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政権発足後のアメリカではヘイトクライムが急増している。選挙中から排外主義を公然と語り、ラストベルト(中西部のさびれた工業地帯)の白人労働者の圧倒的支持を得て当選した大統領は、この「ヘイトの時代」が産み落としたアメリカ初の「白人」大統領なのかもしれない。
シャーロッツビルでの暴力事件では、アメリカ社会分断の古傷である南北戦争の記憶をめぐる歴史的対立が再燃することとなった。南北戦争とは、アメリカ史上、最多の戦死者を出した未曽有の内戦であり、50万とも60万余ともいわれる戦死者は、終戦直後から南北間の感情的対立の原因となってきた。戦争を契機に発展した新聞メディアでは、北部メディアが北軍戦没者の英霊化を推進する一方、南部メディアは「失われた大義」の神話を形成し、リー将軍や南部連合の戦績を顕彰し続けた。その後、人種隔離社会を形成した 南部社会という結界の中で、南部連合関連の無数の銅像は守られてきた のである。
南北戦争の記憶をめぐる政治は単純ではない。戦後の再建期(1865~77年)には 奴隷解放の意義を中心に語られた が、戦後50年の式典では、南北の兵士がみな「男らしく」勇敢に戦った兄弟げんかと読み替えられ、奴隷解放の歴史は忘却された。 クー・クラックス・クランが英雄として登場 するグリフィス監督の映画『国民の創生』(1915年)に国民が熱狂したのは、まさにその時代だ。
今回の南北戦争の記憶をめぐる議論で、アメリカ社会はいかに人種差別の歴史と向き合うのか。南北戦争の「戦後」はいまも続いている。
(一橋大学大学院社会学研究科教授)
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