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2025年05月08日

名探偵と陰陽師第３話

テーマ：二次創作小説(1163)

カテゴリ：相棒×コナン×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:名探偵と陰陽師

装丁カフェからお借りしました。

「相棒」「名探偵コナン」「火宵の月」の二次創作小説です。

作者様・出版社様・出演者様とは一切関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

「それよりも土御門さん・・」
「呼び辛いと思うので、名前で呼んでくださっても構いませんよ。」
「有匡さん、退院された後はどうなさるおつもりですか？」
「そうですね。益岡さんが亡くなってしまって、身元引受人が居なくなってしまい、困っています。」
「では、神戸君の所で世話になっては如何です？」
「えっ」

「ちょっと杉下さん、勝手に決めないで下さいよ！」
「君、独り暮らしだからいいでしょう？」
「えぇ・・」
こうして、ひょんな事から、尊は有匡と暮らす事になった。
（まったく、杉下さんはいつも勝手なんだから！）
「神戸君、君運転がいつもより荒いですね？」
「そうですかぁ？」
あなたの所為ですよ、と、内心尊はそう右京に毒づきながら、黒のGT-Rを運転していたが、突然前に割り込んできた白のRX-7に対して舌打ちした。
「も～、今日は最悪な気分でしたよ。杉下さんって、いつも勝手に僕の相談なく決めて！ちょっと大河内さん、聞いていますか！？」
「あ、あぁ・・」
銀座の、いつものバーで、尊の愚痴を春樹は聞いていた。

「男ですよ。」
「そうか。」
「彼の奥さんが行方不明になって、僕は暫く彼の奥さんが見つかるまで、彼と暮らす事になりました。」
「そ、そうか・・」
「あ、大河内さん、今、“既婚者か、良かった”と思ったでしょ？」

「もういいです、帰ります！」
尊はコートと鞄を掴むと、そのままバーから出て行った。
愛車をマンションの駐車場に停め、彼がそのままエレベーターで自分の部屋へと向かうと、ドアが何故か開いていた。
（え？）
尊が中に入ると、キッチンには何故か割烹着姿で食事を作っている有匡の姿があった。
「お帰りなさい。味噌汁、作りました。」
「え・・有匡さん、どうしてここに？」
「右京さんに、こちらの住所を教えて貰いました。鍵は管理人さんにお願いして開けて貰いました。」
「そうですか。」
「今日からお世話になります。」
「こちらこそ・・」
こうして、尊と有匡の奇妙な同居生活が始まった。
「おはようございます。」
「神戸君、おはようございます。今日は早いですね。」
「有匡さんが起こしてくれたんです。お弁当まで作ってくれました。なんでも、お世話になるのだから僕に色々としたいと。」
「おやおや、まるで有匡さんはあなたのお母様のようですね。」
「そうでしょうか。」
昼休み、尊が自席で有匡が作った弁当を開けると、そこにはナポリタンとオムライスが入っていた。
「うわぁ、美味そうだね！これ作ったの、彼女？」
「いいえ、同居人です。」
「なぁんだ。それよりもさぁ、さっき捜査一課の高木って奴が、あんたの事を捜していたぜ？」
「高木さんが？」
尊が弁当を食べ終え、高木刑事の元へと向かうと、彼は大きく尊に手を振っていた。
「よかったぁ～、やっと会えましたね！」
「あ・・うん・・」
「神戸さん、静かな所で話がしたいんですが、いいですか？」
「うん、いいけど・・」
やたらと自分との距離感を詰めて来る高木刑事に対して尊は少し警戒しながら、警視庁の近くにあるカフェへと彼と共に向かった。
「あの、僕に聞きたい事って、何かな？」
「神戸さんは、今の部署に異動する前は、公安に居たんですよね？」
「うん、それがどうしたの？」
「じゃぁ・・安室さん・・降谷さんの事は知っていますよね！？」
「うん、まぁね・・」
コーヒーを飲みながら、尊は高木が何故そんな事を聞くのだろうと思った。
「あの・・噂なんですけれど、降谷さんは、昔ハニトラしていたって本当ですか？」
尊は高木の言葉を聞いて思わずコーヒーを噴き出しそうになったが、必死に堪えた。
「何で、そんな話になってるの？」
「え・・いや・・だって、公安は美人揃いだから・・」
「美人って・・」
これ以上、高木の話に付き合っていられない―尊がそんな事を思いながらコーヒーを飲んでいると、彼のスマホが鳴った。
（誰だろう、こんな時間に・・）
尊がスマホの画面を見ると、そこには恋人の名が表示されていた。
「出ないんですか？」
「ごめん、ちょっと偉い人からの呼び出し。じゃぁ、またね。」
尊は足早に自分のコーヒー代だけ払うと、カフェから出て行った。
「失礼します、神戸です。」
「わざわざ呼び出して済まないな。」
警視庁に戻った尊が11階の首席監察官室に入ると、そこには彼の恋人と、何故か有匡の姿があった。
「え、どうして有匡さんがここに？」
「先程、お前の所に世話になると彼が挨拶に来てな。」
「お邪魔します。」
「どうして、大河内さんの所に？」
「誤解されないように、こうして挨拶に来ました。」
有匡はそう言うと、春樹に向かって頭を下げた。
「さっき、捜査一課の高木とカフェで何の話をしていた？」
「別に何も。」
高木からハニトラの事を聞かされたなんて春樹には言える筈もなく、尊はそう言葉を濁してその話を終わらせようとしたが、春樹は納得していないようだった。
「では、わたしはこれで。」
有匡は春樹に一礼すると、首席監察室から出て行った。
その日“警視庁に和風美人が現れた”という噂を聞きつけた陣川に一日中つきまとわれ、尊は彼から逃げるように帰宅し、夢も見ずにそのままベッドに大の字になって朝まで眠った。
そんな彼を目覚めさせたのは、小鳥の優しいさえずりではなく、やかましいチャイムの音だった。
『ソン君、おはよう！お～い、ソン君！』
（何だよ、朝っぱらからうるさいなぁ・・）
尊が素肌の上にバスローブを羽織り、苛々しながら部屋のオートロックを解除した。
「陣川さん、朝っぱらから何の用なんですか？」
「ソン君、昨日警視庁に現れた和風美人、君と同棲しているんだってね、一目でいいから彼女に会わせてくれ！」
「彼女なら、昨日荷物をまとめて出て行きました。」
「え～！？」
陣川はしつこく尊に、“和風美人と会わせろ”と迫り、その日尊は一日中苛々しながら仕事をしていた。
「神戸君、その様子だと陣川君に朝から振り回されましたね？」
「何で、そんな事を知っているんですか？」
「君の今日の様子を見れば、すぐにわかるんですよ。今夜花の里に行きませんか？」
「はい、いいですけど・・」
その日の夜、尊が右京と共に花の里へと向かうと、そこには幸子と共に働く有匡の姿があった。
「いらっしゃいませ。」
「え、どうして有匡さんがここに？」
「わたしが頼んだんです、お店を手伝って欲しいって。有匡さん、料理がとてもうまいんですよ。」
「いえ、そんな・・」
カウンターで幸子と有匡がそんな事を話していると、花の里に陣川がやって来た。
「ソン君！」
「陣川さん、どうしてここに？」
「杉下さんが僕にあの“和風美人”とここで会えると教えてくれたんだよ！」
陣川はそう言った後、有匡をキラキラとした目で見た。
「はじめまして、陣川公平です！」
「どうも・・」
「いやぁ、こんなにお着物が似合う方は初めて見ました！」
「まぁ陣川さん、それはわたしに対する嫌味ですか？」
「いえ、そんな事は・・」
「あの、名前を教えてください・・」
「土御門有匡です。」
「え、男！？」
陣川は有匡の名前を聞いた途端、ビールが入ったグラスを持ったまま固まってしまった。
「すいません・・」
「あの、ご結婚は？」
「妻と双子の娘と息子が居ります。」
「そうなんですか・・女将さん、ビールお代わり！」
「もう、飲み過ぎですよ！」
結局、陣川は泥酔し、尊が彼の自宅まで送る羽目になった。
「あの人、いつもあぁなんですか？」
「えぇ。女性絡みの事件に、彼はよく巻き込まれるんです。」
「そうなのですか・・」
尊は、“和風美人”こと有匡との恋に破れた陣川をどうにかなだめすかしながら布団に寝かせた後、愛車で帰宅した。
「お帰りなさい、神戸さん。」
「有匡さん、ごめんね。あの人は、いつもあぁだから・・」
「わたしは、大丈夫です。お休みなさい、神戸さん。」
「お休みなさい、有匡さん。」

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