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2020.11.12

第16話「地下宮殿の秘密」

白小九(ﾊｸｼｮｳｷｭｳ)は九夫人となった。
承虞(ｼｮｳｸﾞ)国王・宋玄仁(ｿｳｹﾞﾝｼﾞﾝ)は辛い思いをさせた埋め合わせだと華美な褒美を届けたが、質素を好む小九から必要ないと断られてしまう。
「では何を望む？」
「手を取りて～…」
|ω･｀).oO(あれ、何だっけ？いつも姑夫が姑姑を喜ばせている言葉なんだけど…
すると宋玄仁が続きの句を詠んだ。
「″共に老いん″」

「これは余が調合した香だ」
小九はこれだけで十分だと喜んだ。

皇太后の間者である大内官の楊順(ﾖｳｼﾞｭﾝ)は早速、この一件を報告した。
賢(ｹﾝ)太后はどうやら卑しくはなさそうだと安堵したが、九夫人が善良か狡猾かは分からない。
しかし楊順の九夫人の印象も無邪気で正直、何より国王と九夫人は互いに深く思い合っているという。
まさに２人は″神仙を羨むよりも、おしどりを羨む″を体現していた。
「先の太后も息子と王后をそう言った、何だか急に老けたような気分だわ…」
賢太后は念のため決して九夫人から目を離すなと命じた。

その夜、小九は巡回中の禁衛軍が来るのを待っていた。
やがて禁衛軍が月華宮の前を通りかかると、小九は門を開けて葉青緹(ﾖｳｾｲﾃｲ)を呼び止める。
葉青緹は配下を先に行かせ、小九への想いを断ち切るためにも軟膏を返すことにした。

「忘れずに塗ってね、傷がなくなったら私に見せて」
小九はあらぬ噂が流れぬよう、自分と侍女たちから恩人へお礼だとかこつけて渡した。

↓(´･ω･｀)

翌朝、宋玄仁は突然、小九を連れて出かけると言い出した。
すると大内官が駆けつけ、宛婕妤(ｼｮｳﾖ)が病で寝込んでいるという。

宋玄仁は小九を同行して宛雲(ｴﾝｳﾝ)宮へ駆けつけた。
楚宛(ｿｴﾝ)はささいな病だと恐縮したが、脈診した胡(ｺ)太医が困惑する。
「私が愚鈍なせいか、かように奇妙な脈は初めてです…どのような病か判断できぬのです」
太医の話では何かの中毒が疑われるが、宛婕妤に苦しむ様子がないので違うらしいという。
ﾌﾟｯ(´ﾟ艸ﾟ)…そりゃそうよ、姫蘅(ｷｺｳ)は魔族、人とは脈動が違うわ
すると楚宛は自分の身体のことなら分かっていると話し、ただの風邪だとごまかした。
「そろそろ行こう、宛婕妤の身体に障る」
「小九、また見舞いにうかがいます」
「ありがとう、夫人になったのだから気安く話してね、でないと恐れ多いわ」

凌香(ﾘｮｳｺｳ)は胡太医をとんだ三流だと罵った。
しかし楚宛は間違ってはいないという。
実は聶初寅(ｼﾞｮｳｼｮｲﾝ)は生まれつき脈が異常なようだが、心配ないと吹き込んでいた。
それより国王の九夫人を見つめる目に楚宛は落胆を隠せない。
「九夫人だけしか目に入らないようね…」
どうやら寵愛を得て霊璧石(ﾚｲﾍｷｾｷ)を手に入れる策は無理なようだ。

宋玄仁は日を改め、小九を連れて王陵へ出かけた。
しかし王陵は見せかけで、実は秘密の地下宮殿があるという。
すると宋玄仁は侵入を妨げる仕掛けを停止させ、何気なく愛らしい小九の頰を撫でた。
((🦊))ﾜﾋｬﾋｬ～帝君、気持ちがいいわ～ﾌﾌﾌ～🦊ﾊｯ！
白鳳九(ﾊｸﾎｳｷｭｳ)はうっかり愛玩として可愛がられた霊狐の気持ちになってしまう。
…バイフォンジゥ、しっかりして！帝君の情劫の邪魔をしてはダメよ！

仕掛けの通路を抜けると、その先に密室があった。
宋玄仁は鍵を開けて小九を案内し、国宝の霊璧石を見せる。
…不思議ね、鎖魂玉(ｻｺﾝｷﾞｮｸ)とそっくりの気を放ってる、でも鎖魂玉は粉々に砕け散ったはず
しかし霊璧石が天から降ってきたと聞くと、やはり鎖魂玉だと確信した。
宋玄仁の話では霊璧石が賊に奪われぬよう、実は安置所を知るのは歴代の王だけだという。
「王を除けばそなたが初めてだ…見よ」
「まあ、触れると光るのですね？」
「いいや、なぜか余が触れると光るのだ、ゆえに父王は天意だと仰せになった」
白鳳九は鎖魂玉が持ち主を察知したのだと納得した。
その時、宋玄仁が試しに小九も触ってみろという。
すると宋玄仁だけでなく白鳳九が触れても光りを放った。
宋玄仁はまさに天意だと驚き、自分と共にこの霊璧石を守るため、天が小九を遣わしたのだと喜ぶ。
…まさか十悪蓮花境(ｼﾞｭｳｱｸﾚﾝｹﾞｷｮｳ)に入った私を覚えていたってこと？
…なら姫蘅のことも覚えているはず
宋玄仁は地下宮殿の仕掛けの修復を計画していると話し、霊璧石を守るために新たな仕掛けを作りたいという。
「例えば咄嗟の時、地下宮殿が一気に崩壊する仕掛けだ、そうすれば霊璧石を守れる」
宋玄仁は小九の短刀の図が参考になったため、小九の手を借りたいと言った。

一方、楚宛は差し入れを持って繆寧(ﾎﾞｸﾈｲ)殿を訪ねていた。
しかし国王が不在だと知る。
凌香は思わずどこへ行ったのかと聞いた。
大内官は不躾な質問に呆れ、どこへ行こうと侍女が口を挟む道理はないという。
焦った楚宛はすぐ凌香を叱って謝罪させ、汁物を渡して引き返した。
「凌香、軽率すぎるわ…大王の側近は手強い、特に楊内侍は裏の顔があるやも」
「九夫人と一緒だろうと思い、腹が立って…」
「今に始まった事ではないでしょう？」

その頃、宋玄仁と小九は地下宮殿で仕掛けを考えていた。
すると宋玄仁は小九に見惚れているうち、うっかり手を怪我してしまう。
「心配いらぬ、かすり傷だ」
「血が出ています！不注意なんだから！」
小九はちょうど持ち合わせていた木芙蓉軟膏で手当てした。
「…叱られたのは初めてだ、嬉しく思う
　余は母を知らないが、誰よりも賢く、心優しき女子だったそうだ
　父王とは心底、愛し合っていたとか…
　きっと母上は父王に対し、そなたのように怒ったり案じたりしていたはず
　そなたが余を王ではなく夫と思ってくれている証しだ」
宋玄仁は小九を抱き寄せ、やがて２人は自然と唇を重ねた。

しかしふと司命星君(ｼﾒｲｾｲｸﾝ)の言葉が白鳳九の頭をよぎる。
…宋玄仁はあくまで東華帝君(ﾄｳｶﾃｲｸﾝ)の人間界での姿、決して東華帝君自身ではない
…でもあたなは変わらず白鳳九です
鳳九は急に冷静になり、宋玄仁から離れて仕掛け作りに戻った。

宮殿に戻った宋玄仁は放置した奏書の山の処理に追われた。
気がつけば美しい満月が出ている。
そこで月華宮で月見をしようと思いつき、大内官に九夫人へ伝えるよう命じた。

月華宮に成玉元君(ｾｲｷﾞｮｸｹﾞﾝｸﾝ)が現れた。
ちょうど霊璧石の絵を描いていた白鳳九は鎖魂玉にそっくりだったと教える。
しかし成玉は名高い東華帝君の真似をする者も多く、まがい物に違いないと言った。
確かに鎖魂玉は粉々になったはず、鳳九は紙を丸めて床に投げ捨ててしまう。

成玉は司命星君から白鳳九が東華帝君の情劫の相手になったと聞いていた。
すると鳳九は″得られぬ愛″とやらが分からず、悩んでいるという。
そこで成玉は″虜にして突き放す″が極意だと吹き込んだ。
「まずは誘惑し、続いて冷たくするの、それを繰り返せば成功する」
しかし鳳九は愛する東華帝君が可哀想だとしょんぼりしてしまう。
成玉は太晨(ﾀｲｼﾝ)宮での辛い経験を忘れたのかと鼓舞し、これはあくまで情劫だと釘を刺した。
「おぅ…あ、連宋(ﾚﾝｿｳ)殿下に同じ手を使ったの？」
「あいつに？はっ、眼中にないわ！」
「うそよ～顔が赤いもん！」
２人が言い合いしていると、侍女の沐芸(ﾓｸｳﾝ)が戸を叩いた。
驚いた成玉は瞬時に姿を消し、鳳九は慌てて書を広げておく。
「今どなたかいらっしゃいましたか？」
「あ、声に出してこれを読んでいただけよ」
すると沐芸は国王が月見に来ると報告した。

月華宮はその名の通り中庭から月が良く見えた。
宋玄仁が琴で″関雎(ｶﾝｼｮ)″を奏でれば、小九は月明かりの下で美しい舞を披露する。
そしてついにその夜、２人は…。
( ๑≧ꇴ≦)ｷﾞｬｱｰ！

と思ったら…

翌朝、宋玄仁が目を覚ますと小九の姿がなかった。
すると大内官が慌てて酔い冷ましを献上し、昨夜は泥酔した国王を葉将軍が送ってきたと教える。
「…小九は？」
「九夫人はいらしておりませんが…」

宋玄仁は葉青緹を呼んだ。
すると葉青緹は確かに巡回するついでに酔った国王を送ったという。
「ｱｲﾔ～なぜ泥酔したか覚えていないが…余は何か酔言を？」
「誓って何も…」
仕方なく宋玄仁は今日は別件で呼んだと話し、葉青緹に焼き芋を食べさせた。
「どうだ？自分で焼いた芋とは違うか？」
「？？？焼いたことはありません」
「そうか？！そうだったか～わははは～」
宋玄仁は小九の思い出の相手が葉青緹ではないと知り、急に機嫌が良くなった。

一方、小九は月華宮で地下宮殿の仕掛け図を描き上げていた。
そこへ宋玄仁が現れ、自分が作った菓子を差し入れる。
「うん、美味しいです、無憂糕(ﾑﾕｳｺｳ)に似ているけど甘みが違いますね」
「やはり気づいたか！百合の花を使った、秘密の方法で心を込めて作ってある
　余は百合糕(ﾋｬｸｺﾞｳｺｳ)と名付けた
　百合はな、思い合う２人が100年、相和することさすのだ…」
…帝君って可愛い、私が無憂糕をあげた方に張り合うなんて、その方は帝君ご自身なのに
すると宋玄仁は図案が完成したと知って王陵へ行くことにした。
小九はふと楚宛の具合が気にかかり、見舞いに行ったか聞いてみる。
しかし宋玄仁は療養中に訪ねてはかえって邪魔になると告げ、王陵へ行こうと言った。

つづく

(￣▽￣;)あ〜びっくりした〜

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