森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.06.09
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森田先生のエピソードはユニークなものが多い。奇人変人と言われるようなものである。

1903年(明治36年)、森田先生は29歳の時医師免許を手にされた。
その年の8月、郷里に「犬神憑き」の調査を兼ねて帰省している。
その当時新進気鋭の東京帝国大学出身の医師の帰還は、高知では一大ニュースであったという。

高知病院を訪問した際にも大歓迎を受けた。
入れ替わり立ち替わりもてなされて4次会まで参加された。
記憶がなくなるまで飲んでおられる。

次の日二日酔いになり、寝ていたところ、ある女学校から始業式に講演を依頼された。
森田先生はふらふらにもかかわらず、さらに迎え酒で景気をつけて、600人の女学生を前に「迷信とはなにか」と題し1時間の講話をされた。


調査旅行の最終日には、高知医学会で講演を行った。
演題は「犬神の迷信とその症例、祈祷と催眠術、神経症および精神病の治療に関する注意」で3時間にも及んだという。
ここでも面白い逸話が残っている。
「演説中に、小松先生は、私のために、コップに水の代わりに酒を入れてくれたが、私は演説しながらコップ3杯余りをかたむけつくした。これが精神科医として学会演説の初陣であった」

その時の服装は学生用の黒い木綿の袴をはいていた。
女学校の講演もこの格好でやったようである。
着やすく、実用的であるというのがその理由である。
そのため高知病院の院長は、当初帝大出身の医学士、森田正馬先生とは気がつかなかったという。

この手の話はいろいろある。形外先生言行録で河原宗次郎氏が書いておられる。
「診察料10円をお支払いして診察を受けました。
倉田百三先生の本を見てきたので、よほど偉い先生だと思っていた。

案内されて、粗末な机の前に座っていると、まもなく、和服を無造作に着た、痩せて小さな猫背の老人が現れた。それが森田先生だった。
この人が私のむずかしい病気を治せるのかと、少したよりなく思ったことであった」

河原さんは、立派な体格で、威厳があり、近寄りがたいイメージで神妙に構えておられたので、かなり面喰ったようである。
しかし話し込んでみるとすぐにその認識は変化したようである。

恩師の呉秀三教授は立派な体格で、いかにも大学教授という風采であった。


往診に行けば、あまりの風采の悪さに弟子を生生と見間違えられて、森田先生は診療を断られて追い返されたこともあった。

神経症で苦しんでいる人は、自分の欠点は隠したり、ごまかして、見た目に気を配り、実態以上によく見せようとするものである。
しかし、その思いとは裏腹に、他人にとっては、その人は油断も隙もできない付き合いづらい人とうってしまう。
森田先生のように、最初から自分の欠点や弱みをあけすけに見せつけられると、かしこまって防御態勢を敷いていたのが、急に緩んで、親しみを持って見ることができるようになるのだろうと思う。





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Last updated  2016.06.12 07:57:28
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

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