森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2013.02.03
XML
カテゴリ: 行動のポイント
吉田茂元首相は、政治家になる前は外交官だった。はじめて外国に赴任し、最初の仕事は、電信室で電信を受け取り、それを大使に届ける。ただそれだけの仕事。吉田さんは、「こんなバカげた仕事はもうやめたい」という手紙を、義父の牧野伸顕さんに書いたという。
すると牧野さんは、その返信で厳しく吉田さんを叱責した。
「何をくだらないことをいっているのだ。お前のやっている仕事は、大使よりも先に電信を見られるではないか。日本から来るもの、世界各国から来るもの、さまざまな内容の電信を見ることができる。一国の行方を左右するものがあるかもしれない。それを見たときに「もし自分が大使だったらどう判断するだろう」と考えることができる。また大使がどう動いたかを見れば、実践的な勉強になるではないか。」

これと同じようなことを森田先生も言っています。
「形外先生言行録」より、林要一郎氏の話。
ある日庭で働いている私を、二階の居間におられた先生が「林君、林君」と呼ばれた。早速二階に上がって、居間に伺うと、先生は床の間にかけられた掛け軸を指さして、これを巻いてしまいなさいとのことである。お指図のままにその幅を巻いて箱に収めた。「それでよろしい」といわれるかと思うとそうではない。「君はあれは誰の筆かみたか」とのお尋ねに私はハッと詰まって黙ってしまった。「だから君は駄目だ、掛け軸を巻けといえば、いわれるままに機械的に巻くだけだ。なぜ巻きながら筆者を見たり絵を見たりしないのか」という先生の言葉がつづいた。

ここで森田先生や牧野さんの言いたいことは、物事に取り組む時いわれた事をそのままやるのではなく、もう一歩踏み込んでみなさい。ということである。お使い根性ではだめだといわれているのである。ちょっとしたことだがその後の経過は雲泥の差となってくる。
そういう態度になれば、一つのことにこだわっておられなくなり、頭に浮かぶことも、手を出すことも次から次へと芋づる式に流れてゆくのである。その有様は鴨長明の、「行く河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどに浮かぶうたかたはかつ消えかつむすびて久しくとどまることなし」となるのである。自然の流れに沿った生き方は誠に自由でおおらかである。それは自然の流れに同調しているからである。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2013.02.03 08:06:20
コメント(0) | コメントを書く
[行動のポイント] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

寒い時期の脳卒中、… New! 楽天星no1さん

長谷寺~室生龍穴神… へこきもとさん

心食動操 メルトスライム25さん
神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: