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2023.06.19
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第22話

長珩(チャンハン)の転生である蕭潤(ショウジュン)の学友となった東方青蒼(ドンファンチンツァン)。
恋敵との友情に戸惑いながらも、小蘭花(シャオランファ)の助言を守って笑顔で応えた。
しかしその様子を小蘭花と結黎(ジエリー)に見られ、月尊としてはばつが悪い。
一方、無理を押して雲夢澤(ウンムタク)に駆けつけた容昊(ヨウコウ)は、洞窟に戻ると苦しそうに胸を押さえた。
蝶衣(チョウイ)は首領の身を案じて思わず後ろから抱きしめたが、容昊は黙ってその手を引きはがしてしまう。
すると容昊はかつて師匠の亡骸が横たわっていた大きな岩を懐かしそうに眺めた。



…3万年前、容昊は師匠・赤地女子(セキチジョシ)の亡骸に元神をかろうじて留めることに成功した

しかし息山神女は代々息山を守り、凶神・太歳(タイサイ)を抑え続けて三界を守って来た功績がある
何より師匠は息蘭族と懇意で、現息山神女を昔から知っていた
容昊は他に手立てがなく、自害して師匠の後を追おうと覚悟したが、その時、どこからともなく不気味な声が聞こえて来る
『お前が命を捨てても帰墟(キキョ)の境で会うことは叶わぬ』

洞窟に謎の黒い霊が現れた
暗黒の霊は容昊に息山神女の元神を奪い、命で命を救えばいいと焚き付ける
『水雲天(スイウンテン)の神仙が命を惜しまなければお前の師父が犠牲になる必要などなかったはず
 奴らは戦神の死を悲しむどころか戦乱が終わったと歓喜し、そしてまた安逸をむさぼり始めた
 お前の師匠の死に何の思いも持っていない、孤独と悲しみを味わっているのはお前だけだ』
暗黒の霊にそそのかされた容昊は師匠を失った悲しみから魔に落ち、ついに凶行に及んでしまう

容昊は息蘭族を襲い、息山神女を引き渡すよう迫った

『これからお前はただの精霊となる、たとえ肉親でもお前だと分からないだろう
 もうこの世から息山神女はいなくなる…』
すると息山神女は小さな蘭の種子に変わってしまう
容昊は結局、息蘭族を皆殺しにしたが、息山神女を見つけることはできなかった

容昊は息山神女の元神を手にいれようとしたが失敗した

容昊は暗黒の霊が太歳だと気づいたが、太歳と言えばはるか昔、息蘭族に滅ぼされたはずだった
しかし太歳は高笑いし、息蘭族はただ身体を破壊しただけで、息山神女の力で元神をこの砕霊淵(サイレイエン)に閉じ込めただけに過ぎないという
『つまり太古から今まで何十万年かかっても息蘭族はお前を滅せぬと?』
『私は簡単には死なぬ、しかし祟気(スイキ)がなければ長くはもたぬ』
この世で最も邪悪な力と言われる祟気、祟気なら息山神女の清浄な霊力にあがなえるという
容昊はようやく太歳の目的が自分に祟気を作らせ、息山神女を殺し、封印を解かせることだと分かった
『その者は私の祟気で生きながらえている、私が死ねばその者の元神も灰となるだろう』

…容昊は蝶衣にすぐ祟気を集めるよう命じた。
しかし今や化魂鼎(カコンテイ)は壊され、蒼鹽海(ソウエンカイ)の内乱も収まって巽風(ソンホウ)とも手が切れている。
「もう祟気は手に入りません」
すると容昊は自分が何とかすると言った。

一方、小蘭花と東方青蒼はそれぞれ謝惋卿(シャワンケイ)と蕭潤に接近、仲良くなった。
そこで結黎の計画に従い、いよいよ2人を引き合わせるべく静逸雅軒に誘い出す。
酒楼は演舞台のある廊下を挟んで南北に長く伸びており、結黎は右の厢房で小蘭花が謝惋卿を、左の厢房で月尊が蕭潤をそれぞれ接待するよう指示した。

謝惋卿は小蘭花に親しみを感じると話し、初めて気が合う友だちができたと喜んだ。
「実は色々と話したいことがあるの…」
これまで数々の浮き名が立った謝惋卿、しかし心が動く相手はいなかったという。
それが元宵節の夜、月明かりの中、風のように現れ、去って行った謎の男が忘れられない。
小蘭花は東方青蒼のことだと気づいて動揺したが、想い人を探す手伝いを頼まれ、断れなくなった。

東方青蒼は店の前で蕭潤を待っていた。
「また賭場だな、浮ついて遊びまわっている、厳しく叱らねば…」
觴闕(ショウケツ)はまるで本当の兄弟のような口ぶりだと揶揄したが、そこへようやく蕭潤が現れた。
実は人生を左右する大事な決断をしたため遅れたという。
何でも蕭潤は前世から縁がある娘と出会い、その娘を娶ると決意していた。
東方青蒼はてっきり謝惋卿のことだと誤解、後押しすると約束してしまう。
すると蕭潤は自分がいつの間にか描いていた仙女の絵を大きく引き伸ばし、酒楼の演舞台に掛けた。
まだ名前も身分も分からないが、手がかりをくれた者に銭10万枚を贈るという。
…確かに記憶を消したはずなのになぜ覚えている?…
東方青蒼は蕭潤の想い人が小蘭花だと知って怒り心頭だった。
しかし励ました手前、協力せざるを得なくなってしまう。
「東方兄!褒賞金を借りたい、必ず返す!」
「ギギギ…いいだろう、分かった」

席に戻った蕭潤は実の兄より東方青蒼に親しみを覚え、義兄弟の契りを結びたいと言い出した。
焦った東方青蒼は吉日を選んで準備をしようとごまかしたが、蕭潤は特別なものは必要ないという。
こうしてあれよあれよという間に兄弟になってしまった不倶戴天の敵同士。
一方、觴闕は結黎と一緒に急いで小蘭花の絵を片付けようとしていた。
しかし曲水(キョクスイ)が現れ、邪魔されてしまう。
結黎は丹音(タンイン)が蕭潤の従者だと知り、主を思うなら絵を外すべきだと説得した。
「下賜品を妓女に贈り、求婚したかと思えば、今度は鹿城(ロクジョウ)一の酒楼で大騒ぎして…
 老爺の耳に入ってまた打たれてもいいの?主の幸せを願うならなおさら外すべきよ
 この絵が町中の噂になったら、かえってこの娘子は会ってくれないかも…」
驚いた曲水は慌てて絵を片付けたが、手遅れだと気づいた。
「しまった!若君は同じ絵姿を数百枚、城内中に貼れと命じていた!」

容昊は蒼鹽海(ソウエンカイ)との境で忘川を眺めていた。
そこへ運悪く見回り中の天兵たちが現れる。
「容昊仙君ですか?!…やっぱり、以前、命を救われた者です」
容昊は咄嗟に負傷した長珩のため、薬草を探しに来たと嘘をついた。
すると将軍は自分の兵に協力させると申し出て陣地に案内するという。

一方、蕭潤はすっかり酔っ払い、東方青蒼に絡んでいた。
「東方兄!分かりますか?想い人がいるのに相手の心が分からず、気持ちを伝えることもできない
 東方兄〜東方兄〜東方兄〜!」

東方青蒼は蕭潤に手を焼き、酒を取って来ると言って出て行ってしまう。
するとちょうど部屋を出た小蘭花と鉢合わせになった。

東方青蒼は小蘭花を連れて階下に降りた。
「また隠れてあいつと会ったのか?!」
驚いた小蘭花は元宵節の夜に会ったのが最後だと否定し、東方青蒼が記憶の抹消に失敗したせいだと言い返す。
「もう良い、それにしてもよほど縁が深いのだな!」
東方青蒼は嫉妬のあまり嫌みを言ったが、かえって小蘭花に詰め寄られてしまう。
「月尊大人?!自分こそどうなの?!元宵節の夜、謝惋卿に何をしたのよ?!」
聞けば今や東方青蒼は謝惋卿の想い人、小蘭花は一緒に探す羽目になったという。

小蘭花と東方青蒼が痴話喧嘩している頃、2人の帰りが遅いのを心配した蕭潤と謝惋卿が個室を出て探し始めた。
「東方兄~!」
「蘭花娘子?」
2人の声を聞いた小蘭花と東方青蒼は呆然、慌てて別々に逃げたものの、結局、同じ箪笥の中に隠れて鉢合わせになる。

思いがけず狭い箪笥の中で密着し、気恥ずかしい小蘭花と東方青蒼。
やがて2人の姿が見えなくなると、改めて場所を変えることにした。
しかし別々に逃げた小蘭花と東方青蒼は運悪くそれぞれ蕭潤と謝惋卿に見つかってしまう。

つづく



( ๑≧ꇴ≦)えーっ?!モクモクさん!
すっかり忘れていたけれど、3話に出て来た太歳だったのね





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最終更新日  2023.08.05 22:35:45
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