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(川崎総局)
発言者は、2013年5月から1期4年間、鎌倉市議を務めた上畠寛弘氏(31)。17年10月からは神戸市議を務めている。
訴状によると、男性は13年、市社会福祉協議会の不当労働行為を巡って自治労傘下労組の団交に参加した。上畠氏は14年3月から17年3月までの間、本会議や委員会で組合批判を行う中で、男性の名刺の裏に国会議員の名前が印刷されていることに「代紋をちらつかせたやくざと変わらない行為」と言及した。さらに男性の実名を挙げながら「日本の情勢に懸念を及ぼしかねないと思慮される行動で、朝鮮学校に対する補助金運動に携わっている」「出身が出身なだけに本当に怖い」などとも発言した。
男性側は、一連の発言が人種差別に当たり、人格権が侵害されていると主張。議事録への掲載も「ネットで拡散され恐怖を覚えている」とし、精神的な苦痛を受けたとしている。
代理人の西川治弁護士は「民族名を何度も示した上で暴力的存在と結びつけたヘイトスピーチ。言論の自由がとりわけ保障されている議会を差別に悪用するもので断じて許されない」と話した。
上畠氏はフェイスブックやツイッターで「一般的な日本人の名前ではない」「ヤクザもしないような代紋紛(まが)いの恐ろしい行為」などと投稿し、男性の名刺の画像も公開。訴訟で男性は上畠氏にも投稿の削除と謝罪文の掲載を求める。
神奈川新聞の取材に対し、上畠氏は「私は大阪出身でやくざが回りにいるから怖いという意味。差別との受け止めは間違い。議会でも同じ説明をした」と主張。17年に男性側から被害の拡散防止措置を求められた鎌倉市は 「議会で協議したが差別的発言に当たるか意見が割れ、議事録の削除はしなかった」 としている。
◆解説◆ 問われる公人の言動
差別の根絶へ先頭に立つべき政治家の差別的発言には、とりわけ厳しい目が向けられなければならない。公人という立場がもたらす差別の扇動効果が大きいからだ。国連人種差別撤廃委員会の勧告も、日本のヘイトスピーチ対策の遅れを指摘する中で、「政治家」「公人」を対象として明示した上で「適切な制裁を科すこと」と厳しい対処を求めている。
元鎌倉市議の上畠寛弘氏は「差別という受け止めは間違い」と主張するが、そもそも差別は意図が問題なのではない。 被害の訴えを受け止めない姿勢こそが男性へのまなざしを物語る。
その意味で当該発言をインターネット上の議事録で公開し続けている議会側の対応も疑問符が付く。議会運営委員会では「明らかな人権侵害」との指摘の一方、「認定は難しい」との意見もあり、男性の削除の求めに応じていない。
ネット上のヘイトスピーチの害悪に対する認識不足も浮かび上がる。実際、ネットを介して差別は扇動されている。上畠氏の投稿には「恫喝(どうかつ)まがいの交渉を在日朝鮮人がやってる」「日本のヤクザの総数の4割は朝鮮人だから」との閲覧者のコメントが付され、デマとともに差別が拡散している。
男性は言う。「学校で子どもがいじめを訴えたら、先生はいけないと言い、やめさせる。ヘイトスピーチ解消法が施行されたにもかかわらず、差別とその被害は放置されたまま。正義を欠いた社会のままでよいのかと問い掛けたい」。政治家として、自治体として提訴を重く受け止めなければならない。
(石橋学)
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