森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.05.14
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対人恐怖症の原因は親の養育よるところが大きい。

ハリー・ハーローはアカゲザルを使って実験をしている。
針金で親をイメージした人形を2体作る。
片方には哺乳瓶を持たせる。片方にはその人形を毛布でくるむ。
どちらの人形にアカゲザルの赤ちゃんが懐いてくるのかを観察したのである。
すると人形を毛布でくるんだ人形に懐くことが分かった。
このことから愛着の形成は食べ物を与えるよりも親の接触、温かみ、ぬくもりが重要な役割を果たしていることが分かった。

またアダルトチルドレンの原因は、親の過保護、過干渉。親のアルコール依存症。
親の長時間の不在等が原因とされている。


普通の子育てでは、自分の周りに親がいて世話をやいてくれる。
自分が生まれてきたことを親が喜んでくれている。
すると自分の心のよりどころを得てくるのだと思う。
心の安全基地を持つことができるのだ。
その後ろ盾をよりどころとしながら、少しずつ外部との接触を始めることができるようになる。
最終的には親から自立して、親から離れていく。

ところがそういう育ち方の経験がないとつらい人生が待ち構えている。
まず自分は生まれてきてはいけなかったのではないかという疑念が生まれる。
そしてひょっとして、自分は親とっては迷惑な存在なのではないか。
親にとっては好ましくない人間なのではないか。
きっとそうだ。間違いないと思いはじめる。そしてついにそれが確信に変わる。


自分を攻撃する人間に見えてしまうのだ。
それに対して防御態勢を敷かないと踏みつぶされてしまうような被害妄想に悩まされる。
自分は孤立している寂しい人間に見えてくる。
こんな敵が多い状態では社会に溶け込んで、まともな社会生活を送ることは無理ではないかと思うようになる。社会の荒波の中で仕事をしてゆく自信がなえてくる。
適応不安が芽生え、それが確たるものとなる。アパシー状態になるのである。


また相手の甘えも自分としては受け入れることができなくなる。
本来は自分のやりたいことを優先して相手に甘えたり甘えられたりするのだが、それができなくなる。
相手の機嫌がことのほか気になるのである。

そのうち、相手に何らかの利益をもたらさないと自分を受け入れてもらえないのではないか。
自分が相手に甘えるということは取引をするようなものになる。
自分の存在自体が相手に無条件に受け入れられる場合もあるということは思ってもみないということになる。
次第に自分の思うように人生を生きていくことができなくなる。

さらに、自分の欠点や弱み、ミスや失敗は相手を不快にさせるので、絶対にあってはならないと思うようになる。
そんなことをすれば益々相手に嫌われて甘えは受け入れられなくなる。
だからそういうことは隠す、逃げる、取り繕う、ごまかして相手の眼に触れさせないようにするようになる。
さらに表面的な自分を見栄えの良いものに塗り固めることに注意を払うようになる。
ありのままの自分を出すことはなくなる。
いつも相手の顔色ばかりを気にしているととても生きることがつらい。
何のために生きているのだろうと思うようになる。
いつも何かに怯えたようになりビクビクして神経が休まることはない。
意識は常に対人関係に向けられ、そんな自分を自己否定するようになる。

もともと自分は親の養育の犠牲者なのだから、親を反面教師として観察して、自分の生き方を変えてゆけばよいのである。
ところが愛着障害の人、アダルトチルドレンの人は、親を憎んではいるが、自ら進んで親から離れようとはしない。
それは親を否定しながらも、心の中ではなんとか親に受け入れてもらいたいという未練があるからだ。
この傾向は親だけではなく、社会に出てからもそうである。
こちらの方が問題としては大きい。

自分を非難したり、無視したり、拒否したり、否定する人は自分の周りにたくさんいる。
その人たちとの人間関係はある程度距離を置いて、自分の気の合う人を探せばよいのだがそうは考えない。
自分を馬鹿にする人との人間関係をなんとか修復しようとする傾向がある。
相手の仕打ちに対して耐えたり、我慢したりして仕事をしているのである。
その人と距離を置いているが頭の中ではそのことでとらわれ続けている。
精神衛生上極めて問題のある対応である。
そして自分を引き立ててくれるような人たちは眼中にないかのような付き合い方をする。

それはその人との人間関係を修復しない限り、自分の人間関係は永遠によくならず、孤立して寂しい人生に陥ってしまう。
そうなれば社会から永遠に抹殺されてしまうという恐怖感からきているのではないかと思われる。

集談会でも愛着障害の人、アダルトチルドレンの人は大変多い。かくいう私もそうである。
もはや昔に戻って人生をやり直すわけにもいかない。
今出来ることは、そのからくりをよく学習して自分の置かれた現状を自覚することである。
事実関係をよく見つめてみることである。
事実がよく分かるようになれば自然に対応策が見えるようになるものである。
その上で親の養育は問題があったのだから、恨んでもよいと思う。
精神的には親とは一線を置くしかないと思う。
これは別の考え方をしている人がいるかもしれない。
私の場合はそう思うというだけのことである。

それから対人関係は、会社の人間関係だけで固まることは危険である。
集談会、趣味の会、地域社会、PTA、同窓生、親戚関係、ボランティアなどいろんな人間関係があると思う。
広く浅く多くの人と時と場合に応じて付き合うことをお勧めしたい。

それから愛着障害の人、アダルトチルドレンの人は職業の選び方は注意して選んでほしいと思う。
私のようにいきなり訪問営業のような仕事は難しい。私も9年で挫折した。
人間関係がそんなにシビアでないような仕事。一人で技を究めていくような仕事。
動物や植物を相手にするような仕事。
他人から「ありがとうございます」と感謝されるような仕事。等など。
私たちに向いている仕事はいくらでも見つかるはずだ。
職業の紹介の本など見て間違いのない職業選びをしてもらいたいと思う。





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Last updated  2016.05.14 06:37:23
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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