今が生死

今が生死

2008.05.08
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カテゴリ: 旅行
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東北旅行で、岩手県花巻市の宮沢賢治記念館に行ってきた。賢治は多くの論説や詩、童話などを発表しているが何れも難解で、初期の作品を自費出版したが世間からは殆ど注目されなかった。唯一「雨ニモマケズ」は分かり易く、この作品を通じて宮沢賢治を知った人が多いと思う。

昭和6年、東北砕石工場の嘱託をしていた35歳の賢治は壁材セールスで上京したが、病に倒れて(肺炎と書いてあるが結核だったのではないかと思う)花巻の実家に戻って闘病中に持っていた黒い手帳に書かれていたのがこの雨ニモマケズである。11月3日の日付がある。

賢治はその2年後に肺炎(結核と思われる)で亡くなっている。手帳は死後家族が遺品整理をしていた中から見出され、今では日本中知らない人はいない位有名で、外国でも翻訳されて多くの人に読まれている。

賢治の思想の奥底には「一人でもこの世に不幸な人がいるなら自分は幸せではない」があり、多くの作品はそのことを述べているが、何しろ盛岡高等農林(今の岩手大学農学部)に主席で入学したくらいの秀才で学がありすぎて一般の人には理解しずらい。

ところが何気なく手帳に書いて、世間に発表するつもりもなかったこの詩は気取りや飾りがなく、分かり易い文章である。賢治はいつも難しいことばかり書いていたが、本音はこの雨ニモマケズにあり、この詩が賢治の全てであり、この詩の中に賢治の魂が込められていると考えてよいと思う。

最後は「ソウイウ人ニ私ハナリタイ」で結ばれているが、常に人間性の向上を目指し、努力していた賢治の姿が浮かんでくる。岩手山と賢治、これは花巻いや岩手県の心の故郷だと思う。





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Last updated  2008.05.08 21:04:14
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