森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.01.25
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心療内科の平木英人医師の言葉です。
痛みとは視覚神経を伝わって大脳の視床に到達します。
これに対する反応として、副腎髄質からアドレナリンが分泌され、血管の収縮や筋肉の緊張が生じます。
この反応で局所的な貧血が起こります。
貧血が起こると組織内の酸素が足りなくなるため、今度は内因性の発痛物質が生じます。
こうなると、外因性の痛み刺激が消えても痛みを感じるようになるのです。

又こんなふうにもいわれている。
慢性疼痛の場合、通常の痛み刺激で活性化するはずの大脳視床ではなく、思考や感情を司る前頭葉の部分が活性化することが分かったのです。
前頭葉というのは脳の思考を司る部分です。

実際、慢性疼痛には、抗うつ薬など前頭葉に作用する薬や、思考を必要とする心理療法が有効です。
(慢性疼痛 平木英人 ちくま新書 60ページ引用)

これが事実であるとすれば、慢性疼痛の治療方法は根本から見直していく必要があるということです。
つまり身体的痛みは、末梢神経から視床下部に伝わり、視床下部から下垂体、副腎系へ対応指令が出されていると思われていた。
そのために、その方面の対症療法が中心となっていたのです。
実際一過性の痛みはそれで解決できていた。

ところが慢性疼痛の場合、その経路だけではなく、前頭葉が絡んでいる。
むしろそちらの方の影響が大きいのではないかと言われているのだ。
それは自分が作り出した架空の思いこみのようなものなのだ。
だから痛みの原因がなくなっても痛みを感じるようになり、しかも増悪していく。

このように問題をとらえると治療方針は全く違ってくる。

平木医師は、自律訓練法、交流分析、行動療法、認知療法、カウンセリング、絶食療法、森田療法、催眠療法、内観療法等が必要となると指摘されている。
平木医師は絶食療法、森田療法にことに詳しい。
それはご自身不安神経症を森田療法で克服したからだ。

これは慢性疼痛の治療に限らず神経症の治療にも言えることであると思う。
神経症で精神科にかかると、まずは薬物療法で様子を見ましょうということになることが多い。

それでも改善が見られないときは匙を投げるか、薬漬けにしてしまう。
患者にとっては大変なことである。病院にかからない方がまだよかったかもしれない。

慢性うつ、気分変調性障害、神経症は治療の視点を変えることが必要だと思う。
様々な心理テストを行い、そのクライアントにあった心理療法を取り入れて治療をしていく必要がある。
平木医師によると、その心理療法は30種類くらいあるという。

私自身は神経症には森田理論学習がよいという立場をとっている。
不安の見方を変え、「生の欲望に邁進する」実行力を身につける。
「理知本位」「気分本位」から「事実本位」の考え方を理解して、日常生活への応用力をつける。
これが神経症克服の決めてであると思っている。
ただこれは適切な指導者のもとに行わないと効果が少ない。
ましてや自分ひとりで取り組むことは至難の業である。
さらに時間ばかりが空回りして、途中で放り投げてしまい、森田には二度と寄りつかなくなってしまうのが残念なことである。
「森田はもう少し掘り進めば、その下に豊かな鉱脈が静かに眠っている」これが私の実感である。





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Last updated  2024.06.04 09:03:40
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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