森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.07.28
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小学校4年生のあるクラスで「心の教育」がありました。
4名から5名のグループで、廊下にはってある絵を一人ずつ順番に見てきて、画用紙に描きだすという課題でした。
一人ずつが、見てきたものを書き、全員で一つの絵を協力して仕上げるのです。
その時あるグループで男子数人がけんかをはじめました。
リーダー役の女子がけんかをやめさせようとしますが、収まりません。
気持ちが荒れている男子は、いたずら書きをたり、まじめに取り組みません。
リーダー役の女子は、イライラしながら一人で取り組みました。

時間がきて、全員の前で発表の時間になりました。
明らかにのグループは他のグループに比べて、未完成の状態でした。

心の中で思っていることとは違うことを発表したのです。
こうして「心の教育」という授業は終わりました。
波風を立てない建前の発表にはたして問題はないのか。私は問題が大ありだと思います。

この女子の気持ちは「男子はけんかばかりして、協力してくれなくて、私はとても悲しくて残念でした」ではなかったでしょうか。
この子のかなしい思い、悔しい思い、腹立たしい思いはどうなったのでしょうか。
「心の教育」というからには、心にはネガティブな感情も湧き起ることもあり、その気持ちを抑圧しないで出し合う。
そのことの意味を考えてみるということが大切なのではないでしょうか。
そういう意味では格好の授業の題材になったはずです。
先生は教室にいて見ておられるわけですから、そこに焦点を絞って授業を進めるべきだったのではないでしょうか。
ただ単に共同作業を経験させることが目的なのでしょうか。
そんなことをするとそのグループの児童を責めることになり、授業に悪影響をもたらすとでも考えられたのでしょうか。


ここで重要な点は、このネガティブな感情をどう取り扱っていくかということにあります。
この点について、親、養育者、教師のみんながネガティブな感情は悪であり、憎むべき相手であると思っています。
そしてその誤った思いを子どもたちに伝承しているのです。
世代を超えてその悪循環が繰り返されているのです。

先生はこの例を参考にして、ネガティブな感情を受け入れていくことの大切さを分かりやすく児童に説明していかなくてはなりません。

でもこれは人間が生きていくための必須の学習事項です。
是非とも次世代を担う子どもたちに伝えてゆきたい学習項目です。

そのためには、親、養育者、教師のみんなが、ネガティブな感情は生きていく中に当然出でくるものであり、逆らうことは自分を苦しめることになるのだという理屈を知ることが先決です。
そして自分でもその方向で行動できる。それを子どもたちに伝えていく。
すると、子どもの心の問題の大半は解決の方向に向かうのでないか。
森田理論学習を続けている私たちはそのことを社会に認知させていく使命が課せられているのだと思います。
(怒りをコントロールできない子の理解と援助 大河原美以 金子書房参照)





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Last updated  2015.07.28 06:50:41
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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