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2024.11.20
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カテゴリ: エッセイ

 先日歴史について書いたときに、今の日本は歴史的事実のみを重視する幸せな国というような話を書いたが、実際にはお父さんが生きてきたこの50年でも歴史は思想によって捻じ曲げられている部分がある。

 それが第二次世界大戦、もしくは日中戦争や太平洋戦争と呼ばれるものである。

 第2次世界大戦は、お父さんの祖父母の世代である。そのためお父さんは子供のころ、祖父母から戦争の実体験を聞くことができた。空襲警報が鳴ると庭に作った防空壕に逃げたとか、空襲を受けた都市部が燃えているのがよく見えたなど祖母の話は日本で過ごしていた時代の話である。

 実際に戦地に行った祖父からは、現地でどういうことがあったとか、軍隊の内部の話などを聞いた。お父さんが子供だったせいで、実際の戦闘の話はほとんど聞いたことがないが、行軍中に仲間が地雷を踏んだ話などは聞いたことがある。

 父方の祖父は中国で終戦を迎え捕虜となり、戦後しばらくしてから生還した。母方の祖父は中国の南方戦線から兵役切れでいったん日本に戻っていた時に終戦を迎えたという。

 日本はその後に驚異的な復興を成し遂げたので、お父さんが物心ついたときに戦争の爪痕を肌で感じたことは基本的にない。お祭りの時などに神社に傷痍軍人という戦争でけがをした人(手や足の一部が欠損している人が多かった)が、寄付を募っていた光景を見ていたぐらいだ。

 しかしながら学校では、日本は戦争に負けて苦しい思いをしたということはよく先生から聞いていた。広島や長崎、第五福竜丸などの被害は日本人なら誰もが当時教えられた内容である。

 歴史的事実である以上、敗戦も戦後の混乱もその後の復興もすべて習うべきことであるのだが、お父さんの時代の先生というのは、日教組という教職員の組合に入っている人がたくさんいた。かなり左寄りの組織で、日の丸や君が代反対を当たり前のように唱えていた。

 この手の先生から、お父さんたちは「戦前日本は悪の国家」「世界中に迷惑をかけ、現在世界中から嫌われている」「日本人は世界に謝り続けなくてはならない」ということから、「日本は平和憲法によって戦争をしない国になった」「世界中がうらやむ平和憲法(特に第9条)を持っている」などかなり左翼的な考えを刷り込まれていた。

 日本が世界に悪いことをしたとか嫌われているという教育は、10代のお父さんの心をかなり縛り付けていた。大学生になり、自分で海外、主に東南アジアに旅行するようになり、現地の人と話をする中で「あれ?」と思い、自分でいろいろと勉強することによって、ようやく呪縛から逃れることができたといえる。

 ちなみに日本は他国を侵略したというのは客観的に事実であるのだが、「なぜ」という部分をお父さんたちは、「略奪するため」というニュアンスでしか教わっていない。実際に大学生になって調べてみると、複雑な事情があるのだが「これ」という一つがあるわけではない。ただ当時アジアを支配していたのは、列強と呼ばれる白人の国々で、日本がそれに抵抗するために必死だったというのは間違いのないところであろう。

 2024年現在、団塊の世代が政治(選挙)ではまだ力を持っている。その次にその世代に教育を受けたお父さんたち団塊ジュニア世代がいる。団塊世代は左翼思想の割合が多く、団塊ジュニアにも教育によって引きずられた左翼傾向はそれなりに多い。

 その下の世代からようやく、日本のことを日本人としてきちんと考えられる世代になるのではないかと考えている。現在世界のスポーツ界で活躍する選手がいる世代である。

 この世代は正しいとか間違っているという話ではなく、インターネットを使ってあふれる情報を取捨選択している世代である。当然自分で何が正しくて何がウソなのかを見分ける力をつけている世代だと思う。

 彼らが作り上げていく政治思想や日本国は今とはかなり違う歴史解釈を持った新たな国になるのではないかと思う。






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最終更新日  2024.11.20 00:10:14
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