乱読・積んどく・お買い得!?

乱読・積んどく・お買い得!?

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Comments

chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2014.09.05
XML

 著者は、精神科医でノンフィクション作家の野田先生。
 私が、これまでに読んだ「うつ」関連の本の中でも新しいもののひとつであり、
 最も激しいタッチで記された一冊。

 著者は、アメリカ精神医学協会によって書かれた
 DSM(精神障害の診断と統計マニュアル)が、
 高橋三郎、大野裕、染矢俊幸の三氏によって日本語に翻訳されるとき、
 「精神障害」が「精神疾患」に詐訳されたと指摘する。

  その影響は大きく、薬の添え書きでも、厚生労働省の公文書でも

  曖昧な「精神障害」を疾患であると思い込ませ、
 「精神疾患」の診断方法が確立されたかのように誤解させる詐術が用いられてきた。(p.39)

また、田島治(私が読んだ 『ヒーリー精神科治療薬ガイド』 の監訳者)氏の論文を引き、
抗うつ剤の作用について、その危険性を説く。
さらに、冨高辰一郎氏の 『なぜうつ病の人が増えたのか』 を引いて、
製薬会社による抗うつ剤プロモーションに言及する。

  製薬会社の戦略の要諦は、精神医学界における有力者への働きかけである。
  彼らが広告塔となった抗うつ剤プロモーションの帰結として、
  いまや一部の精神科医は、うつ病とは脳の神経内分泌の欠乏、

  ビタミン欠乏症と同じような発想で、
  薬さえ飲んでいれば良くなると思い込んでいる医師たちがいる。(p.66)

そして、福島第一原発の事故により、避難を強いられた末に自殺した人たちに対して、
厚生労働省の「精神疾患で薬を飲んでいなければ災害関連死とは認められない」とする姿勢、
東電の「事故により病気になって自殺したと証明されなければ賠償しない」という姿勢を、


また、「自殺未遂で運ばれた病院の怠慢」(P.130~)で描かれた光景や、
「自死遺族をさらに苦しめる」(p.133~)で描かれた、
自死後に生ずる、遺族への、家主や不動産関係者からの多額の金銭の取り立ては、
まさに驚くべきものであった。

そして、「精神科医を育てる環境の貧しさ」(p.148~)で述べられている
精神科医療を担っている医師たちの力量の実態が、
現在の、様々な弊害を生み出す根源となっている。

  近年では、とりわけアメリカの精神医学において大脳の生化学的研究が盛んになっており、
  日本でもその分野の研究者の論文が評価され、教授に選ばれやすい。
  元もと精神病理学や社会精神医学など学んだこともない身体科や基礎医学の教授が、
  精神医学の教授を選考するのである。
  すると大脳の生化学の研究者が、
  臨床的な精神医学や精神病理学もできるかのように振る舞う。
  こうして臨床のできない教授のもとで、
  臨床的なトレーニングを積んでいない医師たちが育っていく。(中略)
  近年では、医学部卒業後の2年間の研修は希望する市中の病院で一通りの診療科を回ればすむ。
  臨床精神医学の研修をほとんど受けていない医師が、
  うつ病キャンペーンによって精神科の外来患者が増えているから経済的に成り立つと考え、
  クリニックを開業している。
  こうして多くの問題が起きている。(p.148)

さらに、「製薬会社が学会を作る」(p.150~)と
「抗うつ剤ムラの精神科医たち」(p.152~)とを読むと、
現在の精神医学界の内部で、大きな対立があることに気付く。

  日本うつ病学会をはじめ、こうした学会の理事や委員には、
  樋口輝彦氏(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター理事長)、
  大野裕氏(同センター認知行動療法センター長)、
  野村総一郎氏(防衛医科大学校病院院長)らの常連の医師が名を連ねており、
  理事長や委員長は持ち回りかと疑われるほどである。(中略)
  この種の医師たちは、1990年代以降のうつ病キャンペーンにおいて
  厚生労働省のなかに拠点を設けることも怠らなかった。
  近年、うつ病をはじめとする精神科関連の研究には文部科学省の科学研究費だけではなく、
  厚生労働省の疾病研究としても多くの予算が投じられるようになっている。
  そうしたカネとポストを精力的に動かしている精神科医グループがいるのである。
  前述のような学会を作る人たちとメンバーは重なっている。(p.152)

海堂尊作品 もビックリのドロドロとした世界である。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2014.09.05 13:48:20
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: