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やがて霊現象が頻繁に起きるようになった。その地はアイヌの古戦場であったからだ。また丘の上には居住地跡があり、神々を祀った跡もあった。『 この夏に起きたこと その1 』
それでもオババは夏が来るといそいそU町へ向かった。そうして怖がりながらも帰りたくなくてストーブを炊く時期まで居続けるのだった。
それはオババの前世がアイヌだったからだ。オババの魂がこの地に引きつけられたのである。
霊能者は皆、同じ姿を見た。口の周りに入れ墨を入れたアイヌの既婚女性だったが、とりわけMさんの脳裏に浮かんだビジョンは多くの謎を解く鍵がちりばめられていた。
霊視はタロットカードに似ていると思う。タロットカードは人物の姿形や色、小道具に至るまでさまざまな寓意に満ちているが、あちらの世界の人が見せてくれるビジョンにも人生の謎を読み解くヒントが幾重にも盛り込まれている。
Mさんの霊視は次のようなものだ。
ーー口の周りに入れ墨を入れたオババが従者に引綱を持たせて馬に跨っているーー。
それはオババがアイヌだったという意味にとどまらない。従者を引き連れていることは身分の高いことを教えているし、馬に乗っていることは和人と交易を行っていたことを指し示している。なぜならアイヌには馬に乗る習慣はなかったからだ。馬は和人がもたらしたものなのである。
つまりMさんの霊視はこの地で惨殺されたアイヌたちにとってオババは「敵側についた裏切り者」であると告げていた。
だから彼らは「とり殺してやる」と息巻いた。招霊会を開いた時は「謝れ!!」と怒鳴りつけてきた。
私はオババがこの地に別荘を建てたのは「贖罪」の意味があったと考えてる。オババの中のアイヌの魂がここで仲間の御霊を鎮めようと決めたのだ。
だから退いてはいけない。
いろいろあった別荘の霊現象だが、最終的には古神道の相曽誠司先生によって鎮められた。その相曽先生は何年も前に亡くなられてしまったが、生前はこう言って憂いてらしたそうだ。『 この夏に起きたこと その2 』
「やがて日本は中国の属国となるでしょう。それは100年続きます」


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さそい水さん