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「オーボエの遠吠え」 今日のカルテットの練習は、モーツァルトのオーボエ四重奏を強引に弦楽四重奏として合わせてみました。オーボエ譜をそのままバイオリンで読むという裏ワザ。ぼくがオーボエ役、バイオリンはY氏、ビオラはN氏、チェロはE氏。 感覚的にいろいろと弦楽四重奏と異なるわけだけれど、やはり室内楽というよりも協奏曲。オーボエは基本的に別格。オレ様な動きだけ、伴奏部が全然なくて、そういう意味で弦楽四重奏の第一バイオリンよりも「休み」が多い。 あと、特筆すべきは終楽章(3楽章)のウネウネ部分。四人で仲良く8分の6拍子でやってきたのに、オーボエだけがいきなり4拍子になって暴走(?)。この動き、激しく謎。最初は弦の誰かが旋律弾いてくれてて、その上に乗っかって裏メロ、オブリガートみたいに優雅に流れるような感じかと思ったのだけれど、弦は伴奏的な動きしかしてないので、このウネウネはどうやら目立っちゃっていいらしい。
Jan 30, 2020
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「君の行く道は果てしなく遠い、だのになぜ」(評価 ★★★★☆ 四つ星) アカデミー賞最有力だか言われてる作品。 銃撃だの戦死だの愛国心だの、戦争映画ってぼくはどーも苦手であんまり積極的に観ようとは思わないのだけれど、本作に関しては執拗に人から勧められるものだから、ついに鑑賞することに。 日本でもまもなく公開。https://1917-movie.jp/<感想> 意外や意外、戦争映画のくせして勝ち負けに重点を置いてない。よって、愛国心に満ち溢れた戦勝国の方々を悦ばせるには弱いかも。逆に、ぼくのような敗戦国出身の者もフツーに米国人さまたちと一緒に劇場で穏やかに鑑賞できる。 冷静に考えてみるとそんなに大絶賛するほど練られた筋でもない。というのもこの作品、戦地にいる英国軍の若い戦士が、ある地点からある地点まで一日かけて移動するというだけのお話。上司からの指令をお仲間に伝える係。使いっぱ。ただ、移動にあたっては敵国ドイツ軍の出没する危険な地域を通過しなきゃいけない。 今だったら携帯でちゃっちゃっと用件を伝えればいいだけのことだけど、百年以上前の戦時ちゅうは全てが命がけだったんですよというお話。 ツッコミどころもけっこうあって、主人公があんなに怪我して流血しまくってるのに最後までお達者に走り続けてたり、あと、途中の廃墟の村でなぜかフランス人美女が登場して戦士を癒す場面もあったりしてやや違和感。 それでも、やはりこの映画の凄いところはずばり撮影力。最初から最後までほとんど途切れなく一台の撮影機で撮られてるように見える。臨場感ハンパないわけで、それだけで観る価値はあり。 最後の最後、チェロの美メロが流れるなか、余韻を持たせて静かに映画は終了するのだけど、ぶっちゃけ、もっと生々しく理不尽な終わらせ方にしたほうが戦時のハチャメチャぶりを描くには現実的なよーな。
Jan 28, 2020
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「ナマステ、生捨て」(評価 ★★★★☆ 四つ星) インド出身でヨガの教祖としてアメリカで成功した富豪ビクラム氏の栄光と衰退を描いたドキュメンタリー。<感想> 氏に関する知識がもともとある人だったらかなり衝撃的な作品に違いない。ヨガ伝道師としての彼の功績を疑う人はいないはず。だからこそ、セクハラ疑惑パワハラ疑惑には唖然とさせられる。自分の講習を受ける女性を深夜に寝室に呼び出し、あんなことやこんなことを強要し、拒否した生徒には卒業資格を与えませんから、とか。 この人、誰かに似てるなーと思いながら観た。絶対にウソだろと思うようなことを真実っぽく語るのは某国大統領のTランプさんに似てるし、めんどくさそーな裁判から逃れるためにこっそり国外逃亡しちゃうところは日本からレバノンに逃げたG-ンさんみたい。 キャラ的に面白い人だし、どうせなら本人にガンガン取材しまくっていただきたかった。その点でドキュメンタリーとしての物足りなさを感じた。本人の言い分も聞いてみたかったし、インドの地方の少年が「ヨガ」を通じて世界的に有名な富豪になるという成功物語自体、充分に映画の題材なのに。彼の心境の変化とかも興味深い。 お金持ちになるってことは、性格が歪んでしまうこと、と思うと哀しくなるけれど、どうやらこの人、あちこち出禁になったり干されたりしてるにも関わらず、ヨガを広めたいという情熱は失ってはいないみたいで、今でも世界各地で教えているのだとか。 話は脱線するけれど、以前ヨガを教わったときに、先生が生徒一人ひとりに、「教えるにあたり私はあなたの身体に触れることがありますので、ご了承いただけますか」と確認とっていたのを思い出した。バイオリン教えてる友人も、指導ちゅうに生徒の指や腕を触ることがあるので、セクハラで訴えられないよう事前に一筆もらってるとか言ってた。
Jan 24, 2020
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. 今日はキリスト教の礼拝で演奏いたしました(バイオリン)。 ちなみに、クリスマスとか復活祭とかのような「なんちゃって信者さんもが参列してごったがえす年中行事」ではない、こうゆうフツーの日曜日の礼拝にこそその教会の真の特色が出るようです。 ぼく自身は信者ではないのですが、賛助や補欠奏者として、実にさまざまな宗派の教会に出没/潜入させていただいており、よって、その違いをいろいろと観察できます。そうゆう点で、ぼくはどんなキリスト教信者さまたちよりも、多種類のお説教や音楽に接してるのかもしれず。
Jan 19, 2020
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「ガラスの天井」(評価 ★★★★★ 満点五つ星) アメリカのオハイオ州の自動車工場跡地に進出した中国企業Fuyao(福耀)とそこで働く労働者の悲喜こもごもを描いたドキュメンタリー。アカデミー賞候補作。 どうやらこの映画、オバマ前大統領夫妻が出資しただか制作に関与したらしい。 <感想> とっても良かったので五つ星。アメリカ人にも中国人にも、そしてやはり(かつての?)モノづくり大国である日本の方々にも観ていただきたい作品。 あくまで中立的に描こうとしてるのがわかる。アメリカ対中国、さらには雇用側と被雇用側といった、どちらか一方の視点に偏りすぎることなく撮影していくという手法は非常に好感が持てた。 アメ車が売れまくってた旧き良き前世紀をご存じのオハイオの地元民はさすがに戸惑っていらっしゃる。英語をしゃべらないガイジン(中国人)上司のもとで安月給で働くなんて、白人としての誇りが傷つくに違いなく。しかし、いざ中国本社を訪ねてみると、効率の良さや品質の高さに感嘆せざるを得ず、また現地従業員が文句を言わずに黙々と長時間労働している姿も目の当たりにする。朝礼の点呼とか社歌とかも、アメリカ人にとってはかなり新鮮に映る。 実際、この中国工場視察の場面はどこをとっても見応えがあった。体格のよろしい白人さんが、与えられた安全用作業着が小さすぎて着られないとか、宴会の余興で、アメリカ人を代表してみんなで西洋系大衆歌謡の定番?「YMCA」を歌って踊る場面とか。文化交流は時に微笑ましく時に痛々しい。 興味深いことに、このFuyaoという会社は、自動車用ガラスを作ってる中国の会社であり、つまり、オハイオの労働者がかつて務めていたアメリカの巨大自動車会社にとっては、いち部品業者。よって、皮肉にも、中国系の会社で低賃金で長時間働くことで、最終的にアメリカ経済に貢献しているアメリカ人労働者たち。一周まわって自ら体験することになる。
Jan 19, 2020
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ピアノ奏者Eさんと協奏曲を二曲収録するため、オケ員として昨日今日と二日間、録音会場に籠っておりました。 弦楽は、第一バイオリンから順に、8人、6人、4人、4人、3人という編成。ぼくは第二バイオリン最後尾裏でした。 ちなみに、無謀にも指揮者なし。独奏ピアノ奏者さんの弾き振り。 こうゆう収録って、初めてではないですけどやっぱり緊張します。せき、くしゃみ、鼻水、しゃっくり、げっぷ、おならなどの雑音禁止令が敷かれ、譜めくりの音とかにも気を遣いまくります。少しでも音のする暖房機や換気扇も消されてしまい、寒さで震えながらの収録となりました。 練習に練習を重ねたうえで、「じゃ、本番いきまーす」と録音が始まるというわけでもなく、練習の段階から常に録音機がまわっており、あれこれ止まったり通したりしているうちに、いつのまにか収録は無事に終了してました。最良部分を切り貼りしたうえで、CD発売/デジタル音源配信開始となるそうです。できあがりを聴くのが楽しみ。 録音技師はスティーブさんとマークさんでした。
Jan 12, 2020
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今年一発めの本番は教会での礼拝音楽。聖歌隊と共演しました。 施設内はまだまだクリスマスの装飾のままでした。なんか、個人的にはここ数週間いろいろあったので、クリスマスなんて遠い過去のことのように思えてしまいます。 楽団のメンツは以下の六人でした。ギター:フランクフルート:ニコールバイオリン:ぼくビオラ:ロンベース:トム太鼓群:スティーブ
Jan 12, 2020
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「不健康で非文化的な最低限度の生活」(評価 ★★★★☆ 四つ星) ケン・ローチ監督様ってまだまだ現役だったらしい。氏の最新作を鑑賞した。 舞台はやはり英国北部(ニューカッスル・アポン・タイン)。がむしゃらに働いてるのに収入が増えない夫婦(夫は宅配業者、妻は介護士)と、反抗期の息子、そしてまだ幼い娘からなる四人家族の物語。 日本語のサイトは https://longride.jp/kazoku/<感想> この家族、観ていてあまりに辛い。彼らに襲い掛かる不幸は誰のせいなのか。自業自得なのか、それとも社会の制度がどこかが間違っているに違いなく。 でも、もしかしてせめて映画の最後は何とか「幸せな結末」で上手く締めて、あぁやっぱり家族っていいなぁーうるうる、とかなることを密かに期待してしまったりしてたけれど、そうなるはずなどなく、ひたすら重い。 「ブラック企業」という言葉があるけど、企業が悪いというよりかは、社会全体が歪んでしまっており、そのひずみの影響を受けるのはなぜか弱者の方々のみ。<題名について> やわらかく温かい邦題にだまされてはいけない。原題の「Sorry We Missed You」は非常によくできた題名だと思ふ。夫の仕事(運送業)関係の用語で、「お届け物を配達に伺いましたがご不在でしたので引き返します悪しからず」という意味だけれども、それだけでなく、この家族は何かとmissされてばかりで、軌道からどんどん外れていってしまう。「悪しからず」「Sorry」であっさり片づけられて終わりという哀しい現実。
Jan 4, 2020
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現時点でぼくの気に入った2019年公開映画のなかから上位3作品(3人)を勝手に書き留めておこうかと。てか、今後もいろいろ観ることになるとは思うのだけれど、もう数日後にゴールデングローブ賞の発表が迫っているので、その前にまとめてしまいたかったので。 ちなみに、役者さん部門をわざわざ性別で分けることには個人的には反対なので、男優も女優も同じ土俵で評価させていただきたく。(同様に、ぼくは最近、日本の「紅白」歌合戦という形式もなんだか抵抗があるわけで)優秀作品1. Marriage Story マリッジ・ストーリー (by Noah Baumbach)2. The Two Popes 2人のローマ教皇 (by Fernando Meirelles) 3. Knives Out ナイブス・アウト (by Rian Johnson)主演俳優(性別問わず)1. Joaquin Phoenix (Joker)2. Renee Zellweger (Judy)3. Jonathan Pryce (The Two Popes)助演俳優(性別問わず)1. Kathy Bates (Richard Jewell)2. Laura Dern (Marriage Story)3. Toni Collette (Knives Out)外国語(英語以外の言語)作品1. Pain & Glory (スペイン語) Dolor y gloria2. Parasite (韓国語) 기생충3. The Farewell (中国語) 别告诉她ドキュメンタリー映画1. One Child Nation 2. The Biggest Little Farm ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方3. Diego Maradona
Jan 1, 2020
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「根比べ」(評価 ★★★★★ 満点五つ星) 現ローマ法王(教皇)と前任者との、当時の確執や奇妙な友情関係を描いた映画を鑑賞。<感想>映画の冒頭に、いきなりコンクラーベ(教皇選挙)の結果を示す煙を出す場面があり、煙の色を白にしたり黒にしたりする手法が明かされて興味深く観られた。ジョナサン・プライスの演技が素晴らしかった。3か国語(スペイン語、イタリア語、そしてスペイン語訛りの英語)を上手く使ってたし。アンソニー・ホプキンスもお見事だったけれども、プライス氏の役ほど難役とも思えず。てか、ドイツ訛りじゃなさすぎて、あんましドイツ人に見えなかった。ピアノを弾く場面はさすがにおじょーず。←確か彼のピアノの腕前はすごいらしい二人のご高齢男子がひたすら静かに対話、交渉する場面が続くため、下手するとかなり退屈になるかと思いきや、歴史的建築物内をいろいろと動き回ったりして映像的に楽しめた。撮影力が素晴らしい。実話と虚構が半々ぐらいらしい。2014年のサッカー世界杯の決勝戦ドイツ対アルゼンチンを仲良く一緒にテレビ観戦、っていう場面はさすがに脚色で加えられたんだろうけど、それはそれでいいんでないかと。そーいえば、ナンニ・モレッティ監督「ローマ法王の休日」という作品があったのを思い出した。あれよりも本作のほうが上。
Jan 1, 2020
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