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書籍の感想です。今回は「吉祥寺よろず怪事請負処」です。吉祥寺よろず怪事(あやごと)請負処/結城光流【合計3000円以上で送料無料】親戚のガーデンショップに居候している大学生の保。そのガーデンショップの社員である啓介も一緒に暮らしていることもあり、仕事の枠を超えて兄のような存在になっています。そんな啓介は腕の良い庭師なのですが、実は陰陽師でもあり、庭にまつわる不思議な出来事を解決していきます。なんか良く分からないのですが、保は「悪いもの」に目を付けられやすいようで保の先々で事件が起こります。信じたくないけど、目の前で「あり得ない何か」が起こるので、知りたくなってしまい、「あれは何だったの?」と問うと、啓介の答えは「さあ?」というとぼけた答え。何か教えたくない理由があるようです。うーん、気になる。保じゃなくても気になる。続きの巻で明らかになっていくのかな。ちなみに「悪いもの」の描写はさあっと何かが通り過ぎたり、とかちょっとゾクッとする表現ですが、そこまで怖いものではないので、怖いものが苦手な人でも安心して読めます。続きが楽しみです。
2020.10.31
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書籍の感想です。今回は「天然石ねこまち堂は坂の上」です。天然石ねこまち堂は坂の上 (メディアワークス文庫) [ 水沢 あきと ]主人公の鈴はスポーツ推薦で高校入学を決めた女子高生。だが、その学校は家から遠かったため、祖父が営んでいた天然石アクセサリー屋に居候することになったのでした。大好きだった祖父自体はすでに他界しており、その店は叔父、お父さんの弟が経営しています。そんなねこまち堂は「願いことが叶う店」とひそかに有名なんですが、店主である叔父さんの瑠璃はそれを毛嫌いしています。瑠璃に言わせれば、「お願いすれば石が願いことをかなえてくれるとでも思っているのか?そんなのがお望みなら魔法使いの家に行け」ということです。そうです。このお店には石はたくさんあるのですが、その石たちがものすごい能力があるわけではありません。ただ、鈴はほんのちょっとだけ石とその人が経験した「記憶みたいなもの」を「視る」ことができます。そして、一緒にいたその本人にもそれを体験させることができます。それを見たからと言って、過去が変わるわけではありません。ただ、忘れていた大切なことを思い出す手伝いをしたに過ぎません。思い出した彼、彼女らが自らの意志で、向けて前に進む勇気を持つのです。石に不思議な力がある、とか、店主に異能があるとか、そんな話ばかり読んでいたので、とても良かったです。この、お手伝いだけで、自分の意志で進んでいく、というところが。あと、この小説に猫が3匹出てくるのですが、それが可愛いこと可愛いこと。こんな足に絡みついてくる猫とか欲しいなぁ。とちょっと思っちゃいました。
2020.10.15
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書籍の感想です。今回は「すべての神様の十月」です。すべての神様の十月 (PHP文芸文庫) [ 小路幸也 ]10月は神無月なわけですが、そんな「神様」と「10月」という言葉が合わさったタイトル。はてさてどんなお話かというと・・・この小説に出てくる神様はすごい力を持っていつつも、非常に窮屈な制約の中で仕事をさせられている神様たちです。例えば死神。彼も神様の一員に数えられていますが、人が死ぬところにしか立ち会えない。逆に、人が死ぬことを見届けることを仕事して義務付けられ次から次へと人が死ぬのを見届けていく。別に彼が人を死に追いやっているわけでもなく、悪の道に誘うわけでもなくただ、淡々と、ひたすら死を見届ける。そんな「本来は死ぬ人しか見るはずがない死神」とひょんなことから契約してしまった彼女は、徐々に死神と仲良くなり、ある時、死神の願いを知ることになるのでした・・・それは本当にささやかな願い。それを・・・みたいな話。短編なのですが、あとは貧乏神や疫病神なんかでも出てきます。悪いイメージを持ちがちな二柱ですが、貧乏にする理由、そして、病気にする理由がとても暖かくて好感が持てます。そして、個人的に大好きなのが、九十九神の話。九十九神は付喪神のことだと思いますが、そう、長く存在し続けた物に神様が宿るっていうあれです。彼の家におばあちゃんが使っていたお釜があって、それに付喪神が宿るのです。「俺がいるからおいしいご飯が炊ける」なんて息巻いているけど、普段はなんもしない、まあ、彼も話し相手くらいにはなってくれていたんだけどそんなもん。すごいことは何も起きなくて、何とか小さい会社に就職して、何とか彼女ができてそろそろ結婚とか・・・なんて考えちゃう。そんな時、お母さんが余命わずかと分かり・・・そこで神様らしく頑張った付喪神と、その後にクスっと笑えるオチ。とても良い話で良かったです。どの話もほっこりする良いお話です。お勧め。
2020.10.15
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書籍の感想です。今回は「影王の都」です。影王の都 (創元推理文庫) [ 羽角曜 ]裏表紙に書かれたあらすじを読むとリアノという少女の物語のようです。ですが、物語の最初に語られるのはイーラという女性の話です。その後、イーラとヴィワンのお話、リアノとしゃべる髑髏のお話、さらにはリアノの兄で、家を出ていってしまったガレルーンとアーシュの物語が、織り交ざりながら進んでいきます。この辺はどこが夢でどこが過去の話で何が現実の話なのかちょっと分かりにくい部分があるのですが、時間が円環の輪の中に閉じ込められているために未来が過去で、過去が未来で、死と生に区別がないかのような感じになっています。やはり「永遠の命」というものを求めることは愚かなことなのでしょうかね。永遠に死なず、老いないということは時間に意味がなくなり、生にも意味がなくなるということなのかもしれません。「同じことは二度とない」だからこそ、今が貴重であり、愛おしいのですね。
2020.10.03
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書籍の感想です。今回は「沙漠の国の物語~楽園の種子~」です。沙漠の国の物語 〜楽園の種子〜【電子書籍】[ 倉吹ともえ ]主人公はラビサという男装の女の子。住んでいる町は、水をもたらすシムシムの木があり、沙漠の聖地と呼ばれています。シムシムの木は種子を宿し、それを見つけたものが使者となり、その種子を植える街を探しに行く、という習わしがあります。数年前、兄が使者となったラビサは今度は自分が・・・と思っていたところで、今年、ラビサが種子を見つけます。そして、ラビサはシムシムの木を植える場所を探して、旅立つことになるのでした・・・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー物語に彩を添える存在として、「ジン」が出てきます。ラビサは最初は何も知らなかったのですが、旅の途中で知り合ったジゼットからジン使いの才能があることを知らされます。その力をうまく制御できず、辛い思いをしたり、最後にはそれが役に立ってみんなを助けたりするわけですが、なかなかオリエンタルな雰囲気満載で楽しかったです。
2020.10.03
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