森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.11.20
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2025年9月号の発見誌に次のような記事がありました。
森田先生の原著を読んでいるとき、掲載される箇所によって森田先生の言っていることが違う感じがして読む気がしない。
具体的には次のようなケースです。

とらわれたときはとらわれになりきればよいのです。
悲しみは悲しいまま、苦しみは苦しみのままであるよりはほかに仕方がないように、とらわれはとらわれるより仕方がありません。
(自覚と悟りへの道 白揚社 74ページ)

別のところでは次のように話しされている。

とらわれがなくなれば、神経症は全治する。
とらわれから離れれば非常に便利で、生活が自由自在になります。


これは不安などに「とらわれる」と神経症になるので、普段から「とらわれない」ように心がけて生活することが大事になりますというふうにとらえられます。

森田先生の話は他にも矛盾しているのではないかと思われる箇所があります。
しかしよく考えてみるとどちらも真理を突いておられます。

「とらわれ」については次のように理解すると問題は発生しません。
まず「とらわれ」ないようにするということですが、「とらわれない」というわけにはいきません。
ただし、いつまでも不安や恐怖に注意や意識を向けていると目の前の肝心なことがおろそかになります。
日常茶飯事に手を付けないと生活の悪循環が始まります。
気になるものを一つ一つ解決した後で、次の不安案件に進むということは実用的ではありません。
すぐに解決できる不安案件は、すぐに処理することがよいことは誰でもわかります。
しかし実際には時間のかかるもの、自分一人ではどうすることもできないものもたくさんあります。
それらはやむなく抱えたままで、とりあえず当面の「なすべき」課題に取り組むことが賢明です。


つぎに「とらわれになりきる」ということですが、不安や恐怖を感じる場面は生活の中で次々と生まれてきます。
苦痛を感じる場面から逃れたいと思うのは当然ですが、まず不安や恐怖にきちんと向き合うことが大事になります。
「幽霊の正体見たり枯尾花」という句がありますが、夜道で慌てふためくと転倒して大怪我をしかねません。まずは事実にきちんと向き合うことが肝心です。
事実を事実として認めて受け入れることが大事になります。
その事実が良いとか悪いとか、正しいとか間違といった価値判断は不要です。

これは車の運転をする人は誰でも無意識にやっていることです。
交差点で右折する時は、信号、対向車、横断する人や自転車などの動向を慎重に確認しています。
つまり注意や意識はどんどん移り変わっているのです。

「とらわれになりきる」というのは、不安や恐怖と一つになって、不安の時は不安のままでやり過ごすということです。
不安と格闘するとその不安はいつまでも頭の中に居すわり、昼夜強迫観念となって我が身を苦しめることになります。





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Last updated  2025.11.20 06:20:08
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分からない歴20年子@ Re[2]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田生涯さんへ  お返事ありがとうござ…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 分からない歴20年です子さんへ コメント…
分からない歴20年です子@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田を知って随分経つのに今だに難しく感…
森田生涯 @ Re[1]:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 長谷川勤さんへ 読んでいただいてありが…
長谷川勤@ Re:成功するためには感謝力が必要となる(04/09) 森田理論学習のすすめ のブログ 本日初…

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