フリーページ
最高裁はこれまで、「一票の格差」の訴訟の判決では、大きな原理原則を述べるだけで、具体的にどうすべきか述べないことが多かった。
今回の判決は、都道府県単位の仕組みを維持しながら投票価値の平等を実現するのは限界に達していると指摘したうえで、 「合区でやれ」という強いメッセージを出した という点が最大の特徴でしょう。
最高裁がそこまで踏み込んだ背景には、衆院と参院の選挙制度が似通ってきているという問題があると思います。
本来、参院は衆院とは別の形で民意を反映するようにしなければなりません。そうしていれば、仮に衆院が都道府県に全くこだわらない選挙制度なら、参院が都道府県にこだわるという説明も可能でした。
しかし実際には、衆院も都道府県の枠の中で選挙区の区割りをしています。それなら参院は都道府県という枠から離れてもいいのではないかという議論は、説得力があると思います。
ただし、判決が投票価値の平等を実現する方法として、合区しか示していないのには違和感があります。論理的には、合区以外にも、人口の多い大都市部の定数を増やす方法もあるからです。
今のような財政状況で、議員の定数を増やすのは政治的に難しいかもしれません。しかし、私は合区より、 定数を増やす形で一票の格差をなくし、歳出削減の要請に対しては、歳費など議員1人当たりの経費を削減することで対応した方が合理的だ と思います。
なぜなら、あまりに議員数を減らし過ぎると、 少数ではあっても重要性のある意見が切り捨てられ、国民の多様な意思を議会に反映させることが困難になってしまう からです。
合区によって、人口の少ない地方の定数を削減しようとすると、当然ながらその地方からの反発が予想されます。これに対しては、地方の意見を聞いてそれを国政に採り入れる仕組みをパッケージとして提示することが必要になります。
国の成り立ちが日本とは異なりますが、例えばドイツの連邦参議院は、各州政府の閣僚が議員になっています。フランスの場合、地方自治体の首長が国会議員を兼任することができるようになっています。
日本の参院も地方自治体の首長や議員が意見を述べる場を定期的に作ったり、一定周期で地方を巡回する会期を作ったりして、地方の意見を採り入れる仕組みを整えるなどして、地方の声を聞く院として衆院に対する独自性を持たせることは可能でしょう。ただしその場合でも、議員の選挙における投票価値の平等はあくまで維持されなければならないと思います。(聞き手・山口栄二)
*
きむらそうた 80年生まれ。東京大学法学部助手を経て、06年から首都大学東京准教授。著書に「キヨミズ准教授の法学入門」「憲法の創造力」「テレビが伝えない憲法の話」など。
アベノミクスは、隠れ蓑!?(30日の日… 2016年07月30日
大橋巨泉の遺言(29日の日記) 2016年07月29日
憲法と違う回路で進む恐ろしさ(23日の… 2016年07月23日
PR
キーワードサーチ
コメント新着