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2009年01月13日
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カテゴリ: 邦画(09~)
日曜日に見た 『青い鳥』 の場合は、村内先生は石川啄木詩集の愛読者であった。いじめというリアルな現実の前には、啄木のほうが確かにあっているような気がする。
例えば、

気の変わる人に仕えて
つくづくと
わが世がいやになりにけるかな

打ち明けて語りて
何か損をせしごとく思ひて
友と別れぬ


(映画の中では一首も紹介されなかったが)そんな歌の中の現実が、これから向かう学校の現実の真の姿を探す手助けにもなっただろう。

同じ原作者のこっちの映画の方は、結局宮沢賢治が大きくクローズアップされた。どちらの原作にも、実は啄木も賢治も出てこない。けれども、この二人が脚本に使われたのは偶然ではないだろう。岩手県出身の二人の詩人はどちらも言葉の天才で、東北の重く垂れ込める空が、どちらも登場人物の心像風景にぴったり合うのだろう。

監督 : 大林宣彦
原作 : 重松清
脚本 : 市川森一
出演 : 南原清隆 、 永作博美 、 筧利夫 、 今井雅之 、 勝野雅奈恵

原作

肝心の心の部分を、宮沢賢治の『永訣の朝』が代弁する。

けふのうちに
とほくへ いってしまふ わたくしの いもうとよ
みぞれがふって おもては へんに あかるいのだ
(あめゆじゅ とてちて けんじゃ)

(略)
ああ あの とざされた 病室の
くらい びゃうぶや かやの なかに
やさしく あをじろく 燃えてゐる
わたくしの けなげな いもうとよ

この雪は どこを えらばうにも
あんまり どこも まっしろなのだ
あんな おそろしい みだれた そらから
この うつくしい 雪が きたのだ

(略)


詩に託して、雪の岩手県の映像が流れる。
その静かな白さが、私には心地よかった。
原作は去年一番ないたものだった。
映画は泣きはしない。
けれども、死を迎えるということはこういうことなのだ、
と静かな気持で納得できる映画であった。





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最終更新日  2009年01月14日 01時00分22秒
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