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(中沢佳子)
「コンサルタント業務への適切な対価だ」。竹田会長は15日の会見で、日本の法律で違法性はないとして、潔白を訴えた。コンサルタント料として支払った2億円超は適正であり、 自身は稟議(りんぎ)書に署名したが意思決定のプロセスに関わっていない と説明した。会見はわずか7分で終了。捜査への影響を理由に記者の質問は受けない、一方的なものだった。
竹田会長がトップを務めていた日本の招致委員会は、シンガポールのコンサルタント会社「ブラックタイディングス」にコンサル料2億円超を支払った。ただ、同社は国際オリンピック委員会(IOC)の当時の有力委員だったラミン・ディアク氏の息子と関係が深いことが分かっている。仏当局がディアク氏に絡むドーピング問題を巡る資金の流れを追う中、 日本の招致委のコンサル料の一部が息子を通じてディアク氏側に渡った可能性が2016年に浮上。 昨年12月、仏当局は「予審」の開始を決定し、竹田会長の事情聴取をすでに済ませたという。
予審とはどういう手続きなのか。仏の司法制度に詳しい神奈川大の白取祐司教授(刑事訴訟法)は「重大事件を対象に、検察官の請求を受けて行う。必ずしも公判請求になるわけではない。『予審判事』が捜査の指揮や取り調べをし、公判請求をするかどうかを判断する」と説明する。予審判事は仏特有の制度で、強い権限があるという。「判事という名称だが、日本の検察官に近い。政治と独立した立場にあり、思い切った捜査ができるのが特徴だ」
対象は、社会の耳目を集める事件も多い。例えば昨年3月、サルコジ元大統領が巨額の不正な選挙資金を受け取ったとされる案件も予審が開始された。
元外務官僚の緒方林太郎・元衆院議員は「私の感覚では、予審が開始されるのは深刻な状況。当局が確証を持っていなければ、取らない手続きだ」と重く受け止める。「仏では民間同士でも贈収賄罪が成立する。今回もそれに当たると見たのだろう」
予審の影響力について、緒方氏は「 仏政界では予審の対象になった閣僚は、推定無罪の段階であっても例外なく辞任するのが不文律。 対象になった時点で、道義的責任を問われるという考えがある」と指摘する。例えば、ミッテラン政権下の1994年、バラデュール内閣の閣僚だったカリニョン氏は汚職で予審の対象となり辞任した。
今のところ、竹田会長の辞任を求める声は出ていない。だが、緒方氏は「竹田会長も早く辞めたほうがいい。もし、五輪開催に近い時期に公判請求が決まったら、五輪自体にミソがつく。官邸もどこかで引導を渡すのでは」とみる。
会長辞任どころか「金で買った東京五輪なんてことになったら、恥ずかしい。 五輪憲章に反する行為として、開催を取り消していい 」と切り捨てるのは、神戸女学院大の内田樹名誉教授(哲学)。世界のメディアがこの疑惑を報じる中、 日本では「メディアが及び腰で重大さが伝わっていない」 と批判。そのうえで「開催前年にこんなスキャンダルになるなんて、日本に危機管理能力も自浄能力もないと世界にさらした。開催したら、五輪史上かつてない汚点を日本がつくり、負のレガシー(遺産)を残すことになる」と訴えた。
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