今が生死

今が生死

2020.07.07
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テーマ: 自然治癒力!(7)
カテゴリ: 生き方
今度新しく就職した病院医局の本棚に「鬼手仏心」と言う本があったので手に取って読んでみた。日本では勿論世界でも極めて高く評価されて最高の外科医の称号を頂いた中山恒明先生の弟子が中山先生の業績や指導をまとめて外科医の教本として書かれた本であった。中山先生は千葉大第2外科教授をへて東京女子医大消化器病センター長を務められた方で、食道がんや胃がんの先駆的手術法を生み出し手術による死亡率を著明に減らし手術症例数も極めて多く神の手と言われた方である。手術が上手で多くの人の命を救ってきた最高の外科医で我々とは違う神のような人と思っていたらその本の最初に中山先生の言葉が載っていた。「医師が人の命を救ったということはない。人の自然治癒力が治すのであって我々はそのお手伝いをするだけである」とのことば、内科医が言うならありえる言葉だが一流中の一流の外科医の言葉だったので驚いた。それは中山先生の信念であり、全ての手術で自然治癒力が働きやすいように考えて手術してきたとのことである。内科医では自分が患者の命を救ったなどと恐れ多いことを言う医者は少ないが、外科医は「放っておけば癌が進んで死ぬところを自分の最高の技術で手術したから助かったのだよ」と言うのかと思ったら全く違っていた。自分が編み出した手術法で手術時間がぐっと短縮され術後経過もよかったが数年経った段階でその手術を受けた人は逆流性食道炎が多いとのデーターを知ると苦労して編み出したその手術法を封印し、逆流性食道炎の人には再手術をして治してやったとのことである。自然治癒力を引き出すために手術したのに術後に合併症や副作用が起きるようなら人体に悪い影響を与えたことになる。そこから再度人体に最も良い手術法を考え始めたとのことである。人のために生きるのが使命と考えていた中山先生はたまたま医師という職業を与えられたので病気で苦しんでいる人のお役に立ちたいという思いで一生を終えられたとのことだ。若い医師達に技術と医療の本質を身をもって教えた中山先生の弟子は多い。中山先生のお心を受け継いで多くの優秀な医者が育っていくことを願っている。





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Last updated  2020.07.09 20:57:27
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