森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.07.31
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カテゴリ: 神経質の性格特徴

森田先生は「神経質」という月刊誌を刊行されていた。
昭和5年から昭和16年まで続いた。
森田先生は昭和13年に亡くなられているので、その後は「森田正馬伝」を書かれた野村章恒先生が編集委員として継続されていた。

しかし、この雑誌には「神経質」という名前が付けられていたため、読者の中には、この言葉に引っかかる人が少なからずいたようである。
名前を変えてもらわないと、恥ずかしくて人前で広げることができない。
私も今でこそ神経質性格は宝の山であると思っているが、神経症で苦しんでいたときは、 「神経質」な人だと言われると、そんなことはないといつも反発をしていた。

その当時勤めていた会社で、典型的な神経質性格を持った営業マンがいた。
その営業マンは神経質性格をプラスに活して、 500名ぐらいいる営業マンの中でいつも10本の指に入る素晴らしい営業成績を叩き出していた。
彼の営業スタイルは、得意先から依頼された事項を、細かくメモ帳にメモして、会社に帰ってくるとその依頼事項を丁寧に片付けるというやり方だった。彼は得意先から依頼されたことをそのままにするだけではなく、常にプラスαを付け加えて処理するという主義であった。
風貌は標準以下で、言葉遣いもどちらかと言えば乱暴であったが、得意先からの信頼感は絶大であった。彼に依頼しておけば、それ以上のプラスαを加えてお返ししてくれるのでありがたい。

そうこうしているうちに、彼の営業エリアには、同業他社の営業マンは寄り付かなくなった。
注文が彼のところにばかり流れるので、ほとんど商売にならないのだ。
会社では彼のことは一目置かれていて、ボーナスも多く、海外研修旅行も世界各地に出かけていた。

そんなトップセールスマンであった彼が最も嫌っていたのが、 「お前は神経質な奴だ」と言われることだった。
誰が見ても細かいことを気にしてすぐに大きな問題に発展させてしまう彼を見ていると、まさしく神経質性格そのものだと思う人が多かったが、彼は、自分は神経質ではないと言い張っていた。
彼にとっては、神経質な人は根暗で暗い。自分の殻に閉じ籠って、いつもうじうじしている。
自分の思っていることの10に1つも言えないしできない人だ。
いつも悲観的でネガティブなことばかり言う。
先入観が強く、いつも悲観的な決め付けをしている。
そんな人と付き合いたいと思う人がいるか。
彼にはそんな人間には絶対になりたくないという強い意志が感じられた。

さて、私が業務の仕事をしていた頃、女子社員の採用の仕事も任されていたことがある。
その時に本社からの指示では、必ずYG性格テストをするようにということだった。
そのテストには、神経質な人、明るく外交的な人、物事に積極的に取り組む人など、ある程度の判定ができるようになってきた。
本社人事部からは、とにかく神経質な人と診断される人は、最初から除外するようにと言われていた。
明るくハキハキとして、電話応対が上手で外交的な人。人間関係にトラブルを起こさないような人。意欲ややる気が満ち溢れてるような人。
仕事に対する能力を持ち合わせているような人を選ぶように言われていた。

私は森田理論学習を続けており、神経質性格は類まれなる素晴らしい性格であると認識していた。
しかし、世間一般的には神経質な人は付き合いにくい人、自己中心的で融通のきかない人とみなされていた。
今でも神経質という言葉を嫌い、そういう性格を明るく外交的な性格に変えようと思っている人がいるかもしれない。

私は森田理論によって、もともと持っている神経質性格は変えることはできないと学んだ。
変えられないことにエネルギーを使うよりも、自分の神経質性格を改めて見直すことが必要だと思う。
神経質性格が良くないと言うのは、あまりにも一面的な見方であると思う。
よくないと思う面はそのままにして、神経質性格ののプラス面の評価を重点的にして、プラス面とマイナス面のバランスのとれた考え方をすることが必要であると思う。

細かいことが気になるというのは感受性が非常に豊かであるということである。
文学や音楽や絵画を存分に鑑賞出来るのはこの性格のおかげである。
私はクラシック音楽が好きで、交響楽団の友の会にも入っていたし、年末のベートーベンの第九の演奏会にも数回参加した。友人たちにも勧めてみたが、わけのわからないドイツ語をピーチクパーチクと歌って何が面白いのか、と言われた。
その手の演奏会に行ってよく思うことだか、時々集談会の仲間に会うことがある。
それは同じ神経質性格者として、芸術鑑賞能力がもともと豊かに備わっているということではないかと感じている。

私はプロ野球が好きで、よくテレビで鑑賞する。その中でどの解説者の解説が最も適切であるのか、という視点で見ている。すると、バッターの心理状態を細かく分析してくれる解説者がいる。
また、ピッチャーの攻め方について的確な指摘をする解説者がいる。
そういう人は分析力の能力のある人だということが分かった。
人を納得させる分析は、神経質性格でないとなかなかできない。
だいたいプロ野球の世界で活躍した人は、大味な人が多い。そういう人の話は、おもしろくない。
そういう時はテレビの音声を切って、ラジオの解説を聞いたほうが良いことがある。

私が注目している解説者で、広島の前監督の野村謙二郎氏がいる。この人の解説は面白い。
それ以外の人の解説は、知識は増えるかもしれないが、あってもなくてもいいような解説ばかりである。
これ以外にも、まだ慣れてはいないが、日米で200勝を達成した黒田博樹氏も素晴らしい解説をする。
以前の解説者では楽天の監督だった野村さんや元中日の監督の落合さんや巨人の元ピッチャーの江川卓さんの解説が好きだった。江川さんは神経質性格であると聞いたことがある。
この人たちに共通しているのは、豪放磊落と言うよりも緻密な理論家といったほうが適切である。
人をうならせる解説をする人は、細かいことによく気がつき、大いに気になるという神経質性格を持ち合わせていないとできないことである。
そういう人の話には味があり、面白い。共感するところが多く、とっても役に立つ。






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Last updated  2017.07.31 06:30:04
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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