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「あざとくて何が悪いの」(評価 ★★☆☆☆ 二つ星) 久しぶりにイタリア映画を鑑賞。男三人女一人の1982年からの40年にわたる(わりと)壮大な物語。 てか、一般的にぼくら中年世代って、懐古ものの映画には思わず反応してしまう。本作も「昔から続く腐れ縁」を描いた作品。おおざっぱに括るなら、最近の映画だと「パストライブズ/再会」がこの系統か。 昔は良かった、あの頃に戻りたい的な物語を、あまり馴染みのない異国を舞台に撮影されるとなんとなく名作に見えてしまう。 よって本作も楽しめるに違いないと確信しながら鑑賞したけれど、ぼくの評価は二つ星。二時間越えで長いし、わかりにくい。いまいち。 登場人物が年をとるにつれ異なる役者さんが演じるのは仕方ないけど、キャラ設定の問題なのか、誰が誰なのかすらわかりづらい。そんでもってこの紅一点女子、悪女なんだかただのおバカさんなのか微妙。「人ごみに流されて変わっていく私を貴方は遠くでときどき叱って」とか言いそうな女。 でも、やはりイタリアの風景とか文化はいい感じ。ローマとナポリの地理的/文化的距離感とかの知識があったらもっと楽しめたのかもしれない。
Feb 26, 2024
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今日はカトリックの教会の日曜ミサで演奏しました。 今朝も寒かったですが、キリスト教会的にはいつのまにかレント(四旬節:復活祭/イースター前の40日間)に突入しており、つまり春が着実に近づいている時期であります。信者さんも、復活祭に向けてそわそわしていらっしゃるご様子。 今日のミサで演奏した賛美歌もレント仕様っぽくて、歌詞も死を意識した暗いもの、短調ものばかり。派手めな楽曲はなし。主の復活をひたすら質素に待ちます。
Feb 25, 2024
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「おくられびと」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 子どものときに交通事故で両親を失い、心の整理がつかないまま今にいたっている孤独なアラフォー男子が主人公。 ある日、死んだはずの両親が当時の年齢のままで目の前に姿を現し、彼は戸惑いながらも童心に戻って両親に甘え、かつ大人としても彼らと対話することで、封印していた自身の少年時代そして今の自分と向き合っていく。←要するに自分探し系のお話 日本公開は2024年4月の予定。www.searchlightpictures.jp/movies/allofusstrangers 主演はアンドリュー・スコット。ほかには、謎めいた隣人役でポール・メスカル、両親(の幽霊?)役はジェイミー・ベルとクレア・フォイ。 原作はなんと日本を代表する執筆家である山田太一さんの小説「異人たちとの夏」。この映画は1988年の同名の日本映画(風間杜夫主演)の再制作版といえる(ものの、場所も登場人物の性別も激しく変えてある)。 感想としては、主演のアンドリュー・スコットはご名演。この人のことは知らなかったけど、アイルランドを代表する大男優さんらしい。 ただしぼくの評価は三つ星どまり。恋愛、家族、空想、心理的恐怖など、いろいろ盛りだくさんなわりに、とにかくわかりにくい。事前の予習と事後の復習が必要な作品ってのはどうかと思う。 画面が全体的に暗くて見づらいし、登場人物もみんなしてぼそぼそ囁くようにしゃべるので聞きとりづらい。 作品の雰囲気づくりにこだわりすぎたのが裏目に出てるというか。いかにも意識高い系のお方たち向き映画という感じで、ぼくにはあんまり楽しめなかった。 なお、主人公の実家での場面は、どうやらロンドンの南、Croydon クロイドンという町で撮影したらしい。 おそらく小説としてはかなり良く出来てる作品なのではないかと察する。 てか、優れた原作をどのように映像化するかというのは脚色家/脚本家の腕の見せどころではあるけれど、原作者の山田さんは本作をどう評価なさるであろうか。ついこないだ亡くなったみたいで、この映画はご覧になってないかもしれない。あまりに原作とかけ離れてしまっていることにご立腹なさるかも。 そもそもぼく自身、1988年版の日本映画のことをよく知らなかったので、これを機会に観てみたい気もする。監督は大林宣彦さん、脚本は市川森一さんとのこと。<似たような映画> 強引ながら、死人への思慕という意味で「Ghost ニューヨークの幻」に似た場面がある。 あと、恐怖ものっぽい雰囲気でもあるし、やはり1990年代の映画「月下の恋 Haunted」というのを思い出した。出演はケイト・ベッキンセイルとエイダン・クインほか。あれも何が何だかわかりにくい作品だったよーな。
Feb 17, 2024
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「古い学校のリーダーズ」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 既にいろんな映画賞を受賞しており、来月発表のアカデミー賞でも五部門で候補になってる話題作を鑑賞。監督はアレクサンダー・ペイン。ぼくはけっこう気に入ってる監督。 日本では2024年6月の公開が決まったもよう。 舞台はボストン郊外の全寮制高校。1970年のクリスマス前後の話。つまり教師も生徒も一斉に帰省する時期。 主な登場人物は三人(=事情があり帰省できない生徒、独り身の中年教師、給食のおばさん)。彼らが、ひっそりとした構内で二週間「hold over」する(居残る、留まる)。 アメリカ国内ではかなり絶賛されている映画のようだけど、ぼくの評価はイマイチ。てか、この内容で二時間以上ってのは長い。後半の展開は確かに楽しめるものの、前半に余計な小ネタが多い。後で回収できないのなら伏線っぽい意味深な台詞は削ってもよかった。 最初のほうでは居残り生徒は五人もいるという設定だったり、実は用務員/清掃人のダニーも構内に留まっていたり、なんだかこちょこちゃといろんな人物が出没してるのも二時間越えの原因のひとつ。 オスカーでは脚本賞の候補にもなってるそうで、やや意外。 教師ポールも給食料理人メアリーも酒好きという描写がいちいち出てくるけれども、やはり拡がらず、物語の進行的には特に効果なし。 学問を教えること以外に教師はどこまで生徒に関わるべきか関わるべきじゃないかとかの問題提起をしてるわけでもない。 そもそも登場人物三人のうち、主演は当然のように教師役ポール・ジアマッティということになっている。氏は確かにお上手なのだけれど、演じるのがそんなに難しい役とも思えず。 学園もの観るといつも思うのだけれど、先生役よりもワケあり生徒役のほうにこそ演技力が求められる。推理小説とかの作品でも、探偵よりも容疑者のほうが演じるのが難しいのに似てる。 似たような作品である1989年の映画「いまを生きる Deas Poets Society」についても言える。あの作品も、ロビン・ウィリアムズの知名度も手伝って教師を主人公としたから商業的に成功したものの、ぼくはイーサン・ホーク(当時はほぼ無名)が演じていた物静かなしかし一部始終を静観し把握している生徒を主役にしたほうが深みのある映画になってたと思う。←ま、内気なDKが主役だと地味すぎて売れないだろうけど それにしても、アメリカではクリスマス(や11月の感謝祭)は家族で過ごすべき大切な祝日。だから、ぼくなんかが「あ、別に独りで過ごすつもりなんだけど」とか言おうものなら、周りの人からは驚きと哀れみと悲しみとドン引きに満ちた表情で過度に同情されてしまう。この映画がアメリカ市場で過大評価されている理由は、そんなクリスマス家族第一主義文化も一因なんだと思う。 「クリスマスを家族と過ごせない(過ごさない)」ことだけで大げさな映画が成り立つのはいいとしても、作品としてはやや期待外れ。厳しめに三つ星。 なお、舞台となっている学校は映像的に美しすぎ。古い建物や厳しい冬の寒さとかが見ごたえある。
Feb 12, 2024
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今日はカトリックの教会の日曜ミサでバイオリンを弾きました。てか、久しぶりに神の前で弾いた気がします。(というのも、こないだのクリスマスは全く演奏の機会がなかったので)
Feb 11, 2024
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「論破ルーム」(評価 ★★★★★ 満点五つ星) カンヌやゴールデングローブなど映画賞を獲りまくってる話題作を鑑賞。来月発表のアカデミー賞でも当然のように候補になっており。 舞台はフランスの山奥。山荘で男が謎の転落死。果たしてそれが自殺なのか他殺なのか事故なのか、真っ先に妻に他殺容疑がかかり裁判へと発展する。 日本でもまもなく(2024年2月23日)公開。https://gaga.ne.jp/anatomy/ カンヌ受賞ってのも納得。久しぶりに観応えのある欧州映画を観た。ぼく好みなので五つ星。二時間半というのは確かに長すぎだけれど、映画好きの人なら許容範囲内のはず。 名探偵が主人公をする謎解き系どきどき系の娯楽作品ではなく、あくまで容疑者である妻(とその息子)の心情描写の重きが置かれてて、それがまた効果的。 法廷での場面も見応えがあった。てか、裁判は当然のようにフランス語で行なわれるのだけど、容疑者である主人公はガイジン(ドイツ人)。フランス語よりもむしろ英語のほうが得意であり、尋問や答弁を英語でしゃべりたがる。それってフランス人からしたら決して好印象は持たれない。 ほかにも登場人物のキャラ設定にこだわりがある。以下に列挙。 妻が雇った弁護士も英語が堪能。しかも二人はビミョーに恋仲? 妻は両性愛者で、夫のことは愛してはいるものの若い女の子にも惚れる。 夫婦はともに文筆業。夫より妻のほうが作家として成功している。 唯一の家族である11歳の息子は目が見えない。 盲目だが髪形や服装などの外見には凝っていそう(女の子系?)。 脚本や撮影も上手いし、なにより役者さんたちの演技が素晴らしい。夫婦喧嘩の場面なんて、あまりの熱演にしびれてしまった。ぱちぱち。 主人公を演じた俳優はサンドラ・ヒュラーさん。役者にとって、「容疑者」を演じるのは「探偵」を演じるのよりずっと難しいと思うのだけれど、ヒュラー氏は、ほんとに夫を殺しそうてもあり、いややっぱり無罪っぽくもある、そんなつかみどころのない雰囲気のあるおばさまを見事に演じていらっしゃった。 息子を演じた俳優さんもお若いのに素晴らしかった。法廷での答弁の場面とか。 あと一家の飼っている犬(死体の第一発見者)さえも名演技を披露なさる。 敢えてこの作品にいちゃもんつけるなら、転落による即死というお題の事件なのだから、もう少し高層の建物から転落させるとか、地面をふかふかの雪ではなくかちかちの氷とかにしたほうが現実味があった。 映画のなかで効果的に使用されてる音楽は、ショパンの前奏曲4番ホ短調作品28-4とアルベニスのアストゥリアス/レエンダ(伝説曲)。
Feb 2, 2024
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