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●まず「地球を知る」ことが大切
●活断層とは何か
●大地震が歴史を変えるetc.
養老孟司氏
「私は以前から、都会に住む人は地方にセカンドハウスを持ち、
一年のうち一定期間を田舎暮らしするよう国から奨励してほしいと
お願いしています。もともとは都会でずっと暮らすのは体にも頭
(思考)にも良くないと思って提唱したことですが、いまは
南海トラフ後の未来を生きていくための方法だと思っています。」
第二章 被災のシミュレーションと復興ビジョン 廣井 悠(東京大学教授)×養老孟司
●電話ボックス一つ分に6人が詰め込まれる―帰宅困難問題
●震災疎開により都市への一極集中が進む
●お祭りをやっている地域は防災に強い?etc.
廣井 悠氏
「被害の範囲が大きくなると、『助けてもらう』側の市町村ばかりで、
『助けてあげ側の市町村がとても少なくなります。東日本大震災では、
東日本の太平洋沿岸以外は多くの自治体が東北を支援しました。
能登半島地震では、日本全国で支援することが可能でした。じゃあ
南海トラフは?となると、巨大なものが来てしまった場合、『どこが
助けるんだ?』というような状況になってしまいかねないのです。
つまり災害への対応力が、全国で一様に相当低くなるわけです。そんな
ときに南海トラフに見舞われ、想定されている最悪の場合の被害が
生じたら、もうどうしたらいいのか……そこが一番の問題でしょう。」
第三章 巨大地震後の日本経済 デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)×養老孟司
●日本には「事前対応」という発想がない?
●最悪のシナリオ―ー日本は中国の属国になる?
●文化財の耐震工事を行なえばリスクが高まる?etc.
アトキンソン氏
「避難所の開設とか仮設住居の供給もそう。対応が遅い。2024年4月に
大地震のあった台湾なんて、発生後わずか3時間で避難所が被災者の
受け入れを始めたじゃないですか。それもパーテーションで区切られた
プライバシーの守れる空間が、家族ごとに用意されました。食糧、飲料、
タオルなどの生活必需品はもちろん、スマホの充電器やWi-Fiなども
配備されてね。
一方、能登半島地震では、避難所を設営して、生活必需品を揃えるのに
一週間以上もかかっています。体育館などにプライバシーもない段ボール
箱の仕切りで床の上に寝たりする。単純に比較ができないとはいえ、
日本の行政はこの差を真摯に受け止めて、今後の対応に生かすべきだと
思いますね。」
第四章 復興後、自然環境はどう変化するのか 永幡嘉之(自然写真家)×養老孟司
●津波から2年後に起こった予想外の変化
●復旧事業に「待った!」
●南海トラフの復旧事業に東北の教訓は生かせるか
永幡嘉之氏
「津波に洗われた砂浜にも、生き残ったマツがかなり生えていたんです。
専門家の会議で、地下水位が高いから、まず盛り土をすべきという方針
が決まったことで、そのマツの林を全部剥ぎ取って更地にして、新たに
山から運んできた土を盛ってマツの苗木が植えられました。
自然には、人間にたとえるなら免疫のような再生力があります。そこを
まったく考慮に入れない復旧事業の進め方が、養老さんの言う『部品を
新しくするような発想』にあたりますよね。
でも、隅々まで整地することが、社会が目指す復旧だったわけですよね。
津波の後に泥で覆われた土地をそのまま残したら、何もやっていない
ことになる。被災者のためにも、全部、素早くきれいにしなきゃいけな
いと、ブルドーザーでいじっていない土地がどこにも残らないように
したわけです。土を入れ替えたら、そこの植物も虫も全部リセットされ
るわけですから、自然環境は、もうまったく別のものになります。」
養老孟司氏
「南海トラフを境に、自ずといろんなブレーキがかかるかもしれません
ね。エネルギーが供給されない、日常的に水にも困る、食料が足りない
となれば、さすがに日本人も本気になるでしょう。自分の日常に関わっ
てきて初めて、これは現実だと受け止め、思考スイッチがまじめに考え
るほうに切り替わるのではないでしょうか。その意味では、南海トラフ
は日本人が本気で生き方を変えるための、最後の機会になると思う。」

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さそい水さん