森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.01.02
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日本の女子マラソンの監督に小出義雄さんという方がおられました。
指導した選手の中に有森裕子選手がいました。
オリンピックの2大会でメダルを獲得した選手です。
有森さんは5000mの標準タイムは16分台だった。
一流選手は15分前後で走るので、一流と呼ぶには程遠い。
それでもオリンピックでメダルを獲得できたのは、負けん気の強さだったといわれている。
その気持ちの強さはちょっと信じられないほどだったという。
この一見長所に見える負けん気の強さは、こだわりの強さ、頑固さと紙一重である。
神経症の原因にもなるものです。性格には両面性があるのです。


有森選手は、レース本番にはソックスを履かずにシューズを履こうとしていた。
小出監督は、これに対して反対した。
素足にシューズでレースをしたら、絶対に靴擦れを起こす。痛くて走れなくなる。
靴下は履いた方がよいと何回も説得したが、彼女は頑固だから、自分がそうと決めたら絶対に聞かない。小出監督は、いかにして有森選手を説得するかに腐心した。

そこで採った作戦は、実際のコースを靴下なしで試走させることだった。
ところが1回目は完走しても靴擦れは全く起こらなかった。
小出監督が思ったような結果が出なかった。
有森選手の考えを変えることはできなかった。
そこでもう1回だけといって試走させた。
2回目の時は、靴擦れが起きたそうです。
「監督、痛くて走れません」ということになりやっと納得してくれたという。


小出監督は自分の考えを無理やり押し付けるようなことはされていない。
有森選手の考え方を頭ごなしに否定するという方法も採られていない。
つまり「かくあるべし」を押し付けるという方法はとられていなということです。
もとより意思の強い性格の有森選手をそんな方法で説得できるとも思われない。
そんな事をすれば監督の指導に反旗を翻して、仲たがいになることも十分に考えられる。


森田先生は、事実を確認しないで、先入観で決めつけるという態度を避けようとされている。
疑問があれば、現地に出向いて真偽のほどを確かめる。
実験をして事実を確かめるという姿勢で貫かれている。
事実確認できたことだけを信頼する。
それをよりどころとして行動する。対策を立てることを心掛けておられる。
頭の中で思いついたことを、事実として早合点することはなかったのである。

観念優先の行動は、常に事実によって裏切られることが多くなるということを指導項目に掲げられていたのである。事実唯真というのは、森田理論の中でも核心部分となっている。
逆に言えば、考え方や出来事を、事実に基づかないで、観念の世界で判断することで神経症は生み出されているということなのです。これが理解できて、生活面に応用できるようになると、生き方が変わってきます。





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Last updated  2021.01.02 06:40:55
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
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