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2021.01.27

第53話「婚姻の祝宴」

碧海蒼霊(ﾍｷｶｲｿｳﾚｲ)へ婚前旅行に出かけた白鳳九(ﾊｸﾎｳｷｭｳ)と東華帝君(ﾄｳｶﾃｲｸﾝ)。
たった１日しか過ごせないと知った鳳九はわずかな時間を満喫しようと決め、新居の構想を練ったり、東華帝君に魚の甘酢煮の作り方を教えたり、２人で凧揚げして楽しんだ。
すると鳳九は思いがけず現れた霊鳥を見つけ、大喜びする。
「帝君が呼んだの？なら近くで″百鳥の舞″を見せるよう言って！」
「どう礼をしてくれる？」
「…じゃあ、私の舞を見るのはどう？ねえ～霊鳥たちを舞わせてよ～一度も見たことがないの」
鳳九は東華帝君に寄り添い、ねだった。

…だが本当は甘えるのが好きだ、以前はどことなく自制していた
…梵音谷(ﾎﾞﾝｵﾝｺｸ)や阿蘭若(ｱﾗﾝｼﾞｬｸ)の夢の中でもな
…あの頃と比べると今のように天真爛漫な方が良い、それがそなただ
…緲落(ﾋﾞｮｳﾗｸ)は昔、私の心の奥底にはある女子がいると言った
…シァォバイ、私は赤茶色の小狐狸をずっと心に秘めていたのだ
…当初、男女の情はなかったが、そなたはずっと特別な存在だった

白鳳九は東華帝君に言われて先に舞いを披露することになった。
すると伴奏がないという鳳九のため、帝君が箜篌(ｸｺﾞ)を招喚する。
「滅多に弾かぬがな、どうだ？己の夫君が多才だと分かった感想は？」
「ふっ…ふうじゅん？…何だか変な感じがするわ…やっぱりでぃじゅんにしておく（汗」
しかし東華帝君は鳳九の頰をつねり、夫と呼ぶよう強要した。

白鳳九は東華帝君の箜篌に合わせて得意の舞いを見せた。
すると東華帝君は清純で愛らしい顔立ちだった鳳九が、いつの間にか艶やかさを帯びていると気づく。
その誘うような眼差しも自分への愛ゆえなのか…。
東華帝君は湧き上がる鳳九への情愛に駆られ、ふと箜篌を弾く手を止めた。
「おいで…」

鳳九は恐る恐るそばへ腰掛けると、東華帝君はそのまま鳳九を押し倒した。

白鳳九と東華帝君が幸せな時間を過ごしている頃、緲落(ﾋﾞｮｳﾗｸ)は聶初寅(ｼﾞｮｳｼｮｲﾝ)の居所で精気を養っていた。
東華帝君が来ない限りは幻術の結界は露見しないだろう。
そこで聶初寅に東華帝君の祝宴の間に動くよう命じた。
この日なら魔族に何かあっても東華帝君は来られない。
「私の我慢にも限界がある、次もしくじれば…」
「ご案じなきよう、血涙を奪えなければこの首を差し出します」

縁啓(ｴﾝｹｲ)台でついに葉青緹(ﾖｳｾｲﾃｲ)が目を覚ました。
しかし謝孤栦(ｼｬｺｼｭｳ)は仙体が完成したばかりだと説明し、再び眠らせる。
どうやら白鳳九に知らせる時が来たようだ。

婚儀を明日に控え、東華帝君は白鳳九に豪華な花嫁衣装を贈った。
普通の祝宴だと思っていた鳳九は盛大な婚儀だと知り、夢のようだと目を輝かせる。
「小白、いつまでもこの夢を一緒に見続けよう」
すると幸せそうな２人の元に謝孤栦がやって来た。
実は葉青緹が覚醒したため、早く修為を与えれば葉青緹もその分、早く修行を始めて神仙になれるという。
鳳九は喜んで今すぐ行くと言ったが、東華帝君が思わず止めた。
驚いた謝孤栦はひとまずもう少し葉青緹の仙体を修復すると断り、下がることにする。
鳳九は自分にとって命の恩人である葉青緹に修為を与えるのは当然だと説明したが、東華帝君は仙体だけで十分だと言った。
「あ、私が男に修為を与えるのが許せないの？くすっ」
「…そなたの修為は多くない
　半分も与えたら、将来、独りになった時、上神となる試練にどう耐えるのじゃ？」
「私の修為が少ないですって？…ふん！どちらにしても上神に昇格するのは数万年後のことよ？
　ずっと一緒だと言ったのに、なぜ私が独りになるの？」
「そうだな、我らは決して離れぬ…ならば修為は私が与えよう」
「それは絶対だめ！四海八荒を危機にさらすわ…気持ちはありがたいけれど、この恩は私が返す
　だって思いに応えてあげられない代わりに命を救おうと誓ったの
　いつも帝君に助けてもらっていたら、私は青丘の民の信頼を得られないわ」
東華帝君は鳳九が女帝としての自覚を持っていることを喜び、祝宴のあと自分も同行すると約束した。

東華帝君は厨房で白鳳九に教えてもらった通り、魚の甘酢煮を作ってみた。
そこへ重霖(ﾁｮｳﾘﾝ)が現れる。
「帝君、ご覧に入れたいものが…」
すると東華帝君は鳳九を心配させないよう、婚姻の件だと伝えて中庭へ出て行った。
鳳九はその間にこっそり味見してみたが、確かに自分の味に近づいている。
やがて東華帝君が戻ってきた。
鳳九は青丘のしきたりで婚姻の前夜は新郎に会えないため、滋養になる汁物を作っておいたという。
「熱いうちに飲んでね(＾ꇴ＾)」
「…明日から…永遠に一緒だ」
感慨深げに鳳九を抱きしめる東華帝君、大きな愛に包まれた鳳九は２度と２人が離れることはないと信じて疑わなかった。

白鳳九が青丘へ戻ると、重霖が再び東華帝君の元へやって来た。
「どうしても帝君に会いたいと言って、これを差し出しました…」
すると重霖は姫蘅(ｷｺｳ)が父・孟昊(ﾓｳｺｳ)から授かった龍の鱗を文机に置いて下がる。
東華帝君は亡き忠臣との約束を反故にするわけにいかず、鱗を持って白水(ﾊｸｽｲ)山へ駆けつけた。

白水山では″秋水(ｼｭｽｲ)の毒″で満身創痍となった姫蘅が待っていた。
そこで東華帝君は龍の鱗を差し出し、父の形見をしまっておくよう告げる。
「父は先生に全身全霊でお仕えしました…ここは父が亡くなった場所…どうかお願いします
　一生、太晨宮の侍女にしかなれなくても構わない…父に免じて私をおそばに置いてください」
「臨終の父親からそなたの世話を頼まれたが、私に多くを求める者の面倒は見たくない」
「はお…では今この鱗をもって先生に父との約束を果たしてもらいます」
姫蘅は鱗を掲げ、あろうことか東華帝君に父とのよしみに免じて誓いを立てるよう要求した。
「あの者と別れて永遠に妻を取らず、独り身を通すこと…」
「まさか孟昊も娘がこんな真似をするとは思わなかったはずじゃ」
東華帝君は姫蘅を蔑むような目で見ると、思わず視線を逸らした。
全てを悟った姫蘅は力なく龍の鱗を落とし、そのまま泣き崩れてしまう。

婚儀当日、白鳳九は婚礼衣装に身を包み碧海蒼霊にいた。
しかし刻限になっても東華帝君が現れず、代わりに重霖が報告にやって来る。
「急な用事で遅れているだけかと…
　万一、帝君が間に合わなければ普通の宴にしてはいかがでしょうか？」
「私は別に構わないけれど、今日は両親が来ているの、祝宴を本物の婚儀にすべく心を砕いてくれた
　もし東華帝君が来なければきっと悲しむわ…」
実は重霖は招待状を配る際に祝宴としか伝えておらず、招待客はどんな祝いなのかも知らなかった。
そのため普通の宴として皆に酒を振る舞っても何ら問題なく、青丘の面目も守れるという。
確かに東華帝君は酒席を好まず、自分の祝賀会にさえ出ないことから、鳳九は東華帝君が欠席でも誤解を招かないと気づいた。
すると重霖は決して東華帝君が鳳九を軽んじているわけではないとかばい、宴の責任者として必ず鳳九を守るという。
鳳九は重霖の気遣いに感謝して笑顔を見せたが、独りになるとやり切れない思いだった。

宴が始まっても白鳳九は控えの間から出なかった。
心配した母が駆けつけたが、鳳九は気丈に東華帝君には急な用事ができたのだと理解を示す。
一方、魔界では今日も赤(ｾｷ)魔君・喣暘(ｸﾖｳ)と燕(ｴﾝ)魔君・燕池悟(ｴﾝﾁｺﾞ)が血涙(ｹﾂﾙｲ)を必死に守っていた。
燕池悟は小九の祝宴で祝い酒が飲めないと残念がったが、喣暘は全てが終わり、友同士で飲む酒の方が良いという。
「小燕、一族の魔族としてしかと覚えておけ、血気にはやらず辛抱しろ」
その時、東華帝君が姫蘅を連れて大門に現れたと報告が来た。

大門に喣暘と燕池悟が駆けつけると、東華帝君は突き放すように姫蘅を渡した。
すでに秋水の毒は姫蘅の手首や首にまで広がっている。
「…私はしつこく絡む者を最も憎む、父親の功労を盾に私を脅すとはいまいましい
　父親とは約束をしたが、どう果たすかを決めるのは私だ
　そなたの体内の毒を抜き、魔界で安穏に暮らさせる、これで父親への義理を果たそう
　そのあと龍の鱗を消し、そなたのことには一切、関わらぬ…２度と顔を見せるな」
東華帝君は喣暘に姫蘅を魔界に留め、一歩たりとも魔界から出すなと命じた。
驚いた喣暘は妹がどんな大罪を犯したのか尋ねたが、東華帝君から異存があるのかと疑われてしまう。
「ｩｯ…仰せのままに…」

東華帝君と白鳳九が出席しないまま碧海蒼霊の祝宴が終わった。
白奕(ﾊｸｴｷ)は宴をすっぽかした東華帝君に憤慨していたが、鳳九は東華帝君の用が済み次第、青丘へ謝罪に行くとなだめる。
すると白奕は東華帝君の急用は魔族の姫蘅に絡むことかとほのめかした。
驚いた鳳九は姫蘅なら東華帝君の力を借りて解毒していると説明し、姫蘅の父とのよしみで東華帝君は哀れんでいるだけだとかばう。
「哀れむ？」
実は白奕は東華帝君が今朝、白水山から姫蘅を抱えて出て来たあと、魔界へ向かったと報告を受けていた。
その時の東華帝君の様子はただの哀れみには見えなかったという。
「あの者たちは白水山で一夜を共にしたのだ…目下、魔界は厳戒令が敷かれ、情報が伝わりにくい
　恐らくお前の夫が手を回したのだろう、ゆえにこの件を知る者は少ない
　もし諸神の耳に入れば白家の面目は丸つぶれだ」
白奕は実のところ面目にこだわっているわけではなく、再び娘を傷つけた東華帝君を許せなかった。
それでも鳳九は東華帝君を信じると訴え、真意を聞きたいという。
母はともかく一緒に青丘へ帰ろうと促したが、そこへ重霖がやって来た。
重霖はその場でひざまずき、天地を守護する東華帝君に免じて待っていて欲しいと嘆願する。
そこで鳳九は重霖と一緒に魔界へ行ってみることにした。

その頃、東華帝君は姫蘅の秋水の毒を全て自分の身体に移し、約束を果たしていた。
すると喣暘から血涙の結界に異変があり、力を貸して欲しいと懇願される。
東華帝君は無論、調べに行くと答え、燕池悟に碧海蒼霊へ行くよう命じた。
「小白に伝えよ、血涙の件が解決したら会いに行く、待っておれと…
　詳しくは言うな、小白を心配させたくない」
東華帝君は煙となって姿を消した。
そこで喣暘は燕池悟にまず姫蘅を隠れ家まで送って欲しいと頼み、緲落の件が片付いたら迎えに行くという。
「よし、任せろ！姫蘅を送ったら碧海蒼霊へ行く、半日で戻れる、お前は帝君のそばに」
燕池悟は喣暘から巻物を受け取ると、直ちに姫蘅を連れて姿を消した。
しかし２人と入れ違いで白鳳九と重霖が赤広(ｾｷｺｳ)殿にやって来る。
喣暘は東華帝君が姫蘅を連れて現れたあと、血涙の結界を調べていると教えた。
父の話が事実だと知った鳳九は落胆し、重霖に青丘で東華帝君を待つと伝えて消えてしまう。
その時、突如、緲落の操る聶初寅(ｼﾞｮｳｼｮｲﾝ)の分身が現れた。
「お前のような腰抜けが魔族を統べれば、衰退の一途をたどる…」
聶初寅は凄まじい邪気を放った。

一足先に禁忌の地へ入った東華帝君は聶初寅を見つけた。
その時、結界が壊れてしまう。
東華帝君は咄嗟に仙鎖を放って聶初寅を捕縛したが、秋水の毒のせいで腕に激痛が走った。
そこへ血まみれになった重霖が駆けつける。
「帝君…赤魔君が惨死しました…」
「（はっ！）妙義淵へ…」
しかし緲落はついに血涙を取り戻し、すでに封印を破っていた。

燕池悟は姫蘅を無事、隠れ家に送り届けた。
しかし燕池悟の優さがかえって姫蘅を惨めにする。
「私はひざまついて亡き父を持ち出し、帝君を脅した…自分でも嫌悪するような卑しい存在になった
　なぜなの？こんな風になるなんて…自分でもおぞましいと思う」
「姫蘅、俺を見ろ！お前が好きでひたすら追っている、俺は恥さらしの軟弱な魔君か？」
「いいえ…」
「そうさ、恋を実らせようと頑張って何が悪いんだ？！」
「私はあなたに優しくされる価値などない…」
「それは俺が決めることだ…姫蘅、俺は役目を果たしに行く、今から言うことをよく考えてくれ
　お前と仏頂面のことは全く気にしない、言っとくがお前のためなら九天さえぶち壊せる！
　それくらいお前が好きだ、お前が振り返れば俺は必ずそこにいる」←٩( ᐛ )و ﾔ〜ﾔﾔ〜♪
燕池悟は何万年でも姫蘅を待つと誓い、姫蘅が好きな詩を思い出した。
…葦(ﾖｼ)は青々と茂り露は霜となる
…我が思い人は川の向こうにあり流れに逆らえば道は険しくかつ遠い
…流れに従えば思い人は川の中央にあり　※蒹葭より(詩経国風・秦風）
あの時、姫蘅は閩酥(ﾋﾞﾝｿ)に自分のために流れに逆らう人はいるだろうかと聞いていた。
「あの時の答えを今、俺がやろう…俺はやり遂げた
　お前を追う道は険しくて遠いが、気落ちするたびにお前の笑顔を思い出す
　ずっと笑顔でいられるようお前を守る」

すると泣いていた姫蘅はふと笑顔になった。
「しっかり身体を癒せ、全てが終わったらまた会おう」
「…小燕、約束して、無事に戻って来ると」
しかし燕池悟は何も答えず、ただ笑顔を見せて姿を消した。
「待ってるわ！」

つづく

( ￣꒳￣)ドンファ株が急落し、燕池悟の評価だけが上がっていますが、果たして？！
終盤に来でもワケワカメ、とりとめのないあらすじで恐縮です┏○゛

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