今が生死

今が生死

2022.01.31
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テーマ: 訪問介護(146)
カテゴリ: 悲しかったこと
先月は大阪で、今月は埼玉で我々医師仲間からみても最高レベルの先生二人が患者又はその家族に殺されてしまった。そんな不条理があっていいのかと思った。二人とも患者さんに寄り添い本当に親身の診療をしていた。
埼玉の先生は365日24時間休みなしの対応で患者さんに尽くしていた。ある人は親身すぎたことがこの悲劇に繋がったのではないかと論評していたがそうかもしれない。「俺は医者だ、お前は患者だ」と垣根を作っておけば簡単に医者側に土足で入ってこれなかったかも知れない。二人の医師にはそれが出来なくて患者も医師も同じ、同じ仲間だとの認識だったので彼らの自殺の道連れにされてしまったのかも知れない。
ところで訪問診療については近年高齢化が進み国の方針もあって、自宅で最期を迎えたいという人の希望を叶えてやる形で、在宅診療専門の医療機関が出現してきた。
訪問診療では日常の食事摂取状況や経管栄養、心臓、血圧管理、大小便の管理、点滴の管理などが主な日常業務だと思うが最後の重大な業務に死亡認定がある。
最期を迎えるまでの間、家族に見守られながら楽しく安らかに暮らして頂くのが主な目的だが、今度のケースでは息子さん(犯人)は92才の母親を何が何でも生かせと医師に請願していた。人の命は永遠ではない。寿命があり、いつかは尽きるものである。自宅で一緒に住みながら介護したい気持ちは尊いが必要な場合には入院しなければならないこともある。死期が近づいた人には苦痛を与える救命処置で苦しめるより静かに見守ってやった方がよいという常識もある。今度の場合それが通じない相手だったことも悲劇だった。母親が死亡してしまうと母親の年金が途絶してしまって生活に困るという問題もあったかもしれないが、市に相談すれば生活保護の道もあったと思う。独りよがりで自分勝手で暴力的な患者家族とかかわりあわなければならなかった先生のご冥福を心よりお祈り申し上げる。





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Last updated  2022.01.31 13:30:20
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