森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.06.20
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
吉野源三郎氏は「君たちはどう生きるか」の中で、中学2年生のコペル君に向かって、おじさんの口を通じて、次のように語りかけている。

「まず肝心のことは、いつでも自分が本当に感じことや、真実心を動かされたことから出発して、その意味を考えていくことだと思う。
君が何かしみじみと感じたり、心の底から思ったりしたことを、少しもゴマ化したりしてはいけない。
・・・もしも君が、学校でこう教えられ、世間でもそれが立派なこととして通っているからといって、ただそれだけで、いわれたとおりに行動し、教えられたとおりに生きていこうとするならば-コペル君、いいか、-それじゃ、君はいつまでたっても、一人前の人間にはなれないんだ。
・・・世間には、他人の眼に立派に見えるように、見えるようにと振舞っている人が、ずいぶんある。
そういう人は、自分が人の目にどう映るかということを一番気にするようになって、本当の自分、ありのままの自分がどんなものかということを、つい、お留守にしてしまうものだ。
僕は、君にそんな人になってもらいたくないと思う」

これは森田理論でいう「生の欲望の発揮」のことを言われている。
この本は言論統制の激しかった1937年(昭和12年)に出版されている。

ちなみに森田先生も1934年(昭和9年)に発行された「生の欲望」という本は、厳しい検閲にあい、抗議の意味で、検閲で認められなかった個所は白紙のまま出版されている。
(森田正馬癒しの人生 岸見勇美 春萌社 155ページ)

その時代とは違い現代は、何をしようが、何を考えようが自由である。
ところが自分が何をしたいのか分からない。どう生きていったらよいのか分からない。
何を感じているのかわからないという人が多いという。
あまりにも自由で選択肢が多いと、自由を持て余すのだろうか。
私は社会の間違った価値観にどっぷりと漬かり、自分たちの本来の生き方を考えもしなくなった状態の中に問題があると思う。

私たちは小さいころから会社に役に立つ人材に育てられ、競争に勝つことを求められた。
サービス残業、休日出勤はあたりまえ。
法律で決められている有給休暇も容易に取得することができない。
子どもなど家族との触れ合いなどは後回しにしてきた。

体調を崩しうつ病などを発症する人も増えてきた。
毎日、生活費を稼ぐために、新幹線や高速道路で移動しているかのようなあわただしい生活である。
そういう生活が当たり前になり、生きる意味などは考えもしなくなった。
便利で、快適で、物質的な豊かさの追求のみが人間の幸せだと言わんばかりの風潮である。
社会に押し付けられた「かくあるべし」に従って、社会から見捨てられないように耐えて我慢することしか考えなくなってきた。

こんな人生で一生を終っていいのだろうか。人間は苦しむために生れてくるのだろうか。
人間は楽しむために生れて来たのだという人がいるが、そんな状態には程遠い。
なんともやりきれない時代である。





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Last updated  2016.06.20 06:57:54
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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