今日も他人事

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2021年08月15日
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カテゴリ: ガンダム
ちらほらネットの噂を拾ってると今回の劇場版「閃ハサ」からガンダムシリーズを見始めてる、という人もいらっしゃるようで。

私も初代から見始めた訳じゃなくて、子供の頃に最初にSDガンダムとVガンダムを見て、そこからG、Wと見てからZに流れた人間ですし、なんだったら初代ちゃんと見たのは十五年前に上京してからですしねぇ。十代の頃はお金があまりなくて、レンタルビデオ借りるのも結構大変だったんですよねぇ……。

そんなわけで、シリーズで言えば途中の作品にあたる「閃ハサ」から触れていくのでも全然良いと思うんですよね。

ただ、人間関係とか、下地になっている世界観、組織を理解する意味で見ておいた方が奥深く楽しめるかな、と思われますので、私なりにオススメというのをまとめてみました。

1.劇場版「機動戦士ガンダム」三部作



ハサウェイの人生に影響を与えている三人の大人(アムロ、シャア、ブライト)の若い頃のお話。

79年の作品なので人によっては映像にとっつきにくさを覚える方もいるかもしれませんが、実際はこの劇場版って綺麗なシーンしかないですし、お話も映画三本でまとまっているので、アムロとシャアの出会いと宿命であったり、若いブライトさんがどんな苦労をしていたかとか、オタク的な少年だったアムロがエースパイロットとして生き抜く姿とか、シャアが革命家だった父の仇を打つために暗躍する復讐劇とか、様々な人間ドラマを眺める事が出来ます。

なにより、ハサウェイの親世代の人達は地球全土を舞台にした大戦争の渦中を生き抜いてきた人達、という事実をちゃんと抑えていた方がよいかなと。なにしろ、この戦争で人類の50%が死に絶えてますからね。第一話が始まる時点で。



これほどの人口が失われた大規模戦争って、宇宙世紀ではそれ以降、描かれてないんですよね。実は最もスケールの大きいお話。

「閃ハサ」の社会っていうのは単に貧富の差が激しい、社会上層部が問題を抱えている近未来社会というだけではなくて、宇宙市民(ジオン公国)の地球からの独立の名の元に、人類の半数が同じ人間によって殺された社会の戦後だということを頭に入れておくとよいかな、と思います。










個人的には「閃ハサ」のストーリーを考えるなら、「Z」に関してはTV版の方が良いのかな、と思ったりも。

私の個人的な解釈ですが、TV版は「両親の不仲や自分の名前にコンプレックスを抱いている少年カミーユが激情に駆られて反政府運動に身を投じていって、過去の英雄であるシャアやアムロ、ブライト達と交流を重ねていくものの、戦いの中で大事な人を次々と失っていき、結果的に精神が壊れていく物語」だと思ってます。

一方、劇場版も大体は同じですが、大事な人を失う機会が少なかったり、他の人とのコミュニケーションも明るかったりして「カミーユという少年が戦いを生き抜いたお話」。

どちらも味のあるお話なのですが、「閃ハサ」を考えるとTV版「Z」の方がよいかな、と。

これは「閃ハサ」のマフティーのやっている反政府運動(というかテロ行為)っていうのがもう親世代の時にもあったという事実とか、どうしてそれが起きたかが描かれます。

一年戦争(初代ガンダム)に勝利した地球連邦政府は悲惨な体験の末に何をやったかというと「あんな人災を引き起こすような宇宙市民共はもっと弾圧すべきだ」と統制を強化しようとしたんですよね。

宇宙市民に対する憎悪や反発の強い連邦軍人を集めたティターンズという治安維持部隊が台頭しちゃって、ジオンの残党狩りの名のもとに、かなり好き勝手をやりまして。

当然、それに反発した人々がエゥーゴやカラバといった集団を作って、宇宙や地球でティターンズと地球連邦軍を相手に各地でテロ攻撃を始めてしまうと。

しかも、後半になると宇宙の辺境に逃れていたジオンの残党がアクシズという移動隕石に乗って地球の傍まで戻って来て、内乱中の地球の各勢力と結びついて三つ巴状態にまで至ってしまう。

戦後に政府が何をやったか、それに対して人々がどのように反発し、どういう血みどろの争いを繰り広げてきたか、っていうのが分かるのが「Z」なんですよね。

あとZガンダムって面白いことにガンダムというマシーンが敵味方を問わず一杯出て来るんですよね。



この地球連邦の内輪揉めで、敵味方にガンダムが登場して殺し合うという呪われた構図も印象的ですし、最終的にエゥーゴはティターンズから主導権を奪って壊滅させることに成功するものの戦力を大きく失い、ジオン残党の復活を許してしまう……というのがZガンダムの最後。

しかも、主人公のカミーユはTV版で壊れちゃいますし……本当にこのぐだぐだの食い合い感というか救いの無さが「Z」の凄いとこですよね……。



色々書いちゃいましたけど、つまるところ、一年戦争という大きな犠牲の末に政府は何をやらかしたか、と、一年戦争の象徴にもなったガンダムとニュータイプが戦争の道具として地球連邦の内乱で消費されちゃう、って言う呪いみたいなものを「Z」では掴むのが良いかなと思います。ガンダムっていうのはただの記号なんだよっていうね。

あとは、大人になったアムロ、シャア、ブライトの三人が反ティターンズの為に協力してた胸熱な時期もあったんだよっていうのも是非、知っておいて欲しいですね。

ただ、本当にTV版「Z」はきついので、とりあえずざっくり追いたいのであれば劇場版「Z」三部作でもありかな、と思います。個人的には別物に近いと思ってますけれども。




3.劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」





正確には「閃ハサ」は小説版「ベルトーチカルドレン」の続きのようですが、大きな流れに差はないので劇場版の方でも大丈夫です。



ハサウェイというキャラクターが本格的に登場するお話でもあり、彼がどういう少年だったか、クェスへの初恋や、ハサウェイが見た大人達の姿、彼が負った心の傷など、少年だった彼が見てきたものを是非、追体験して欲しいと思いますね。

比較的短めなお話ながら、非常に完成された作品なので、これだけでも是非、見て欲しいです。



以上です。

まずはこの三作で、世界観や親世代のドラマを知ってもらえたら、もっと「閃ハサ」を楽しめるのではないかと思われますので、参考にしていただければ幸いです。






※2025年4月3日追記 ZZハブられがち問題

上の通り、最低限、「閃ハサ」を楽しむなら、「1st」⇒「Z」⇒「逆シャア」の三本は見といた方が良いですよ、という話なんだけど、別にこれは「ZZ」をディスっている訳ではない。

もし、「閃ハサ」ではなく「UC」を楽しむのなら、「Z」より「ZZ」を推さざるを得ないし、「ZZ」自体も悪い作品だとは思ってない。というか、TV版「Z」を見たなら、「ZZ」も見ろ、と言いたい。じゃないと、「Z」という話は「なんだかよく分からない後味の悪い作品」で終わってしまう。あれはその後、「ZZ」というなんかもう色々台無しな、しかし時系列的には間違いなく続編である作品とセットで観ないとダメだと思う。




そんな訳で、ZZも出来れば見て欲しい。

……観て欲しいんだけど、以下のような理由で中々、おススメし辛かったりも。

 ・前半のギャグ調で大分、試される
 ・TV版しかなく、おまけに1年分なので長い
 ・1stともZとも作風が違い過ぎる



それでも私はガンダムシリーズを追い掛けるなら、ZZも観た方が良いと思ってる。

ガンダムシリーズという作品が単発で終わらず、ここまで多様的に広がったのは「1st」が「1st」で終わらず、無理矢理でも「Z」という希望のない鬱な「陰」の物語を、そして「ZZ」というコミカルなギャグマンガ風の「陽」の物語を取り込んだことで、キャラや世界観にある種の広がりを持たせたことが関係していないとは思えないのである。その「ZZ」だって、中盤以降は戦争と殺し合いの持つ陰鬱さからは逃れられなかった(逃げなかった)訳で。

……そうでなければ、おそらく、ガンダムはニュータイプ的な部分とミリタリー的な部分だけに閉じたお話――要するに、1stの縮小再生産――に閉じこもっていた可能性が高い。

それにより、宇宙世紀の世界観や作風は混沌と化してしまった部分もあるし、仮に「Z」や「ZZ」で終わっていたとしたら、私だってナンジャコリャとなっていたかもしれない。

しかし、私は、その後に、後始末というか後日談とでもいうべき「逆シャア」があることを知っている訳で、そうであれば「Z」も「ZZ」も割と受け入れられるのである。第一、「ZZ」抜きでは ハマーン様のお可愛い所 が半分も伝わらないではないか(笑)






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最終更新日  2025年04月03日 22時15分13秒
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