森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.01.09
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(学習テーマ)リズムに乗る生き方

(学習のねらい)この部分の内容は森田理論学習の応用編「生の欲望の発揮」にあたります。

(内容説明)
森田先生は後年感情にはリズムがあるということを研究されていました。
自分でもダンスをされ、ダンス教室にも関心を持っておられました。

リズムについては、音楽の二拍子、三拍子、四拍子のことを思い浮かばれる人が多いと思う。
音楽では強弱である。またはそのバリエーションのことを言う。
そしてそのリズムは繰り返えされている。
さらにリズムは繰り返しながら、元へと戻っているということだ。

体温も日中は高く、夜は低い。交感神経は昼間優位で、夜は副交感神経が優位になる。
ホルモンも昼間はアドレナリン優位だが、夜になるとセロトニン優位となる。

人生はよく波に例えられる。波はうねりである。
森田先生は全集第5巻の131ページで、守田宝丹の「身家盛衰循環之図」を説明されている。
森田先生は、家系にも自然の波の中に身を任せていると、浮き沈みが繰りかえされているといわれているのだ。

時化の海でいうと、船が波の上に打ち上げられると、次には必ず波の下に打ち付けられる。
荒れた海では、大きなしぶきが甲板をさらう。難破するのかと思うと、次には波の上に出てくる。
船酔いをしないという人を見ていると、船が沈む時は自分の体も沈む。船が浮き上がる時は自分の身体を持ち上げるように持っていく。
つまり船の揺れと自分の体の動きを一致させているのである。
船のリズムと自分の体のリズムを調和させるようにすれば決して船に酔うようなことはない。

隣近所のブリキに釘を打ちつけるようなやかましい音も、その打ちつける金槌の音に同化するようにすれば不快感はすぐに消えてしまう。

リズムというのは自然のゆらぎととらえてもよいものである。
ゆらぎは人間の心に安心感をもたらしているといわれる。

このリズムがないとどうなるか。実に味気ないものになる。
蒸し暑いときの自然の風は気持ちがよいが、クーラーや扇風機の人工の風は嫌がる人が多い。
これはリズムがなく、変化がない強制的な風だからだ。


視覚でも聴覚でも、ある一定の物あるいは音に対して無理に注意を集中していると、初めはそれに注意が向いているけれども、いつとはなしに注意は散漫かつ、漠然となり、無意識の状態になってしまうのである。
森田先生は、我々の精神機能もまたリズムであり、たとえば注意という機能も、しらずしらずの間に、緊張と弛緩とが交代してリズム運動になっているといわれる。
ものごとをリズミカルにするときには、それによってわれわれの生活機能を引き立たせる効果があるものである。

われわれの心身の機能は、変化がなく無刺激である時は、いつとはなく弛緩して倦怠感を生じる。
また、たとえ刺激は相当に強くても同じような刺激が長くつづくときには、いつの間にかそれに慣れて刺激を感じないようになる。
だから、われわれの心身は、その機能が緩んでいる時には適度の刺激をあたえてそれを活動させ、またあまりに過敏になっているときには刺激を緩和して平静にするなど、よく生活機能を調節していくことが必要である。

我々が仕事の能率をあげるのには、複雑な事柄を分類、整理、統一してリズミカルにしておくことが必要である。
これは生活を規則正しく次から次へとへとこなしていくことだろう。いわゆるルーティンである。
意識を介在させずに無意識で体が自然に動いていく状態は、無駄がなく自然である。
例えば車の運転などがそうである。無意識に外部の状況に応じて適切な行動がとれている。
無意識に行う行動にはリズムがあるのである。

ものを記憶するにも、不規則なものを調子のよいリズミカルなものに直して利用するとうまくいくことがある。例えば歴史の年代を覚えるなどに活用した覚えがある人も多いだろう。
いい国作ろう(1192年)鎌倉幕府等である。

その他にも、土地を突き固める人々が「エンヤコーラ」のかけ声で調子をとるとか、歩くときに両手を振るとか、字を書くときに口をまげるとか、音楽の伴奏で踊り、あるいは歌うとか、いろいろある。
(生の欲望 森田正馬 白揚社 106ページより一部引用)

神経症から回復することは、リズム感を取り戻すことです。
生活のメリハリを取り戻すことです。
そのためには日常生活を規則正しく回転させていくことです。
特に家にばかりいる主婦、定年後の人は意識して取り組まないと、いつも弛緩した状態になりやすいと思います。
ここで森田の「休息は仕事の中止ではなく、仕事の転換にある」という言葉を思い出してみてください。
ある仕事に飽きた時、疲労がたまった時は弛緩状態にあります。
意識してなすべき事を転換していけばまた緊張感を持った状態に転換できます。
臨床心理士の岩田真理さんは30分ごとに家事や仕事を変えてみることを提唱されています。
なかなかいいアイデアだと思います。
緊張と弛緩のバランスを考えた生活態度をぜひ身につけてゆきましょう。

例えばあと一カ月で大事なイベントを控えているとします。
すると一ヶ月後には心身の状態、モチベーションを最大に持っていけばよいということが分かります。
この弛緩と緊張のリズムを作り出してやればいいのです。
例えば最初の20日ぐらいで徹底的に問題をつぶして準備をします。
へとへとになるぐらい成功のためのシュミレーションを繰り返します。緊張感を保ち続けるのです。
そして10日前ぐらいになると、急にそのことは一切忘れて他のことをするのです。
そして3日ぐらいになってそろそろウォーミングアップを開始して本番を迎えるというものです。
緊張状態をいったん落としてしまうということです。
すると本番を迎えるころには、状態が自然にあがってくるというものです。

これが反対に5日ぐらいまでに神経をピリピリさせて、ある程度成功のめどが立ってしまって、本番を迎えるころにモチベーションが下がってくるという局面を迎えるのは得策ではありません。とくにスポーツなどでは決してよい結果が得られません。
ご自分でも生活の中で確かめて、取り入れてみたらいかがでしようか。

私たちは緊張感を持って昼は活動している。
夜はたいてい11時までには寝て心身ともに弛緩させて休んでいる。
つまりバイオリズムを持って生活しているのである。
ネットゲームが好きだからといって2時、3時まで起きているような生活。
反対に朝寝をしたり、昼間に何時間も寝るような生活はリズムがくずれて、心身とも不健康になります。
私たちはただ単に緊張感という波、弛緩状態という波にうまく乗って生活していけばよいのである。






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Last updated  2016.01.09 07:33:49
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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