクローンは 新しいクローンに 臓器のため 解体される側になる …解体される時期になると 自動的に死にたくなる…環を解体する側から解体される側に回すことを拒絶する崇に、このままクジラ狩りを続けたいのなら、死にたいという気持ちと生きたいという欲望に挟まれてボロボロな状態の環を、リセットするため、環に英琢磨を解体させろと、愛怜は言う。一方、久しぶりに日本に入国した琢磨は、廣瀬と桜田に会う。琢磨は、極秋会の依頼で英医院が保管していた受精卵の一部が大陸の組織に奪われ、その受精卵を用い、代理母から産まれたのが環だと、二人に打ち明ける。そして、その代理母は、英医院の元看護士で、現在、環の世話をしている多江だとも。後日、自らの行動に崇から疑念を抱かれた愛怜は、パーフェクトドナーのクローンの臓器牧場を否定し、正義を語り、クジラ狩りを継続しようとする崇を糾弾する。これにより、愛怜は崇から追い出されてしまうことに。しかし、梨世がベッドの中で崇の子供を身籠ったことを伝えようとしたとき、崇は、愛怜に盛られた毒で意識不明に陥ってしまう。梨世は、お腹の中の子供を守るため、崇を見捨て屋敷を出ていく。そして、環のもとに一人の年配男性が訪ねてきたのだった。 ***今巻では、秋光正の目指した「臓器移植ネットワークの最終構想」が明らかに。そして、環がどのような状況のもと、何を求められて生まれてきたのかも。一方、リュウが病院で1か月ぶりに意識を取り戻しました。彼の今後の動きも注目ですね。
2020.11.01
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フェリーからの脱出に成功した田代勇次は、川崎区の民家に潜伏。 非行少年たちを仲間に引き込みつつ、 川崎総合病院で、協力者と共に3Dプリンターを用いて銃を密造し、 失地回復と元担任教師・三井和美及び優莉結衣への復讐を目指す。 一方、公安警察による厳重な監視下に置かれていた結衣は、 ストレス性高体温症で40℃の高熱が続き、宇都宮市内の病院に入院。 しかし、勇次が和美の元夫を殺害した事件を知ると病院から脱走、 勇次との決着をつけるべくその行方を追うが、川崎総合病院で拘束されてしまう。勇次の主治医が用意した装置から発せられる電気刺激により、自らの意思に反して、女性看護師に向け無理矢理発砲させられてしまった結衣は、警視庁庁舎でその事情を聴かれるが、そこに勇次からテレビ電話がかかってくる。やり取りの中、勇次の魂胆に気付いた結衣は、和美を救出すべく警視庁庁舎を脱出。結衣は、勇次に拘束されていた和美を奪回、逃走する勇次をさらに追う。勇次が向かったのは、「メンパス」が隠されている田代ホールディングス本社。そこに、ファミリー再建の鍵となる、田代ファミリー5年間の全ての記録があるのだ。そして、結衣と勇次の最後の闘いが始まった。 ***市村凜、今回は登場しませんでしたね。そして、次巻からは、いよいよ結衣の兄・架禱斗(かいと)が登場。優莉匡太の子供たちの中でも、結衣と共に群を抜く能力を示していた存在。一族の中で、血で血を洗う抗争の始まりか?
2020.11.01
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