森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.12.17
XML
不安や不快な感情に反発しないで受け入れていくにはどうすればよいのか。
そのヒントを考えてみました。

感情が湧き起ってくるというのは自然現象だといいます。
自然現象と言うのは感情の発生だけではありません。
雨が降る。雪が降る。暴風雨になる。大雪になる。雷が落ちる。台風が来る。土砂災害が起きる。台風が来る。地震が発生する。火山が爆発する。火砕流が起きる。隕石が落ちてくる。
これらも感情と同じ自然現象です。

この中で台風が来た時はどうしているか。
気象衛星ひまわりが刻々とその進路と強弱を監視して情報を流してくれています。
地上ではその位置と大きさが瞬時に分かります。

上陸が予想される県では、県の防災組織が立ちあがります。
上陸が予想される現場にはテレビ中継車が出て、海の荒れ具合、被害状況、風雨の状況を逐一教えてくれます。
その時、海上保安庁や自衛隊が出動して台風の勢いを止めたり、弱めたり、進路を変更したりしたりしているという話は聞いたことがありません。
そんなことはできないし、むだなことだとよく知っているからです。

一方私たちは不安や不快な感情の発生の際にはそのような対応をとっているでしょうか。
なんとかして取り除こうとしているのではないでしょうか。
感情の自然に対しても服従するにはどうしたらよいのでしょうか。

ここで私が特に注目しているのは、テレビアナウンサーの現場からの中継です。
たとえばこんな中継をしています。
「現在私は台風の上陸が予想される鹿児島県枕崎市に来ております。中心付近の気圧は925ヘクトパスカル。今世紀最大クラスの台風がまもなく上陸します。
現場では午後から風雨が強まり暴風雨となっております。

ちょうど満潮と重なり、海岸では堤防を乗り越えて大きな波が国道にまで達しております。
現在国道は通行止めとなっています。街路樹や家が倒壊し、信号機が大きく揺れています。
道路には飛んで来た看板などが散乱しております。
付近の住宅では板塀が打ちつけられて台風に備えております。
また海岸近くの住民は避難所に退避しておられます。


これを応用して自分に湧き起ってきた不安や不快な感情を実況中継してみるのだ。
コツは出来事と感情の事実を具体的に生々しく伝えることです。
それ以上の説明は必要ありません。
たとえば、「現在夜の10時です。中学生の娘がまだ帰宅していません。
連絡もないので大変心配です。携帯は持たせているのですがどうしたのでしょうか。
最近はたびたび殺傷事件がテレビで放映されています。
まさかうちの子がとは思いますがいても立っても居られません。心配で気が動転しています。
警察に届けたほうがいいのでしょうか。あっ、たった今娘が帰ってきました。
娘は何事もなかったかのような顔をしています。それを見て急に腹が立ってきました。
何があったのか。どうして電話して来なかったのか。娘を叱りつけてやりたくなってきました。
憤懣やるかたない感情が湧き起っています。以上現場からの中継でした」

別の例です。「ただ今会社をでて飛び込み営業に向かっております。
いま見込み客の玄関前に到着しました。鏡を見て笑顔の準備体操をしております。
深呼吸も2回3回と繰り返しております。
また断られるのではないかという予期不安でいっぱいになっております。
思い切って訪問しようか。でもどうせ断られるだろうから訪問は取りやめようかせめぎ合いが続いております。
取りやめる方がよいという気持ちがやや優勢となっております。
訪問までにはいましばらく時間がかかりそうです。私は今混乱しております。以上現場からの報告でした」

このポイントは湧き起ってきた不安や不快な感情を口に出してみるということです。
観念的にやりくりをするのではなく、いったん自分の外に吐き出してしまうのです。
相手がいなくてもかまいません。
独り言でもよいので客観的な第三者の眼で湧き思ってきた感情を詳細に説明していくのです。
その際その感情には言いも悪いもありませんから是非善悪の価値判断はしてはいけません。
あくまでも湧きあがってきた感情をそのまま詳しく述べていくことが肝心です。
よく森田理論学習では湧き起ってきた感情はそのまま受け入れる、よく味わってみることが大切だと言われます。
ではどうしたらイヤな感情を受け入れて、味わうことができるのかと言うことが問題になります。その解決方法の一つとしてこの方法があるのです。
聞いてくれる人がいれば、「私は今こんな気持になっているの」と話してみてもよいでしょう。

この方法はもう一つ書くという手もあります。
日記を書いている人でしたら、ある出来事に対してどんな気持ちが湧き起ってきたのか書いていくのです。肝心なことはその状況を具体的に詳細に書いていくということです。
その感情に基づいてどうしよう、こうしようというのは別なことです。
まずは第3者になりきって自分に湧き起ってきた感情の事実を吐き出していくということです。

ここまで来ましたら、それをすっぱり横に置いて、次のステップに進みましょう。
次はその感情に基づいてどんな行動を選択してゆくのかということです。
これについてはまた明日投稿します。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2016.12.17 06:56:49
コメント(0) | コメントを書く
[不安の特徴と役割、欲望と不安の関係] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

寒い時期の脳卒中、… New! 楽天星no1さん

長谷寺~室生龍穴神… へこきもとさん

心食動操 メルトスライム25さん
神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: