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ことの発端は2011年6月。教科書選定作業を担う「八重山地区協議会」で異例のルール変更が行なわれた。1つは、 選定作業を補足するため現場教員などが事前に行なう教科書の「順位付け」の廃止。 2つ目は 協議会委員の1人が、役員会での承認なしに独断で委嘱された ことである。 その結果、八重山地区協議会は同年8月、育鵬社の中学公民教科書を採択した。 順位付けで同教科書は、現場教員の推薦がないばかりでなく「原発の危険性や男女差別についての記述がない」という欠点も示されていたのに、だ。
通例では地区協議会の採択答申に従い、市町村教委が教科書を決める。八重山地区のうち石垣市と与那国町は答申に従った。
一方、答申に納得のいかなかった竹富町教委は、地方教育行政法を根拠に独自に東京書籍を採択した。「現場教員が欠点を指摘した教科書で子どもたちを学ばせるわけにはいかない」という理由で、至極もっともだ。ただ、地区内で採択が異なる事態に驚いた県教委は「同一教科書が望ましい」と3市町教委を指導。同年9月8日、3市町の教育委員全員が参加する協議(全員協議)が開かれ、竹富町教委の言い分が認められる形で改めて東京書籍を地区の中学公民教科書として採択した。これが本来の顛末である。
この間、八重山地区協議会によるルール変更が育鵬社の教科書を選定するため行なわれていた可能性が報じられた。主導した玉津博克石垣市教育長は「選定は本来協議会の判断だが(略)順位付けが拘束性を持ってしまっている」(11年7月20日付『沖縄タイムス』)と順位付けの影響を受けずに教科書を選定したかったと告白している。その後も玉津教育長が義家弘介自民党参院議員(当時)から採択が有利に働くよう指南を受けていたことも報じられた。
「文科省によると14年度の中学公民教科書需要数に占める両教科書の割合は、東京書籍が56・8%に対し、育鵬社は4・1%にとどまっている」(3月22日付『琉球新報』)。つまり八重山教科書問題は「現場教員に人気のない教科書を採択するため、一部の人が立場を利用し採択をコントロールしようとした問題」だった。
だが全員協議の5日後、中川正春文部科学相(当時)が「協議は無効」とした時に問題は、国家による教育行政への不当介入へと発展した。中川文科相は12年度から、同町教委への中学公民教科書の無償配布を中止。義家議員は13年3月、文科大臣政務官として竹富町教委を訪問し、同一教科書の採択を迫った。今年3月には下村博文文科相が町教委に対し地方自治法に基づく是正要求を出した。
不正まがいで採択された教科書を、国がここまで強力に押しつけることに違和感を覚えないわけにはいかない。文科省の役人でさえ「政権交代の後、より強い指導を行なうようになったのは事実」(前川喜平初等中等教育局長談、3月26日付『沖縄タイムス』)と認めている。
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