近代日本文学史メジャーのマイナー

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2009.07.03
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『流れる』幸田文(新潮文庫)
  『おとうと』幸田文(新潮文庫)


 文豪、巨匠など、小説家の娘っちゅうのはなんとなく私、気になるんですがね。
 これが息子になると、そんなに気にもならないんですが。池澤夏樹氏くらいですかね、親父も小説家で僕がわりと読んでいる人は。

 一方、親父-娘ラインの人は、結構興味があります。
 先日ちょっと読んでいたんですが、斉藤由香の天然ボケのほほんエッセイですが、北杜夫-斉藤由香なんかも、一応そのラインですかね。

 森茉莉なんて人も、非常に個性的な強烈な人ですね。
 津島祐子はなんか怖そうでよー読んでません。
 萩原葉子も怖そうですね。

 というわけで、幸田文ですが、私の中では森茉莉あたりと同偏差値の人ですね(なんの偏差値じゃい、と言われると私もよくわかりませんがー)。

 読み始めてまず最初に感じたのは、とにかく「抜群」という感じの文体力ですね。歯切れの良さに圧倒されるような、実に惚れ惚れとした文章の力であります。

 ただねー、本ブログ「近代日本文学史メジャーのマイナー」という「わけわかんない」テーマの元に、今まで手に取ったこともなかった作家のいろんな小説を、それなりに順調に読み続けてきて、私、少々気になっていることがあります。
 それは、一言で言うと、

  小説の「終わり方」

についてです。

 なんか、何を読んでもしっくり終わっている感じがしないんですね。
 なんでかなーと現在も考え続けているんですが、一つだけまとまってきつつある思いとしては、「困ったときのこの人頼み」、やはり、漱石の「佇まい」ですね。

 僕がとっても上手だなーと思う終わり方をしている小説ってなにかなとつらつら考えると、うーん、『三四郎』かな、と。
 これは誠に見事にきちんと終わっていたな、と。

 そう思うと、『それから』『道草』などは言うまでもなく、終盤における「漱石的破綻」といわれる『行人』『こころ』でさえも、いかにも終わりらしい終わりであったなと思い至ったわけです。

 なるほど。
 漱石の諸作品は、他の小説家の作品とどうしてこんなに違うんでしょうね。
 一つ思うのは、漱石という人は、我々が漠然と考える以上に「サービス精神」に富んだ人であることですね。読者のためにしっかり終えてくれているんでしょうね。

 というふうに、「小説の終わり方」に着目して振り返ってみますと、今回の幸田文の二小説も、終わりが「キョトン」としてしまいます。「尻切れ」感じの終わり方です。

 この終わり方、そういえば、こんな感じの終え方の小説、昔読みましたよ。
 永井荷風の小説が、確かこんな感じじゃなかったかなと思います。(アバウトやなー)

 そんなこと、読み終えて、考えていました。
 ただ、この歯切れ良い文章を味わうだけで、充分価値のある小説です。それは私のこのつまらない感想などとは全く無関係に、圧倒的に贅沢の極みであります。

 えー、今回はここまで。

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Last updated  2009.07.03 06:50:41
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七詩 @ Re:父親という苦悩(06/04) 親子二代の小説家父子というのは思いつき…
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