今が生死

今が生死

2025.07.22
XML
カテゴリ: 健康



庭で咲いている姫ヒオウギスイセン

ドクターズマガジン7月号のドクターの肖像で久里浜医療センター名誉院長の樋口進さんの紹介記事を読んだ。1954年生まれで70歳、山梨県鰍沢町の農家に生まれた。2歳の頃小児マヒ(ポリオ)にかかり、右手に麻痺が残り、父親は農業ではなく頭を使う職業に就けるように願っていた。学力優秀で甲府南高校に進学して医学を志し、東北大学、慶応大学、自治医科大学いずれのも合格したが東北大学に入学して医師になり精神科を専攻して、日本でアルコール依存症が治せる第一人者になった。樋口先生以前はアル中患者は入院させてカギをかけて酒を断たたせるが退院するとまた飲み始めるので治らない病気と思われていた。家庭内暴力の大半はアル中によるもので社会を生きづらく、暗く苦しいものにしている最大要因であった。樋口先生の先輩堀内秀先生は閉鎖病棟は廃止して逃げたければご自由にと解放病棟にすることを宣言した。医師と共に集団で浜辺や山を歩き、助け合い、励ましあうことで仲間意識を醸成して外泊も認めていつでも逃げ出せる状況にしたが逃亡者はゼロだった。樋口先生は堀内先生の方法を踏襲しながらさらに「家族や社会に迷惑をかけている酒をやめたい、でも飲みたい」という葛藤に目をつけた。5人前後のグループで8回のセッションを行い、自分の葛藤を解決しながら治りたい思いを引き出して行動変容につなげていった。それでも退院1年後の断酒率は35%で65%は再飲酒に入っていたが、それまでの成績は殆ど100%近くが再飲酒に走っていたので35%断酒したことは凄いことで、それまでは「依存症は治りません」と言われていたのを樋口先生は「依存症は回復できる病気です」を信念にして薬や心理療法なども導入して治療に当たっているが、患者のモチベーションを高める秘訣は褒めることだという。患者が酒を減らそうという気持ちを示したら褒める。つい飲んでしまったと白状しても褒める。しかし家族は医師に叱って欲しいと願い、本人の目の届かないところにと酒を隠す。これでは家族に対する敵愾心が生まれ、暴力沙汰の発端になるかもしれない。家族を家族会に参加させ家族も治療協力者に変えていくことも行ってきた。アル中患者のためにあらゆる努力をしてきた樋口先生を心より尊敬し称えたいと思った。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025.07.23 23:00:01
コメント(8) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: