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私は患者さんのために24時間365日待機していて、患者さんに何かあると
飛んでいく、そんな生活をしているわけではありません。
萬田診療所は午前は外来で、午後は訪問診療をしています。外来は一人
1時間の予約制です。検査はしないので、初診料か再診料、多少の加算料
をいただくばかりです。家族面談の時間も1時間あり、これは無料で行っ
ています。自費診療(自由診療)は行っていません。
午後は一日数人の訪問看護をします。患者さんを訪問するのは週に1回
から月に1回、状況によっていろいろです。患者さんの99%は亡くなるま
でのおつきあいとなります。年間の看取りの人数は100人ほどです。
仕事柄、「急変」の呼び出しが多いと思われがちですが、そんなことは
ありません。たいてい手伝ってくれている訪問看護師の対応で事が足りて
います。看取り以外の夜間往診は年に数回です。私は「呼吸が止まりまし
た」という連絡をもらってから、1時間くらいで自宅にうかがいます。
訪問看護師とは、自宅で暮らしている人を訪問して看護をする看護師
さんのこと。数人から数十人の訪問看護師で構成される「訪問看護ステー
ション」という事業所(会社)に所属しています。
萬田診療所には看護師がいません。雇う余裕がないからです。
でも、外来では採血も検査もせず、患者も数人しか来ず、ほとんどが
面談なので、看護師がいなくてもやっていけます。聴診器を当てず、体に
一切触らずに1時間面談することも多々あります。
処置らしいことは、ときどき腹水穿刺があるだけです。その準備や片づ
けも、事務をしている妻がやってくれるのでなんとかなっています。
このように外来は問題ありませんが、訪問診療は訪問看護師さんの協力
が欠かせません。私は20ヵ所ほどの訪問看護ステーションと連携し、つね
に7ヵ所ほどのステーションに患者の看護をお願いしています。訪問看護
師がいなければ、私がやりたい在宅緩和ケアはできません。大切な仲間で
す。女房が100人くらいいる気持ちです。
彼女たちにとって私の患者は特殊です。私からの要求が多く、詳細な
報告が必要で手間暇がかかります。ただ、やりがいはあると思います。
通常、訪問看護をしていても、患者の状態が悪くなると入院してしまい、
最後まで看取れることは少ないものです。しかし、私の患者さんの99%は
亡くなるまで、生きている間ずっと看ることができます。その分、看護師
たちも消耗しますが、得るものも大きいのでやりがいがあると言ってくれ
ます。
訪問看護師にとって、「看護師さんが支えてくれたから最後まで家に
いられた」「看護師さんのおかげで生き抜けた」と患者さん本人や家族に
喜んでもらえるのは醍醐味なのです。
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