フリーページ
「ニューヨーカーの安全と健康を守るためだ」。17年1月に合意を発表したクオモ州知事は、世界有数の人口過密都市に近い同原発の危険性を「時限爆弾」と表現していた。
ただ、エンタジーが危険性を認めて折れたわけではない。合意の理由は 「卸価格の低迷と操業コストの上昇」 と同社広報担当のジェリー・ナッピさん(46)は語る。
シェールガス革命による安価な天然ガス発電に押されたうえ、原発は維持管理に必要な安全対策や老朽化対策の費用がかさむ。結果として採算が合わなくなった。
ハドソン川の環境を守るためにエンタジーと法廷闘争を続けた地元NPOリバーキーパーのリチャードーウェブスター弁護士(55)は振り返る。「ガスが原子力と張り合えるとは、かつて予想だにしなかった」
インディアンポイントだけではない。世界全体の25%に当たる99基が稼働する米国で、原発の地位低下に歯止めがかからない。
16年に一基が20年ぶりに新たに稼働した一方、07年以降だけで5原発の計6基が閉鎖。さらにインディアンポイントを含む9原発計12基が運転停止を前倒ししたり、運転延長を見送ったりする計画だ。
米投資銀行ラザードの推計で、17年の電源別発電コストは、 1メガワット時当たり原子力の148ドルに対し天然ガスは60ドル。 11年と比べ、原子力は福島の事故を受けた新たな安全対策や老朽化対策で5割増。天然ガスは3割安くなった。
シェールガス依存には、ガス価格の上昇や地球温暖化対策の後退という懸念が付きまとう。原発擁護論の根拠の一つだ。が、原発を脅かしているのは、シェールガスだけではない。
米国でも太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及が進み、発電コストは天然ガスを下回っている。米エネルギー情報局(EIA)によると、全米の17年3月の月間発電量で、再生エネが原子力を初めて超えた。
米NPO「憂慮する科学者連盟」でエネルギー研究部門を統括するスティーブ・クレマーさん(51)は「再生エネは天然ガスとの競争にも耐え、市場原理の中で着実に成長を遂げてきた」と指摘した。
原発の閉鎖が相次ぐ中、排ガス抑制や雇用対策のためとして、原発を暫定的に延命させる公的支援の動きもある。それは、もはや独力では立ち行かない原発の脆(もろ)さを表している。
(ニューヨーク・赤川肇、写真も)
侵略無反省の高市政権(10日の日記) 2026年09月10日
首相批判続々、今度は視察動画(9日の日… 2026年09月09日
「残念」で済ませるのか?(8日の日記) 2026年09月08日
PR
キーワードサーチ
コメント新着