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その統治に関し、在任後も国民の審判の対象となるべき政治家である安倍氏 では立場が異なる。どんな政治家もレガシー(遺産)には必ず正と負の両面がある。
国葬をすれば故人が象徴化され、検証が困難になる。外交関係者に高く評価されるトランプ前米大統領との蜜月は国民に何をもたらしたか。 兵器購入は透明に進められたか。 国民目線で評価すべき点も多い。
安倍政権以降、民主主義的な手続きや熟議より、「スピード感」をもって「決断」することを是とする風潮が続く。反対の声は軽視され、「迅速な決断」を邪魔するものとしてバッシングすらされる。民主主義国としてこれでよいのか。
低支持率が続くと国民の不満を聞くものだが、岸田政権にその気配はない。防衛増税やマイナカード取得の実質義務化、原発再稼働など、反対や懸念の声がある政策も、「決断」して進めてしまう雰囲気すらある。ポピュリスムの嵐が吹き荒れ、頻繁な政治変動へと帰結する近年の欧米は問題だが、国民の不満が高まっても政治変動に結びつく気配もない「無風」の日本も困りものだ。
国葬は送られる安倍氏も送る岸田氏も男性の世襲議員で、日本の政治を象徴していた。 安倍政権以降、日米は「価値の同盟」を強調してきたが、バイデン政権のスタッフは6割が女性で、ジェンダーに関して日米はまったく価値観を共有できていない。 政治家の盛大な国葬を行うことよりも、世界に誇れる人権や民主主義を実現することが、はるかによく日本の存在感を示す方法ではないか。
(構成・上地一姫)
<みまき・せいこ> 同志社大学大学院准教授。専門は国際関係論など。
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