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アベノミクス(安倍政権の経済政策)以来、10年以上も続く超低金利で、預貯金などに比べて株の利回りが相対的に有利となり、株価上昇につながってきました。 日銀は「マイナス金利政策」をやめることを決めましたが、低金利政策それ自体は当分続ける方向です。これが株式投資を促進しています。
日米の金利差を要因とする円安も株高の一因です。 グラフのように、アベノミクスが始まった2012年末に比べて株価は4倍近くにもなっています。この間に「円安・ドル高」が進んだため、ドル換算でみると2・6倍程度にしかなっていません。海外投資家にとって日本株はまだ「割安」なため、海外投資家の日本株購入が増え、これが株価を引き上げています。
大企業は史上最高益を更新したうえ、その利益を賃上げに回すのではなく、配当や「自社株買い」による株主還元を強めています。 23年度は、エネルギー取引などで大もうけした三菱商事が8000億円もの自社株買いを決めたのをはじめ、千社近い上場企業が自社株買いを決め、合計は過去最高の10兆円超となっています。 企業が自社の株を買えば、市場に出回る株数が減りますから、その分、1株当たりの価格は上昇します。
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生成AI(人工知能)などの新技術への期待から、半導体をはじめとしたIT企業などの株価が上昇し、アメリカの株価も史上最高値を更新しています。この影響が日本にも現れているという事情も重なっています。
「NISA」(少額投資非課税制度)が今年から改定され、これまでの非課税期間の制限がなくなって長期投資が可能になり、上限額も引き上げられたことで、個人の株式投資が増えると予想されていることがあります。
いまの株高は、決して国民の暮らしや日本経済が良くなった結果ではありません。 むしろ、株高の要因となっている円安は物価高騰で暮らしを圧迫し、消費も冷え込む一方です。アメリカの株高についても「バブル」との指摘も出ており、いつまでも続くわけではありません。株高の要因のいくつかが失われれば、再び株価が大きく下落する可能性があります。
ヘッジファンドなどの大口投資家は、借りた株を高く売っておいて、株価が下がってから買い戻す「空売り」という手法で、株価下落局面でももうけをあげられます。海外の投機マネーは、日本株の下落を虎視眈々(こしたんたん)とねらっているともいわれます。
NISA拡充を機に株式投資を勧める宣伝も多く見られます。素人が株高局面で投資を始めれば、投機マネーに食い物にされ、株価下落で大きな損失を被るおそれもあるので注意が必要です。
<垣内亮(かきうち・あきら)日本共産党政策員会>
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