森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.01.13
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森田先生が形外会である患者に次のように質問された。
先生から「神経症が少しは良くなったか」と聞かれたとき、君ならどう返答するか。
ある患者は次のように答えた。
実際には、まだ良くなっていなくても、それをそのまま口にすることは憚られる。
だから、 「おかげさまでだいぶ良くなりました」と答える。
これに応えて森田先生曰く。
それで上等だ。先生に対しても、 「治りません」とは言いにくいから、つい会釈笑いをしながら「だいぶ良くなりました」という。
それでよい。その人情の自然から出発すれば、万事がスラスラと流れるようになる。
先生に対して、 「ちっとも良くならない」と言い放つ患者は、自分もいつまでもその不快の症状にとらわれて、その執着から離れることができず、医者からも愛想つかされるようになる。

(森田正馬全集第5巻 766ページより要旨引用)

ここで間違いやすいのは、自分が理想としている神経症の完治から現状を見てみると、まだまだ不十分のような気がする。
100%神経症が完治したとは思えない。その事実を事実のままに発言することが正しいように感じる。
ましてや森田理論では事実本位の生活態度を身につけることが重要であると言っている。
このケースでは、 「少しは改善できているかもしれませんが、まだ全然だめです」というのが、事実に正直に対応することになるのではないか。

森田先生は、そういう発言は屁理屈であると言われている。事実唯真、事実本位を盾にして、 「事実に正直であるべきだ」という「かくあるべし」 にとらわれている態度だ。
こういう時は、「純な心」から出発することが大事である。
ここでの「純な心」はどんなものであろうか。
森田先生に好かれたい。自分勝手なことを言って嫌われたら困る。これからも森田先生にすがって神経症を治したい。だから、自分の都合ばかり主張することはできない。
とっさにこのようなことが頭の中を駆けめぐるのではないだろうか。
この気持ちから出発すると、頭をかきながら、バツが悪そうにしながら、本心とは違う発言をするようになる。自分の最初に浮かんだ感情、気持ちから出発すると、万事うまく収まるのである。

それは、人情から出発していないから問題が大きくなっているのである。





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Last updated  2019.01.13 06:30:07
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

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