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■「バランス良さ」近現代史が焦点
教科書検定に関しては、安倍晋三首相が4月に国会で「検定基準に改正教育基本法の精神が生かされていない」と答弁し、見直しを示唆。同月に検討を始めた自民党特別部会の提言をもとに、文科省がまとめたのが今回の改定案だ。
要点は、社会科の教科書を「バランス良い記述」にすること。具体的には、
▽近現代史で通説のない事項はそれを明示
▽未確定な事項で特定の事柄を強調しすぎない
▽政府見解や確定判例がある事項はそれに基づく記述
――の3点。さらに、「改正教育基本法や学習指導要領の趣旨に照らし、『重大な欠陥』があれば不合格」との要件を加える。
このほか、教基法をより意識させるための申請書類の改定や、検定手続きの透明化も進める予定。教科用図書検定調査審議会の検討を経て、来年度の中学向け教科書検定から適用したい考えだ。
■高千穂大准教授・五野井郁夫氏
近現代史などで諸説を挙げる中で政府見解にも触れることは、従軍慰安婦問題などの強制性をめぐる国のスタンスを知る機会にもなるので、必ずしも否定しない。敵対心をあおるだけの中韓両国政府の反日教育には抗議すべきだろう。戦後日本の平和教育も、歴史認識の正確さにおいて、疑問に感じる点はある。
それでも、今回の教科書検定基準の改定には反対する。 政府見解の義務づけは教育のバランスを大きく崩し、偏向教育に陥りかねないからだ。 改正教育基本法がうたう目標を意識した教科書は、これからの時代に必要とされ、国も推し進めているはずのグローバル人材を育成するうえで足かせとなるだろう。 世界と対話するためには、内向きの政府見解から自由な歴史認識を持つことが必要だ。
王朝が代わるたびに「正史」として歴史が書き換えられた他国の問題点を踏まえ、日本では江戸時代から、史料に基づく歴史研究が取り組まれてきた。
この流れは「大日本史料」として東大史料編纂(へんさん)所に引き継がれている。わが国が世界に誇るべき姿勢だ。こうした伝統にのっとり、 政府の恣意(しい)性を排した研究に基づく歴史を教えるべきだ。
政府見解といえば、従軍慰安婦への日本軍関与を認めた河野談話や、アジア侵略を明記した小泉談話もそうだ が、これらの記載を求める気は国にあるのか。いずれも世界の中の日本の立ち位置を知る上で欠かせない。 「負の事実を隠さなければわが国は愛されない」と考えるとすれば、「自虐史観」などとレッテル貼りする側の自信のなさゆえだろう。 愛国心とは、正負両面の史実を知って初めて芽生えるものだ。【聞き手 三橋麻子】
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五野井郁夫 著書「『デモ』とは何か―変貌(へんぼう)する直接民主主義」で、反原発デモについて考察。反対の立場で活動した「ヘイトスピーチ」が今年の流行語トップテンに。
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